トキナー「Tokina 35-105mm f3.5-4.3 (SMZ105)」分解・清掃・作例

トキナー・コシナ

とあるリサイクルショップのジャンクコーナーに中のレンズが曇っていていつまでも売れないレンズがありました。
このレンズはカメラの専門家からの評価が高く、ツァイスと同じガラス硝材を使っているとか…
連豆 さんのブログを読んで気になっていたので買ってきてみました。

1980年に発売されたこの「Tokina 35-105mm f3.5-4.3 (SMZ105) 」には1985年に発売された後期型「Tokina 35-105mm f3.5-4.5 (SMZ305) 」があるのですが、レンズ枚数が1枚減ってテレ端が暗くなり、全域マクロ機構も無くなってしまっています。

このレンズが巷であまり評価が良くない理由は、昔のトキナーのレンズの多くがレンズの曇りやバルサム切れを発症し易いのも原因だと思っています💦
因みにこのレンズは分解清掃がちょっと面倒な構造になっていて大変でした。

1980年発売 当時の価格は¥65.500 外寸: 87.5x64mm 重さ: 460g
レンズ構成: 13群16枚 絞り羽根枚数: 6枚 画角: 63.3~23.2°
最短撮影距離: 1.6m(マクロ時0.28m) マクロ最大撮影倍率: 1/4倍
フィルター径: 55mm 直進式ズーム 最小絞り: f22

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①前群レンズユニットの取り外し

A: まず銘板を吸盤オープナーなどで取り外します。
B: ズーム&フォーカスリングゴムを外します。

C: これは無限遠調整なので最後の方で触れたいと思います。
D: フォーカスリングを無限遠にセットしたら、ネジ&コロの位置マーキングをして外します。

②前群レンズの清掃と2群レンズ取り外し

A: 前群ユニットをゆっくり慎重に回し、外れる瞬間の位置をマーキングします。
B: 前群ユニットを分解して各レンズを清掃しますが、レンズとスペーサーの向きは厳守して下さい。

C: 遮光パーツを反時計回りに回して外します。
D: 2群レンズユニットを外します。

③2群レンズの清掃とマウント外し

A: 外した2群ユニットを分解して各レンズを清掃します。
B: 3群レンズはこんなに曇っています…
曇りが取れるかはギャンブルですね💦

C: マウントを固定しているネジを外します。
D: マウントをゆっくり引き抜きながら、絞り連動棒の入っている位置を確認します。

④マウント周辺の分解

A: 絞りリングを外しますが、ボールとバネが飛び出しますので袋の中で作業するのがお勧めです。
ボールとバネは回収しておき、組む時はグリスで固定しながら組み立てます。
B: 絞り連動リング②の取付位置を確認したらCリング①を外し、絞り連動リング②を外します。

C: マウントベースを固定している3個のネジを外し、マウントベースの取り付け位置をマーキングしながら外します。
D: マクロリング回転ストッパーの取り付け位置をマーキングし、ストッパーを取り外します。

⑤マクロリングの取り外し

A: マクロリング(クローズドフォーカス)をロック位置になっているのを確認したら、固定している3個のイモネジを外します。
B: ボタンを押しながら慎重にマクロリングを引き抜きます。

C: マクロリングを引き抜きながらボタンを回収しますが、ここで画像Dのパーツが飛び出す事があるので袋の中で作業して下さい。
D: ロックパーツとバネを回収します。

⑥組み立ての注意点とズーム&フォーカスリング下部の取り外し

A: マクロリングを組み立てる時はまずボタンを溝にしっかり入れ、マクロリングを入れながらロックパーツ&バネを入れます。
B: イモネジのネジ穴にロックパーツが見えるようにしたら、イモネジのネジ穴からロックパーツを押し、マクロリングを組み込みます。

C: マクロリングのロック位置で各パーツの位置関係と高さをマーキングしておきます。
D: ズーム&フォーカスリングの分割面の合わせ位置マーキングをしたらイモネジを緩めます。

⑦後群レンズの清掃

A: ズーム&フォーカスリングを分割します。
B: 後群レンズユニットを外します。

C: 外した後群ユニットを分解し、レンズとスペーサーの向きをマーキングしながら外して清掃します。
D: ここのネジは凄く固いのでしっかりしたマイナスドライバーを使って軽く緩めておきます。

⑧マクロリングヘリコイドと4群レンズの取り外し

A: この作業はマクロリングヘリコイドグリス交換の為にやりましたので、ここは外さなくても4群レンズは外せるかもしれません。
リングの付く部分を回しながら直進キーが外れる瞬間の位置でリングの付く部分とマウント側に合いマーキングをしておきます。
B: マウント側を回してヘリコイドが外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。
サブヘリコイドをグリスアップする場合は合いマーキングをしてノギスで全長を測っておくと良いです。
組む時はまず外れた瞬間の位置から入れ、直進キーが入る位置まで来たら直進キー側と本体を固定しながらリングの付く部分を回して直進キーを入れ、マーキング位置まで移動させれば完成です。

C: 画像⑦のDのネジ&コロを取り外し、4群レンズユニットの位置マーキングをしながら取り外します。
D: 次にここのネジ&コロを取り外します。

⑨3群レンズの取り外し

A: 位置マーキングをしながら3群レンズ&絞りを取り外します。
B: ネジとコロは種類が違いますので気を付けて下さい。

C: 4群レンズを清掃します。
D: ロックリングを外し、レンズユニットを取り出します。

⑩3群レンズの清掃

A: こんな感じで3群は外れます。
B: レンズに傷を付けない様にCリングを外し、各レンズを清掃します。

C: 曇っていたレンズは割と奇麗になりましたが、カビ痕は残ってしまいました…💦
D: この作業はズーム&フォーカスリングをグリスアップしたい場合に限ります。
ストッパーを取り外し、イモネジを緩めます。

⑪ズーム&フォーカスリングのグリスアップと無限遠調整

A: ズーム&フォーカスリング内側にあるロックリングを緩めます。
B: こんな感じで外れますが、フォーカスストッパーの入る位置はマーキングしておくと良いです。

C: ズーム&フォーカスリングの擦れる位置をグリスアップしておきます。
後は逆の手順で組めば完成です。

D: 無限遠調整はグリップゴムを外した状態でカメラに取り付け、ズーム&フォーカスリングの位置をテレ端&無限遠にし、ここのイモネジを緩めたら、吸盤オープナーなどで前群を回してピントが合った位置でイモネジを締めて完成です。

お疲れ様でした!

レンズ清掃のみでしたら、画像⑨のCさえ外せれば分解せずに全てのレンズを清掃できるかもしれません💦
多分無理だと思いますが…

⑫Tokina 35-105mm f3.5-4.3 (SMZ105)の作例

使用カメラはフルサイズミラーレスのソニーα7になります。

⑬ベンチ

35mm  開放f3.5

⑭花

最短撮影距離 開放

⑮シロツメクサ

開放

⑯遊水池

⑰休憩所

開放

⑱峠にて

⑲線路前の雑草

開放 クローズドフォーカス

⑳天竜川橋梁

㉑天浜線

㉒フレア・ゴースト

右が開放で、左がかなり絞った状態です。

㉓夜のパチンコ屋

35mm 開放f3.5

写し方が下手で分かりにくいですが、等倍で見るととても解像していました。
今回はカビ痕がありますが、とにかくトキナーの古いレンズは曇りやバルサム切れを起こしている事が多く、それが悪い評価に繋がっている気がします💦

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

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