◎たまにはAFズームレンズを分解清掃してみようと思い、とあるリサイクルショップのジャンクボックスに転がっていたタムロンの「TAMRON AF 28-105mm F/4-5.6 Aspherical IF (179D) 」(EFマウント)を分解清掃し、作例を載せてみました。
ズームレンズの仕組みはパズルを解く感じで面白いのですが、やっぱりAFズームは電装が繊細なので大変だったりします。(汗)
この1998~2006年まで生産された179Dは、1998年にたった1年で生産を終了した79Dの外装を変えたマイナーチェンジモデルになっています。
ただ重さがちょっと重くなっているのを見ると、何となくメカ的に補強が加えられている気もしないでもありません💦
このレンズの最大の特徴はインターナルフォーカス方式を採用している為に小型軽量で、フォーカシング時に全長が変化せず、至近撮影時の周辺光量低下が抑えられると言うメリットがあるそうです。
1998年発売、2006年生産終了。 当時の価格は税込¥42.000(EF用は税込¥44.100)
モデル名: 179D 焦点距離: 28-105mm 開放F値: f4-5.6 レンズ構成: 12群15枚
最小絞り: f22 最短撮影距離: 0.5m ズーム方式: 回転式 最大撮影倍率: 1:5.6
絞り羽根枚数: 6枚 フィルター径: 62mm フード型番: 1D3FH 重さ: 311g(実測値)
外寸: 71x73mm 対応マウント: ニコン、キャノン、ミノルタ、ペンタックス
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①前群レンズユニットを外して清掃します
A: ズームリングゴムを外し、ズームリングをネジが見える位置まで回したら、ネジを取り外します。
B: そして鏡筒前枠を引き抜きます。
C: 前群ユニットの位置マーキング(回転方向)をしたら、ネジ3個を取り外します。
そして前群ユニットの間にはワッシャが入っていますので、前群ユニットを慎重に外していきます。
外した前群ユニットのレンズを清掃しますが、内部にカビが発生している場合はハメゴロシ部を削ってレンズを取り出す必要があります。(汗)
D: これがワッシャで、おそらく本体側に残っていると思います。
自分は紛失が嫌だったので、クリアランスが変わらない様に極薄に水性糊を塗ってくっつけておきました。
因みに中群レンズはこの状態で外そうとすると破損しますので注意して下さい。
②マウントと基盤の取り外し
A: まずズームを105mmにしたら指をマウント遮光部(画像Bの黄色丸参照)の下に入れてマウント遮光部を取り外します。
そして矢印の接点固定ネジ2個を外し、マウントを固定している4本のネジを外してマウントを取り外します。
B: 参照画像
C: スペーサーは位置マーキングをして取り外すと後が楽になります。
(これをしないと組み立てる時に結構迷います)
D: 基盤のカプラーロックは全てスライド式になっていますので、ロックを引いたら黄色丸のフレキシブルケーブルを取り外します。
次に基盤の固定ネジ2個を外し、基盤をずらして残りの青丸のフレキシブルケーブルを取り外します。
そして基盤を取り外します。
③マウント周辺の分解
A: 基盤を外したらフレキシブルケーブルの取り回しを確認しておきます。
B: 嵌め込んであるAF/MFスイッチを精密ドライバーで四隅を少しずつ突いて外しますが、この時にスイッチを動かしているレバーとギヤーを動かしているレバーが入っている位置を確認しておきます。
C: マウントの下駄部を取り外す為に黄色丸のネジを外しますが、下駄部を取り外す時はフレキシブルケーブルの断線に注意して下さい。
D: AFモーターユニットを取り外します。
入っているギヤーの位置は気にしなくてOKです。
④後群レンズユニットの取り外し
A: 後群レンズユニットを固定しているネジ3個を取り外しますが、このユニットにも小さなワッシャーが入っていますので慎重に作業して下さい。
B: 慎重に後群レンズユニットを取り外すとワッシャーが入っていると思いますので、紛失に注意します。
外したレンズを清掃します。
C: 紛失しないように水性の糊を極薄に塗ってワッシャーを固定しておきました。
クリアランスが気になる場合は暫く洗濯バサミなどで固定しておくと良いです。
D: ズーム部とズームリングを駆動している連動パーツの位置マーキング(ズームリング側)をして取り外します。
⑤ズーム部の分解
A: ズームリングを回転させると外れる位置がありますので、外れる位置をマーキングしたらズームリングを取り外します。
B: フォーカスリング筒を固定しているネジ3個を取り外します。
C: フォーカスリングの位置マーキングをして取り外します。
D: ズーム位置検出接点は横方向に調整されていますので、矢印部に位置マーキングをしたら接点を取り外します。
⑥2群レンズユニットの取り外し
A: 接点の付いているフォーカス駆動レバーを取り外しますが、ここは接点を変形させない様に慎重に取り外す必要があります。
もちろん先に接点を取り外してから行うのが安全ですが、ドライバーを押し当てる際にレバーを変形させるリスクがあるので自分は黄色丸の固定ネジを外し、接点の様子を見ながら慎重に外しました。
B: これは前群を固定する筒を外した状態の様子で、こんな仕組みになっています。
もちろんこの状態では2群レンズユニットが当たって前群を固定する筒は組む事も外す事もできません💦
C: 接点の付いたフォーカス駆動レバーを外したら、2群レンズユニットを反時計回りにゆっくり回して外れる瞬間の位置を内側のヘリコイド手前枠にマーキングしておきます。
外したレンズを清掃します。
D: 前群を固定する筒のネジ3個を取り外します。
⑦ズームユニットの分解
A: 前群を固定する筒の位置マーキングをしたら取り外します。
B: 各黄色点部にはしっかり合いマーキングをしておきます。
そして黄色丸のコロは全周全て外します。
白いコロにはスプリングが入っているので、飛び出しに注意して下さい。
下のコロは引き抜くだけですが、取り付け角度が決まっているので注意して下さい。
C: ズームユニットを外れる位置まで回し、位置マーキングをしたら引き抜きます。
D: 外したズームユニットの各黄色点部に合いマーキングをしたら、内部のパーツを取り外します。
⑧3、4群のレンズ清掃と組み立ての注意点
A: 取り外した3、4群のレンズを清掃し、後は逆の手順で組み立てます。
B: 2群レンズを組み立てる時はこんな感じで2群ユニットを筒の後ろから指で押さえながらマーキングした位置に組み込み、フォーカス連動レバーを組付けます。
C: 基盤を組み込む時はまずAFモーターのフレキシブルケーブルを取り付けてから基盤を取り付け、残った3本のフレキシブルケーブルを取り付けると良いです。
お疲れ様でした!
⑨「TAMRON AF 28-105mm F/4-5.6 Aspherical IF (179D) 」の作例
使用カメラはセンサーサイズがAPS-Cの「Canon EOS KISSx3」です。
ISO200 43mm F8.0
⑩時計
⑪岸壁の手摺
⑫観覧車とショッピングモール
⑬駐車場
⑭ランタン
105mm f5.6
インナーフォーカス式なので、至近距離での周辺減光はほとんどありませんでした。
⑮ヨット
⑯ショッピングモール
⑰出航するヨット
⑱ベンチ
⑲夕焼け
⑳リサイクルショップ
㉑玉ボケ
59mm f5.0
フルサイズ機ではないので、隅の口径食は分かりません💦
自分の勝手な思い込みで「インナーフォーカス式」のレンズは写りが良いと思っていましたが、このレンズも例外なく廉価版ズームでも期待を裏切らないものでした。
今となっては広角端が物足りない気もしますけど、インナーフォーカス式でフォーカスも割と早く、全ズーム域で安定した描写が出来る良いレンズだと思います。
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
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以上、【タムロン「TAMRON AF 28-105mm F/4-5.6 Aspherical IF (179D) 」(EFマウント)分解清掃・作例】でした!
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