アトムレンズの黄変や焼けをUV照射(LED)で除去して直す方法

レンズリペア基本情報

◎光学レンズに使われている硝材は屈折率などの光学特性を上げる為に様々な材料が試されてきました。
そんな中、戦後にレンズ硝材へ10%ほどの放射能物質「酸化トリウム」を混ぜる事でレンズの屈折率を高めることにアメリカが成功し、それを初めて採用したのが「ライカのズミクロン」なのは有名な話です。
そしてその写りに驚いた各社はこぞって「酸化トリウム」を使ったレンズを開発・製造し、その製造は1970年代頃まで続けられました。

しかしその「酸化トリウム」が放つ放射線が後の時代にレンズを黄色く変化(ブラウニング現象)させてしまう事に気付くまではかなりの時間が必要だったみたいです。
現在は放射性物質と言う事もあって全く使われなくなってしまいました。

「酸化トリウム」の放射線によってレンズが黄色くなったまま使うと、それはそれでノスタルジックな写真が撮れますが、これは人によってはオリジナルに戻したい!という気持ちに駆られると思います。
黄色ならケンコートキナーのフィルター「Y2」や「MC PO0」がありますし…
(黄変したままのオリジナルに拘る方にはスミマセン: 汗)
自分はオリジナルに戻したい派なので、UV照射をして元に戻す事にしました。

 

①まずはUVを含む太陽光による黄変除去です

取り出した黄変レンズを難燃物などの上に置いて太陽光を照射する方法です。

これはUV照射機器(ネイルライトやUVライト)などが無い場合にできる方法ですが、レンズを分解・組み立てができないと厳しいですし、何より天候や季節に照射時間やUV照射量が左右され易く、時間も約一ヵ月と掛かるので一般的ではありません(汗)
しかも火災のリスクもあるので自分はちょっとチャレンジしてやめました^^;

やはり短時間で室内でも出来、レンズを分解しないでできるUVLEDやUV蛍光管に
よるUV照射がおススメです☆
UVライトは美容に使われる「ジェルネイル用ライト」がオススメですが、長時間照射しないといけないので、乾電池式より家庭用電源を使う物が良いです。

因みにこの「ジェルネイル用ライト」はぶっちゃけ、リサイクルショップに数百円で売ってたりします。

 

②自分はUVライトを自作しました

秋葉原でUVLEDと電源関連パーツを買ってきました!
そして100均で売っているLEDライトを分解し、基盤などのパーツを取り出して組み立てました。

 

③こんな感じで完成!

最初はとりあえずこれで使ってみたのですが、LEDがむき出しだと「照射ムラ」が発生する事が判明。
マメにライトの位置をずらせばいいのですが、忙しい現代人には不向きと判断(笑)

Ayumu
Ayumu

因みに今回使ったLEDは砲弾型ですが、チップ型LEDの方が照射ムラが起きにくく、また透明な樹脂部分の劣化(白亜現象と言って長時間使うと白く濁り始める)も少ないみたいです(汗)
なので市販品を買う時は「チップ型LED」を使った物がおススメです。

 

 

 

④改良版の自作「LED UVライト」

ディフューザーを付けて光を拡散させる事にしました。
まぁ、蓋はヤスリで削った養命酒付属のプラコップなんですけどね(笑)

 

⑤この自作UVライトを使って、アトムレンズ定番の「タクマー 50mm f1.4」を黄変除去してみました!

照射に掛けた時間は6時間×7日で、おおよそ40時間程度でこれだけ黄変を除去する事ができました。
除去にかかる時間は黄変の状態にもよりますので、おおよその目安として下さい。

国産のレンズで黄変するのはタクマーの50mmや35mmがタマ数が多くて有名ですが、キャノンだとFL50mmf1.8前期型、FL58mmf1.2、FD35mmf2(銀枠)、ニコンだと35mmf1.4、オリンパスだと55mmf1.2、f1.4、ミノルタは58mmf1.2、SI 28mmF2.5、フジノン50mmf1.4などがあります。

まぁ、黄変するのもオールドレンズの「味」なのかもしれませんが…

⑥ミノルタ 「MC ロッコール SI 28mm F2.5」の黄変除去

「黄変」度では一番黄色くなっていた「MC W.ROKKOR-SI 28mm f2.5」。
このレンズはなかなか元に戻らず、10日くらい照射したと思います^^;

 

⑦「MC W.ROKKOR-SI 28mm f2.5の黄変」除去後にフィギュアを撮影した作例
f2.5開放
手前の被写体の「目」にピントを合わせています。
今思えば黄変している時の写真も撮っておけば良かったと後悔しています(汗)

 

f5.6
屈折率が高いアトムレンズのおかげなのか、とても良く写る印象です。

 

f2.5開放
後ろの被写体の「目」にピントを合わせています。

 

f5.6
因みに使っているカメラは「ニコン1 J5」なので、レンズの周辺は使っていません。

 

⑧「Super-Takumar 50mm f1.4 7枚玉」の黄変除去

黄変のタマ数が多い「タクマーシリーズ」を今まで沢山ジャンクで見てきましたが、状態の違いはあるものの、アトムレンズ使用の個体で黄変していない物はありませんでした(汗)
UVライトの出力にもよりますが、おおよそ40時間で変化が分かると思います。

 

⑨「Super-Takumar 50mm f1.4の黄変」除去後にフィギュアを撮影した作例
f1.4の絞り開放の物撮りは「ニコン1 J5」ではピント合わせが厳しいものがあるので、ちょっと絞っています。
(J5は拡大機能が無いんです: 汗)

 

f2.0

 

f2.0

 

 

◎多少の黄変なら、今のデジタルカメラはある程度ホワイトバランスで補正しちゃう事もあります。
でもやっぱり気になるならUV照射をして黄変を除去した方が快適に使えると思いますので、UVライトを買ってチャレンジしてみて下さい♪
しかしながらオールドレンズの「黄変」を「味」として感じている方も多く、こればかりは個人の判断に委ねたいと思います。

あとUVライトは直接「目」で見ない事と、UVライトでも殺菌用などは波長が違い、黄変除去効果が不明なので気をつけて下さい。

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