トキナー「Tokina AT-X 80-200mm F2.8 (AT-X 828)前期型」分解清掃・作例

トキナー・コシナ

◎とあるリサイクルショップのジャンクコーナーにバルサム切れしたトキナーの「Tokina AT-X 80-200mm F2.8 (AT-X 828)前期型」が激安で売っていたので、興味のあった自分はチャレンジがてら買って来てみました。

その後にまた同じ激安の「Tokina AT-X 80-200mm F2.8 (AT-X 828)後期型?」を買って来たのですが、分解して見ると前期?(製造番号83XXXXX)と後期?(製造番号88XXXXX)ではレンズの構造が異なり、後期型の方が整備し易い造りに変えられていました💦
なので今回分解清掃する前期型はちょっと面倒な作業となります^^;
(今回はもう2年前に整備した内容ですので、間違っている箇所があるかもしれません)
後期型の整備は記事ができたらリンクをここに貼る予定ですのでお待ちください。

1981年発売  当時の価格は¥111.000  レンズ構成: 11群17枚  最小絞り: F32
最短撮影距離: 1.8m  絞り羽根枚数: 6枚  フィルター径: 77mm     画角: 30.2-12.2゜
外寸: 172.5×81㎜  重さ: 1080g  ズーム方式: 直進ズーム  ピント: 前玉回転式

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

 

①1群レンズの分解清掃

A: サイドにあるイモネジを緩めてフィルター枠を外します。
B: こんな感じでフィルター枠は外れますので、1群ユニットを外します。

C: 前玉を固定しているロックリングにしっかりとエタノールを染み込ませたら、反時計回りに回して外します。
D: この細いロックリングはちょっとでも変形させると組むのが困難になるので気を付けて下さい💦

②1・2群レンズ清掃とマウントの取り外し

A: 外したレンズを清掃しますが、2枚目は嵌め殺しになっているのでそのまま清掃します。
B: 2群レンズを反時計回りに回して外します。

C: 外したレンズを清掃します。
D: FDマウントに半分隠れているピンを押してブリーチロックを回転し、3個のネジが見えた位置で止めてネジを外し、マウントを外します。

③マウント周辺の分解・グリップゴム外し

A: 袋の中で絞りリングを慎重に外し、ボタン、バネ、ボールを回収します。
B: 三脚座を外します。

C: ドライヤーで温めながらグリップゴムを外します。
D: メクラ板を左右2枚外します。

④無限遠調整の測定とマーキング

フォーカスリングを無限遠に、ズームを80mmにしたらまずズームリングと前鏡筒の隙間を測定します。
そして指標線を基準として写真の位置の深さを測定したら、位置マーキングもしておきます。

もし無限遠が出ない時はこのネジを緩めてカメラにレンズを取り付け、ライブビューしながら遠景にピントが合う様に1群ユニットを回して固定し直せばOKです。

⑤ヘリコイドの取り外し

A: 画像④のネジと銅リングを外し、ヘリコイドをゆっくり慎重に回して、ヘリコイドが外れるまでの回転数と外れる瞬間の位置をマーキングします。
B: 化粧リング板は溝に嵌めてあるだけですので、内側の片方を持ち上げれば外れます。

C: 内側のヘリコイドを固定しているネジを外します。
D: ゆっくり慎重に外しながら、組み位置マーキングをしておきます。

⑥3群レンズの取り外し

A: ズームリングにある2個のネジ&コロを外し、組み合わせ位置マーキングをしながら前鏡筒を外します。
B: 3群レンズユニットを外します。

C: 3群レンズユニットのスペーサーとレンズの向きをマーキングしながら取り出し、各レンズを清掃します。
D: しかしながら貼り合わせレンズはバルサム切れを起こしていました💦

⑦バルサム切れ修理

A: 以前製作したバルサム剥がし器でレンズを分離します。
B: 頑固なバルサムはジフとろくろで優しく落とします。

C: 綺麗になりましたので、天然バルサムで貼り合わせます。
D: クリアなレンズになりました。

⑧サブヘリコイド部分解

A: フォーカスリングの距離目盛の組み合わせ位置マーキングをしたら、イモネジを外し、距離目盛をずらしておきます。
B: ヘリコイドストッパーネジを外したら、サブヘリコイドの位置が分かる様に右の段差の幅を測定しておくと良いです。

C: サブヘリコイドをゆっくり回しながら何回転で外れるかメモしておきます。
D: 三脚座リングの穴から指標部筒を固定しているネジを外します。

⑨鏡筒の分解

A: マウント基部を固定しているネジ3個を外します。
B: するとこんな感じで各パーツを外す事ができます。

C: 5群レンズを外します。
D: 6群レンズユニット(画像⑫で清掃しています)を外し、絞りの動きと油滲みがないか点検しておきます。

⑩5群レンズ清掃

A: 外した5群レンズを分解して各レンズを清掃します。
B・C: ここで奥の4群レンズを外して更に奥のレンズを清掃して終了でも良いと思いますが、やりにくい場合は続けて(画像⑪)分解します。

D: 各パーツの組合せ位置マーキングをしてネジ&コロ2セットを外します。

⑪分解して4群レンズを清掃する場合

A: ここも組合せ位置マーキングをしてネジ&コロ2セットを外します。
B: 中のズーム筒を外します。

C: この状態で4群レンズを外すとやり易いと思います。
D: ここは固く締めてあるので、ドライヤーで温めから緩めると良いです。
外したレンズを清掃します。

⑫6群レンズの清掃

A: 6群レンズユニットを分解して清掃します。
後は逆の手順で組み立てれば完成です。

B・C : 光学系はクリアーになりました。
D: 右上がこの前期型で、下が後期型になるのですが、見た目で判断できないので、上記の製造番号で判断して頂くと良いと思います💦

 

⑬「Tokina AT-X 80-200mm F2.8 (AT-X 828)前期型」の作例

使用カメラはフルサイズミラーレスのα7で、焦点距離や絞り値は分かる範囲で記載しています。

⑭飯田線 特急伊那路

80mm  F11.0

 

⑮線路

開放F2.8   200mm

 

⑯廃道

80mm  F8.0

 

⑰廃線跡

F5.6  80mm

 

⑱田本駅

80mm  F8.0

 

⑲田本駅待合所

開放F2.8  200mm

 

⑳飯田線到着

80mm  F11.0

 

㉑泰阜発電所

80mm  F8.0

 

㉒門島駅

開放F2.8  80mm

 

㉓保線車両のブレーキ

開放F2.8  80mm

☆望遠端の開放はカリカリではありませんが、広角端の開放は割と解像する感じで、ちょっと絞ればシャープな画を得られ、逆光にも割と強かったです。
割とコンパクトなのでそれほど重く感じませんでしたし、ワンアクションでズームもフォーカスも合わせられる全長の変わらない直進ズームは操作性も良かったです。

 

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【トキナー「Tokina AT-X 80-200mm F2.8 (AT-X 828)前期型」分解清掃・作例】でした!

 

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