◎今回は1987年に発売された「EF35-70mm F3.5-4.5」からフォーカスリング、AF/MF切り換えスイッチ、指標窓を省いた廉価版の「EF35-70mm F3.5-4.5A」を分解清掃して作例を撮った内容になっています。
レンズ構成は1983年に発売された「New FD35-70mm F3.5-4.5」から全て共通になっています。
1988年10月発売 当時の価格は¥27.400 レンズ構成: 8群9枚
絞り羽根枚数: 5枚 最小絞り: F29 最短撮影距離: 0.39m
最大撮影倍率: 0.2 フィルター径: 52mm 外寸: 68.8x63mm
重さ: 230g
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①マウントの取り外し
A: 電子接点を固定している2個のネジを外します。
B: マウントを固定している4個のネジを外します。
C: フレキシブルケーブルを傷つけないよう慎重にマウントを少し開け、遮光パーツを裏から押して外し、電子接点も外します。
D: こんな感じでマウントを外します。
②電子基板の取り外し
A: 絶縁シートの取付位置を確認しながら絶縁シートを外します。
B: ハンダ付けしてある部分にフラックスを塗ります。
C: ハンダ吸い取り線か、ハンダ吸い取り機を使ってハンダを除去します。
D: フレキシブルケーブルがしっかり外れたか確認します。
③基盤の取り外しと飾り環の取り外し
A: 基盤を固定しているネジを外し、フレキシブルケーブルを傷付けない様に基盤を外します。
B: 端子がブリッジしていないか、実装している電子部品のハンダクラックがないか確認しておきます。
C: マウントの飾り環の取付位置を確認しながら外します。
D: 前玉にある飾り環は爪と少量の接着剤で固定されていますので、隙間に小さいマイナスドライバーを入れて周囲を少しずつ持ち上げていくと外す事ができます。
④AF連動リングの取り外し
A: このレンズはMFモードが無いので、ちょっと強引ですが前枠を時計回りに回して無限遠にします。
そしてBで外す連動リング、固定している金色のプレート、前群レンズの合わさる位置マーキングをしたら、3個のネジを外します。
B: ズームリングを50mmにセットしたらAF連動リングを斜めにして外しますが、ここの爪は左右大きさが違うので、ここも合い位置マーキングをしておきます。
C: ダスト防止シートを外します。
D: ヘリコイドストッパーを外します。
⑤前群レンズユニットの取り外し
A: 前群レンズユニットをゆっくり慎重に回し、外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。
B: マウントベースのネジを外しておきます。
C: 無限遠位置での前枠突出量を測定しておくか、写真を撮っておいて下さい。
D: 前枠を取り外しながら、内側リングが外れる時の写真を撮っておいて下さい。(組み立ては下に記してあります)
⑥鏡筒の分解
A: ズームユニットを引き出しながら合い位置マーキングをしておきます。
B: この時にダストシールが外れてしまう事がありますので、外れていないか確認しておいて下さい。(アルミリングが下で、ダストシールが外側です)
C: このレンズはAFモーターがガタガタだったので取り外して点検しました。
(問題がなければ外す必要はありません)
D: ズームユニットとAFモーター、前枠を仮組するとこんな感じになっています。
⑦AFモーターのガタつき修理
A: ここは前枠のギヤとAFモーターのピニオンの噛み合いを調整する部分で、この溝に入れて左右にスライドさせて噛み合い具合を調整しています。
B: 何とですね… ここのネジが緩んでAFモーターユニットがガタガタになっており、しかも外装部は接着で組み立ててあり、締める事ができません💦
C: なので仕方なくネジ位置を測定し、ドリルで穴を開けてそこからネジを締める事にしました💦
D: 右が締めて固定できたAFモーターユニットの取付L字金具で、左の噛み合い調整位置はこれぐらいでした。
⑧後群レンズユニットの取り外しと清掃
A: 後群レンズユニットを固定している片方のスライダを外します。
B: フレキシブルケーブルの固定ネジを外し、後群レンズユニットを取り出します。
C: どんなレンズも手間のかかる中のレンズにカビが生えていますよね…💦
D: ユニットを分解して各レンズを清掃し、ついでに絞りユニットも点検しておきます。
⑨組み立て
A: ズームユニットの軸はズームリングの駆動部にしっかり入れます。
B: フレキシブルケーブルが噛んでいないかチェックします。
C: 前枠と中のリングをこの位置にセットします。
⑩前枠の組み立て
A: そして中のリングをヘリコイドストッパーが止まる位置まで回します。
B: そしてここのギアが組み合う位置で入れていきます。
(AFなので大体の位置で大丈夫です)
C: そしてズームユニットのくぼみにこの凸部を入れ、止まる位置まで入れます。
D: 中のリングを時計回りに回してロックします。
⑪ヘリコイドストッパーの取付など
A: 前枠を時計回りに回してヘリコイドストッパーが入る位置で止めたら、ヘリコイドストッパーを取り付けます。
(ここで画像⑩のDの中のリングがしっかりロックされていないと入りません)
B: ヘリコイドストッパーを取り付けたら、前枠を動かして正常に動くかチェックします。
C: 前枠を止まるまで時計回りに回し、無限遠の位置にセットします。
次に前群ユニットを外れた瞬間の位置から入れて停止する位置まで回し、そこから5mm戻します。
D: AF連動リングの凸が薄い方をヘリコイドストッパーのある位置から斜めに入れ、厚い凸も入れて組み込みます。
そして連動リング内側の突き出している範囲でマーキング合わせて組み立てれば完成です。
お疲れ様でした。
⑫Canon EF35-70mm F3.5-4.5Aの作例
35mm F10.0
使用カメラはAPS-Cの「キャノン EOS KISSx4」になります。
⑬東海道線
⑭稲
⑮工場
⑯バイク屋
⑰ドフ
⑱混雑
⑲物撮り(プライズフィギュア初音ミク)
⑳高架橋
㉑積乱雲
㉒リサイクルショップ
夜間の開放ではそれなりにパープルフリンジが出るものの、広角は開放から良く写る感じで、廉価版のズームレンズとして十分な性能を持っていると思いました。
とても暑い日が続きますので、皆さんも体調には気を付けてお過ごし下さい💦
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
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以上、【キャノン「EF35-70mm F3.5-4.5A」分解清掃・作例】でした!
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