◎とあるリサイクルショップのジャンクコーナーにいつまでも売れ残っているズームレンズ達を見ていたら、タムロンの古いズームレンズ「TAMRON 70-210mm F3.8-4 (46A)」がカビジャンクで転がっているのを発見。
三度はスルーしたのですが(笑)、タムロンのHPに「50万本の発売実績を誇る80-210mmF3.8/4(03A・103A)の焦点距離を10mm伸ばしながら56gも軽量化したグレードアップズームレンズです」と書いてあるのを見て、どんなものかと買ってきてみました。
あとこの時代の一部のタムロンズームに言える事ですが、後群レンズユニットを清掃しようとそのまま無理やり回しても外れませんし、調整されている後群の調整が狂う確率が高いので気を付けて下さい(汗)
後群を外すには鏡筒を分解して中の調整部ネジを緩める必要があります。
詳しくは下記に記しておきました。
1986年発売、1988年生産終了 当時の価格は¥38.800 フード型番: 84FH
マウント: 交換型アダプトール2 レンズ構成: 9群12枚 最小絞り: f22
最短撮影距離: 0.9m ズーム方式: 直進ズーム 最大撮影倍率: 1:2.9
フィルター径: 58mm 外寸: 66×143.9mm 重さ: 636g
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①前群、2群レンズの分解清掃
A: 吸盤オープナーなどで前群レンズユニットを反時計回りに回して外し、分解して各レンズを清掃します。
B: 次に2群レンズを固定しているロックリングを吸盤オープナーなどで反時計回り回して2枚のレンズを取り出しますが、レンズを外す時は必ず向きのマーキングをしておいて下さい。
C: 各レンズを清掃します。
②後群レンズユニットの取り外し
A: この時代のタムロンズームの後群レンズは調整して固定してあり、そのまま後ろから回しても外れません。
無理に回すと必ず調整が狂いますので気を付けて下さい。
(この調整が狂うとテレ端から広角端へズームした時などに激しくピントずれが発生するようになります)
まず指標が書いてある筒をずらす為に2個のネジを外します。
B: もう一つのネジも外します。(合計3個)
C: そして筒をずらすと後群を調整固定しているネジが3個見えると思いますが、外す前に必ず位置マーキングをするか、後群の突き出し量を測定しておきます。
(このレンズの場合、マウント平面から後玉キャップの突き出し量は8.6mmでした)
もし再調整したい場合はこの状態でカメラに取り付け、景色(遠景がおススメ)にピントを合わせたら望遠端と広角端の往復で一番ピントのズレない位置にセットすれば良いです。
D: 後群を分解して各レンズを清掃しますが、このレンズの一部はハメゴロシになっていて取り外せませんので、付いた状態でそのまま清掃します。
③鏡筒の分割と絞りのチェック
A: 鏡筒を組み合わせているネジ4個を取り外します。
B: 鏡筒を引っ張って分割します。
C: 絞りに油が滲んでいないかチェックし、もし滲んでいる場合や動きの悪い場合は分解清掃しておきます。
このレンズはズーム&ヘリコイド部が絞りと独立していますので、まず油滲みは無いと思われます。
④3群レンズの清掃とヘリコイドグリス交換の準備
A: 3群レンズを固定しているロックリングをカニ目ツールなどで反時計回りに回して外し、入っているレンズの向きをマーキングしながら取り外します。
B: 3群レンズを清掃します。
レンズの清掃のみでしたら、後は逆の手順で組み立てて完成となります。
C: ヘリコイドグリスを交換する為に、まず確認用としてフォーカスが無限遠の時のヘリコイド筒の突き出し量を測定しておきます。
D: このレンズは6.4mmでしたが、個体差もありますので参考程度にしておいて下さい。
⑤ヘリコイドの分解
A: フォーカス&ズームリングに接着してある盲蓋を2個外します。
B: フォーカスリングを無限遠にセットしてネジの位置マーキングと位置マーキングをしたヘリコイド筒に合マークをしておきます。(マーキングは一箇所でOKです)
そしてコロの付いたネジを2個外します。
組み立てる時はヘリコイドの抜ける瞬間の位置から入れてマーキングに合わせれば良いです。
C: ヘリコイドはかなりゆっくり慎重に回し、抜ける瞬間の位置をマーキングしておきます。
D: ヘリコイド筒(外側)の古いヘリコイドグリスを灯油やホワイトガソリンで奇麗にし、新しいヘリコイドグリスを固めの筆で均一に塗布します。
⑥ヘリコイドグリス交換と無限遠調整
A: 内側のヘリコイドも同じように灯油かホワイトガソリンで奇麗にしたら、ヘリコイドを抜けた瞬間の位置から入れ、画像⑤のBのマーキング位置で組付けます。
B: 無限遠調整をするにはまずフォーカス&ズームリング下部の3個のイモネジを緩め、指標リングを下にずらします。
C: レンズをカメラに取り付け、黄色丸の部品を全て外したら遠景にピントを合わせます。
遠景でピントが合った位置でフォーカスリングが無限遠の位置で止まるように部品を組付ければ完成です。
そして指標リングを鏡筒の基準線に無限遠マーク中心部を合わせてセットし、イモネジを締めれば完成。
(指標リングはプラスチック製なので強く締めると潰れるので注意!)
これでも無限遠が出ない時はヘリコイドを外し、山を一つずつ変えて再調整する必要があります。
⑦「TAMRON 70-210mm F3.8-4 (46A)」の作例
使用カメラはフルサイズ機のニコンD700で、焦点距離と絞り値はすっかり忘れたので分かる範囲で記入しています💦
あとこの時は小雨が降っていたので、ちょっと冴えない画像なのはご了承ください。
⑧危険看板
開放で撮影しています。
ただの土手なのに危険な理由がちょっと分からないです(汗)
⑨川岸に咲く花々
⑩すずしろ
⑪川岸の花々
⑫菜の花
⑬枯れたススキの穂
⑭遠くの橋
⑮雑草の雨雫
⑯シジミチョウ
⑰土手の雑草
⑱橋の欄干
前モデルが50万本も売れたレンズの最終モデルだけあって、とてもいい写りだと思いました。 ピントの合う部分は程よくシャープに写り、背景のボケ具合はタムロンらしい柔らかさに好感がもてました。
ネイチャー撮影に最適のレンズです^^
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
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以上、【タムロンズーム「TAMRON 70-210mm F3.8-4 (46A)」分解・清掃・作例】でした!
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