カメラの交換レンズを分解・清掃する際に注意すべき「弱いレンズコーティング」など

レンズリペア基本情報

昔のカメラの交換レンズは「透過率・反射率・屈折率」などを改善する為、レンズのコーティング
技術に様々なチャレンジが行われてきました。
その結果、物によってコーティングが非常に脆かったり、時の流れと共に劣化するものもあります。
流石に2000年代になってからは、そう言った事は聞かなくなりましたが…
今回は自分が今まで経験してきた「弱いレンズコーティング」と「劣化しやすいコーティング」
を取り上げてみました。 (2019/10/25更新)

これらの弱いコーティングを無水エタノールやシンナーなどの有機溶剤を使って拭くと一撃で剥がれますので本当に気を付けて下さい。
あと超音波洗浄器も厳禁です^^;
あくまで個人的な経験の為、本当に劣化して脆くなっている場合も考えられますので参考程度にしておいてください。

◎「弱いレンズコーティング」

①「ミノルタ ロッコール (Minolta Rokkor)」の「アクロマチックコーティング (AC)」

初期のロッコールから採用されている2層の「アクロマチックコーティング (AC)」は主に前玉の裏や後玉の裏にコーティングされていて、触るだけで剥がれる非常に脆いコーティングとなっています。
このコーティングは「New MD」になって採用されなくなりました。
もしカビを取る場合にエタノールを使うと一撃で剥がれますし、クリーニングペーパーは確実に拭き傷が付きます。
基本は触らない、カビ玉は買わないですね(汗)
自分の場合、仕方なく清掃する時は中性洗剤orカビキラーどちらかを薄めて塗付し、水を流しながら指の裏で優しく洗い流しています。(もちろん洗浄前は指の脂をガシガシ洗い落とします)
しかし完璧は求めない方が無難です。このメモは下記の弱いコーティングのレンズに共通します。

②「ミノルタ 引き伸ばしレンズ C.E.ROKKOR」

まさかこれにも…  確かこれも前玉の裏側だったと思います(汗)
当時は知らなかったので、思いっきりエタノールで洗浄!!
良く見ると物凄い拭き傷(滝汗)
仕方なく「アクロマチックコーティング」を全て剥がしました。
描写に問題は無いものの、プリセットマニュアルホワイトバランスで他のレンズと比べた時に若干マゼンダ被りをするようになったので、オートホワイトバランスで使うか、マニュアルホワイトバランスをリセットする必要が発生しましたorz
この時代のROKKORはとにかく注意が必要です。

③「タムロン 90mm マクロ 52B」

このレンズの後群の後ろから2枚目?だったと思うのですが、薄い「アクロマチック」の様なコーティングがしてあります。
この場合も知らなかったので、無水エタノールで拭いたら簡単に剥げました(汗)
撮影してみると「アクロマチックコーティング」が剥げた時と同じ色合いの変化がありましたが、オートホワイトバランスか、グレー反射板でホワイトバランスをリセットすれば問題なく使えました。

④タムロンのオールドズームレンズ

この時代のタムロンズームの後群のレンズはとにかく要注意です。
「アクロマチックコーティング」みたいなコーティングがしてあり、剥がしてしまうと色合いが変化してしまう物があります(汗)
実は一度やってしまい、それ以来は気をつける様にしています。
ひょっとしたら52Bもそうだったので、他のタムロン単焦点にもコーティングしてあるかもしれません。

⑤「ヤシカ YASHINON DS-M 50mm/F1.4」

このレンズの内側のコーティングも「アクロマチックコーティング」と似た感じがあります。
レンズを外して光に反射させた瞬間、「これはいつか見たあの危険な輝き!!!」と思い、ほとんど触れずに水で優しく洗い流しました。
とにかく隅でちょっと試しましたが、簡単に剥がれます(汗)
このレンズを清掃する際は気を付けてください。
とにかくレンズを分解して外したら、まずレンズ面に光を反射してみましょう!
鈍い輝きを持ったあの「バイクや車の社外チタンマフラーの焼け」に似た色をしています。
(あくまで個人的なイメージです)
どのコーティングとも違う反射をするので、慣れるとすぐに分かるようになります。

⑥「KYOCERA 70-210mm」

確か前のレンズ2枚の裏側にとても弱いコーティングがしてあります。
気になる方はドフ(ハードオフ)などのジャンクボックスに良く転がっているので試してみてください。
無水エタノールなんか使った日には、あっと言う間に剥げ落ちます(汗)
同社の35-70mmや28-85mmなどもバルサム切れが多発するものの、この弱いコーティングはされて
いなかったと思います。(確証はありません)

⑦「EF 70-210mm/F40」

これは確か中玉の前側2枚のどちらかに、「アクロマチックコーティング」みたいなコーティングがしてありました。
これも知らなかったので、無水エタノールで拭いたら簡単に剥げ、色合いが若干崩れました(汗)
ひょっとしたらFDレンズにも存在しているのかもしれませんが、キャノンでなったのは今の所この1本のみです。

Ayumu
Ayumu

レンズを拭く時はまず照明の光を当て、怪しいコーティングか見抜く必要があります。
いつもと違う反射をするコーティングだったら、諦める&有機溶剤で拭くのはやめた方が無難な事が多いです。
でもぶっちゃけ、これらのコーティングは色合い補正がメインなので、剥がれても今のデジカメのホワイトバランスが勝手にカバーしちゃう事があるのも事実です。

これらはあくまで個人的な経験談なので、参考程度にしておいてくださいね!

◎劣化しやすいコーティングのレンズなど

①シグマのMF~AF中期までのレンズ

昔のシグマさんは曇るレンズが多いですよね(汗)
うっすら程度なら「酸化セリウム」で研磨する手もありますが、今までの経験では完全に曇ったレンズには手を出さないのが無難です。
もし研磨してもまた曇ってきてしまいますので、今のところ打つ手なしです。
(因みにガラス表面の曇りはガラスの成分であるアルカリ分がガラスの表面に出てくるからなんだそうです)
だからアルカリ化を止める事ができればいいのかもしれません。

 

②キャノンFLレンズ以前

今までの経験では「Canon FL 35mm F3.5」の前玉後ろ、「Canon FL 100mm F3.5」の中玉に良く
曇りが発生している感じです。
「Canon FL 35mm F3.5」は研磨して全く焦点が合わなくなりゴミに(汗)
「Canon FL 100mm F3.5」は研磨して使えるようになるも、暫くするとまた曇ってきました。
今は車のヘッドライトコーティング保護剤を塗って観察中です。

 

 

 

③古いZuikoシリーズ

どうやら古いZuikoも曇りやすい物が存在するみたいです。
これらも「酸化セリウム」でちょっと研磨すれば使えるようになりますが、ノンコーティングになってしまいます。
今のところ、キャノンよりは曇りの再発率も低い感じでした。

 

Ayumu
Ayumu

基本的にコーティングが痛んだレンズを復活させるのは不可能なので、できればそう言ったジャンクレンズは避けるのがおススメです。
お金がある人なら「山崎光学写真レンズ研究所」で修理してくれますが…

◎以上、【カメラの交換レンズを分解・清掃する際に注意すべき「弱いレンズコーティング」など】でした!

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