「AUTO TAMRON ZOOM 85-210mm F4.5(Z-210 前期型)」分解清掃・作例

タムロン

◎以前にこの「AUTO TAMRON ZOOM 85-210mm F4.5(Z-210)」は記事にしているので載せるつもりはありませんでしたが、新しく買ったシルバー鏡筒を分解して見るとこのレンズには前期型と後期型があり、仕組みが大幅に異なっていた為に急遽記事にする事にしました。
製造番号が2xxxxxは前期型、4xxxxxが後期型みたいで、後期型の方が整備性が改善されています。(製造番号は間違っているかもしれません)

以前整備した後期型はコチラです「タムロン「TAMRON 85-210mm f4.5 (Z-210)」分解・清掃・作例

注意点としてこのレンズの後群は調整されており、調整は鏡筒の中にあるイモネジで固定してある為に絶対に後ろから後群ユニットを外してはいけません💦。

1973年発売~1976年生産終了(推定) 当時の価格は¥33.800 モデル: Z-210
レンズ構成: 9群12枚 絞り羽根枚数: 6枚 最小絞り: 22    フィルター径: 55mm
最短撮影距離: 2.0m(タムロンHPには1.5mと書いてありますが、このレンズはマクロ機構が無く、距離指標には2.0mまでしか書いてありませんでした)
重さ: 670g 外寸: 65x151mm    焦点移動量: 8/100    シルバーモデルあり。

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①1群レンズユニットの取り外し

A: 銘板をドライヤーで温め、反時計回りに回して外し、内蔵フードも取り外します。
B: すると1群ユニット調整固定のイモネジがあるので取り外します。

C: 1群ユニットは無限遠調整されていますので、深さをノギスで測定しておきます。
D: 1群ユニットを外したら、イモネジの打痕をチェックします。
組み立てる時はまず測定値まで締め込み、ネジ穴をライトで照らしながら穴のセンターにこの打痕をセットしてイモネジを取り付ければOKです。

②1群レンズ清掃とヘリコイド部の分割

A: 1群レンズのロックリングにはネジ止め剤が塗布されていますので、アセトンを染み込ませて数分待ってから緩めます。
B: 1群の各レンズを清掃したらユニットを組み立てます。

C: フォーカスリングゴムを外し、見えたヘリコイドストッパーネジを外します。
D: 前筒をゆっくり慎重に回し、外れた瞬間の位置をマーキングしておきます。
(写真は実際に外れた位置になります)

③ヘリコイドグリス交換とマウント分解

A: 古いグリスをブラシと洗浄油を使って綺麗にしたら、新しいヘリコイドグリスを固めの筆で塗布しておきます。
B: マウントサイドにあるボタンを押し、アダプトール交換マウントを反時計回りに回して外します。

C: マウントのネジを緩めます。(ワッシャーが脱落するのでネジは外さないで下さい)
D: マウントはネジを入れたまま、写真の様に丸ごと外します。
これはマウントの隙間にワッシャーが入っていて、組み立てる時に面倒な作業を避ける為です。
組み立てる時はこの状態で組み立てて下さい。

④絞りリングの取り外し

A: 絞りリングのグリップゴムを外しますが、このレンズのゴムは劣化でボロボロと崩れるので、カッターで削り取って組み立て後に接着しました💦
B: 絞りリング連動部のピンが入っているパーツの位置マーキングを絞りリングにします。

C: ネジ2個を外したらボールが飛び出す事があるので袋を用意して下さい。
袋の中で絞りリングを外し、ボールも回収します。
D: 外したパーツは100均のチャック付小袋に保管すると良いです。

⑤A/Mスイッチ取り外し

A: マウント側の外装筒には後群の調整ネジを緩める為のメンテナンスホールがありますが、この調整は測定機器がないとダメなので、分解してイモネジの打痕をネジ穴のセンターに合わせるのが無難です。
B: マウント側の外装筒のイモネジ3個を外し、外装筒をA/Mスイッチのネジが見える位置まで回し、見えたネジを外します。

C: A/Mスイッチを外しますが、ここにもボールが入っており、しかも飛び出す確率がかなり高いので、A/Mスイッチを外す時は必ず袋の中で作業して下さい。
C: 外装筒を回し、このネジを外します。

⑥鏡筒の分解

A: 外装筒を外します。
B: ズームリングゴムを外し、ズームユニットと固定しているネジ3個を外します。
この時に指標線の位置をズームユニットマウント部の辺りにマーキングしておくと組み立ての参考になります。

C: 前部にあるヘリコイド固定ネジ3個を外します。
D: ヘリコイド部を外します。

⑦ズームユニットの分離

A: ズームリングの組合せ位置マーキングをしたら、固定しているイモネジ3個を外します。
B: ズームリングを取り外します。

C: 絞り部とズームユニットを連結しているリングの固定イモネジを外します。
D: 絞り部を持ちながらリングを回し、ズームユニットを外します。

⑧各レンズの清掃

A: 絞り部とズームはここで位置決めされていますので、組む時の参考にして下さい。
B: 絞りの前にあるレンズを外して清掃します。

C: ズームユニットにある2群レンズを外して清掃します。
D: ズームユニットにある3群レンズも外して清掃します。

⑨後群ユニットの取り外し

A: 段差の奥にあるイモネジを外します。
B: 後群ユニットの突き出し量を測定しておきます。

C: このレンズは19.9mmでしたが、これは個体差があるので参考程度にしておいて下さい。
D: 後群ユニットを外し、イモネジの打痕を確認しておきます。
そして後群ユニットを分解して各レンズを清掃します。

組み立てる時はまず打痕位置をユニット後ろに鉛筆でマーキングしておき、ユニットを測定値まで締め込んだらマーキング位置をネジ穴位置にセット、そしてネジ穴をライトで照らしながら打痕がネジ穴のセンターに来たら、イモネジを取り付けて完成です。

⑩絞りの清掃とA/Mスイッチ組み立て

A: この前期型レンズの絞りは固定ネジ、イモネジなどにネジ止め剤がベトベトに塗られている為に分解はあまりお勧めできません💦
やるならアセトンに一晩漬けて、ネジが緩むか確認しながら行うといいと思います。
自分は絞りが綺麗なのと、ちょっとやってヤバいと思ったので今回は見送りました💦

B: A/Mスイッチのボールを入れるのはちょっと難しく、2回ほどボールを飛ばしてしまいました💦
ボールを入れるのはスイッチを取り付けた後に行いますが、必ずグリスを付け、袋の中で作業して下さい。

後は逆の手順で組み立てれば完成です。
お疲れ様でした。

 

⑪タムロン「TAMRON 85-210mm f4.5 (Z-210 前期型)」の作例

使用カメラはフルサイズ機の「ニコンD700」で、焦点距離と絞り値は分かる範囲で記載しています^^;

⑫山の高速

絞るのを忘れてF5.6で撮ってしまいました。

⑬みちまるくん

最高のお土産は「ただいま」の一言ですね。

⑭ガチャポン

最近は面白い物が多いですが、やると散財するので自重しています(笑)

⑮ドフ

レンズのジャンクはどこも同じ物ばかりで、たまの千載一遇な出会いを楽しみに回ってます。

⑯日が暮れるのが早い

こうなるとすぐに真っ暗になります。

⑰夕日

フレア・ゴーストはそんなに出ませんでした。

⑱またまたドフ

でもたまに終活でカメラやレンズがドバっと入っていると、逆に焦る自分です(汗)

⑲テールランプ

ふと中島みゆきさんの「ヘッドライト・テールライト」を思い出す自分。
「語り継ぐ人もなく、吹きすさぶ風の中で…」プロジェクトX。
このレンズも当時の技術者の熱意が注がれていると思うと、特別な想いに掻き立てられました。

レンズを整備して写真を撮る時って、何だか初めてレンズを買った時の気分に帰れるからいいんですよね。

 

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【タムロン「TAMRON 85-210mm f4.5 (Z-210 前期型)」分解・清掃・作例】でした!

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