キャノン「Canon EF24-85mm F3.5-4.5 USM」分解清掃・作例

キャノン

◎以前から気になっていたキャノンの「Canon EF24-85mm F3.5-4.5 USM」なんですが、割と高くて今まで手を出すのを躊躇していました。
しかしある日、リサイクルショップでカビカビの格安ジャンクレンズを発見、状態もろくに確認せずに買って来てみました^^;
(清掃後にカビだけでなく、AFもダメな事に気付きます)

このレンズは1996年に発売されたフィルムカメラ「EOS IX E」と同時に発売され、レンズ名は「IX E EF24-85mm F3.5-4.5USM MS付き」とキャノンのホームページに書かれていて、他にも黒色が存在しているみたいですが未だに見た事がありません💦
あとこの時代のリングUSMを使ったEFレンズの設計はほぼどれも同じで、一度分解清掃をやれば同時代のEFレンズも出来る様になると思います。

1996年9月発売  当時の価格は¥58.000  レンズ構成: 12群15枚  絞り羽根枚数: 6枚
最小絞り: F22-32  最短撮影距離: 0.5m  最大撮影倍率: 0.16倍  フィルター径: 67mm
外寸: 73×69.5mm  重さ: 380g

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

 

①1群レンズユニットの取り外し

A: カビは1群~4群までびっしり生えていました💦
B: 銘板シールをドライヤーで温め、この穴に千枚通しを入れて変形しない様にゆっくり剥がします。

C: 銘板を剥がしたらとりあえず1個のネジを外します。
D: 1群レンズユニットと基部との合わせ位置マーキングをしたら、残りの2個のネジも外します。

②1群レンズの清掃

A: 後ろのレンズ固定枠を削るor広げてからドライヤーでユニットを温め、吸盤オープナーにユニットを入れてトントンと衝撃を加えます。
B: レンズが外れました。

C: 各レンズを清掃したら、再びレンズを固定します。
(削った場合は接着剤スーパーXなど、広げた場合は半田ごてで溶かして固定します)
D: 前枠を固定しているネジ3個を外します。
固定している位置はフォーカス機構の凹があるのでマーキングしなくてもいいです。

③前枠・マウント外し

A: 前枠を外す時は念のために中間筒の組合せ位置マーキングをしておきます。
B: 前枠が外れました。

C: マウントの電子接点のネジ2個を外します。
D: マウントの4個のネジを外しますが、ここですぐにマウントを外すとフレキシブルケーブルが千切れて再起不能になりますので気をつけてください。

 

④マウント外しとフレキシブルケーブル

A: マウント接点を下側にしたら上からマウントをゆっくり開き、指を入れて黒い遮光パーツを外します。
この時にくれぐれも接点のケーブルに負担を掛けない様にして下さい💦
B: 遮光パーツはこの4つの爪で固定されていて、レンズを組み立てる時は一番最後に取り付けます。

C: 念の為に接点のフレキシブルに亀裂や剥がれがないかチェックしておきます。
D: 次に4本のフレキシブルケーブルを外しますが、矢印のカプラーのみロック機構が無くそのまま抜き差しするタイプになります。

⑤フレキと基盤外し

A: 左のロック付きカプラーはロックを手前に引いてフレキを引き抜き、組む時は逆の手順で取り付けます。
右のカプラはただ抜き差しするだけでいいです。
フレキを組む時は接点を接点復活剤で拭いておくとトラブルを防げます。
B: 4本のフレキシブルケーブルを抜きました。

C: フレキに隠れているネジを外します。
D: フレキを傷めない様に基盤を外します。

⑥フレキと下部ケース外し

A: フレキシブルケーブルは両面テープで固定してある箇所がありますので、ドライヤーで温めながら慎重に剥がします。
B: こちらも慎重に剥がしておきます。

C: 下部ケースを固定しているネジ3個を外します。
D: フレキに注意しながら慎重に下部ケースを外し、嵌めてあるだけのフォーカスリングも取り付け状態を確認しながら外します。

⑦4群レンズユニット・ズームリング外し

A: 4群レンズユニットを固定しているネジ3個を外します。
B: 4群レンズユニットを外してレンズを清掃しますが、内部にカビがある場合は固定枠を削ってレンズを取り出す必要があります💦

C: ズームリングのグリップゴムを外し、中にある連動ネジも外します。
D: そのままゆっくり回せばズームリングが外れますので、取付位置を確認しておきます。

⑧USM分離と3群レンズユニット外し

A: USMモーターとズームユニットを固定しているネジ3個を外し、取付位置を確認しながらズームユニットを引き抜きます。
B: 3群レンズユニットを固定しているネジ3個を外します。

C: 取付位置を確認しながら3群レンズユニットを外し、レンズを清掃します。
D: ズームユニットの外枠を固定しているネジ2個を外します。

⑨2群レンズユニットの分解清掃

A: ズームリング連動部を外します。
B: 取付位置をマーキングしながらズームユニット本体を取り出します。

C: 取付位置をマーキングしながら2群レンズユニットを回して取り外します。
D: 画像②の要領でレンズを外し、各レンズを清掃します。

⑩電子接点のメンテナンス

A: 古くなった接点は見た目以上に導通が悪くなっている事がありますので、ズームユニットから端子を外し、接点復活剤を綿棒に塗布したもので接触面と接点を清掃しておきます。

B: リングUSMのパーツ清掃する時はこの固定リングを回せば簡単に外す事ができますが、外す前に固定リングの位置マーキングをしておくと良いです。
C: 外したUSMのパーツは接触面を軽く拭いておきます。

D: USMを外したら、フォーカス部の接点と接触面も清掃しておきます。

⑪AFがひたすら往復を繰り返す故障の修理

☆このレンズを分解清掃してカメラに取り付けたら、フォーカスがひたすら往復を繰り返して全くピントが合わない状態でした💦
その原因は移動量を検知するフォトカプラと読み取り用の半月透明プラに劣化したグリスの基油が染み込んでいたからでした

もしこれがフレキシブルケーブルの断線の場合はAFは全く動作しなくなったり、絞りエラーが出ます。

A: ズームリングを外すとこの部分が見えるので、まずフォトカプラを外します。

B: そして半月透明プラを外し、半月透明プラとその周囲の油をエタノールなどで清掃します。
フォトカプラの半月透明プラが入る部分もエタノールを垂らしてブロアで吹き飛ばす作業を2~3回やればAFは回復すると思います。

後は逆の手順で組み立てれば完成です。

⑫「Canon EF24-85mm F3.5-4.5 USM」の作例

85mm  F8.0
使用カメラはAPS-Cの「Canon EOS KISSx4」になります。

⑬晴天

24mm  F8.0

⑭サービスエリアにて

24mm  F8.0

⑮やっぱりここに

24mm  F9.0

⑯唐揚げ屋

35mm  F9

⑰新居関所

24mm  F9.0

⑱廃墟

24mm  F9.0

⑲最短撮影距離

85mm  F8.0

⑳ボート

85mm  F8.0

㉑東海道本線

85mm  F8.0

㉒逆光

85mm  F6.3

㉓パチンコ店

46mm  F8.0
☆オートフォーカスはリングUSMのお陰でとても早く、広角端の画質も良好でそこそこ寄れるので便利です^^
逆光にも割と強いですが、悪条件だと開放と望遠端はちょっと甘く感じる事はありました。

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【キャノン「Canon EF24-85mm F3.5-4.5 USM」分解清掃・作例】でした!

 

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