キャノン「New FD35-105mm F3.5-4.5」分解清掃・作例

キャノン

◎とあるリサイクルショップにキャノン「New FD35-105mm F3.5-4.5」のカビジャンクがあったので、買って来て分解清掃し、作例を撮った内容になっています。

このキャノン「New FD35-105mm F3.5-4.5」は分解組み立てがかなり困難な造りになっていて、ズームレンズの分解に慣れた自分でも嫌になる程でした^^;
なのでこのレンズの分解清掃はズームレンズの分解清掃に慣れた人にしかオススメできません💦

あとこの「New FD35-105mm F3.5-4.5」の光学系は1987年に発売された「EF35-105mm F3.5-4.5」にそのまま受け継がれましたが、3群の3番目にある貼り合わせレンズにバルサム切れやコーティング劣化し易い問題を抱えている事が多いです。
因みにこのレンズの仕組みは、1987年に発売された「EF35-105mm F3.5-4.5」とほとんど似た構造になっています。

1985年12月発売 当時の価格は¥48.000 レンズ構成: 11群14枚
絞り羽根枚数: 5枚 最小絞り: f22 最短撮影距離: 1.2m 最大撮影倍率: 0.103
フィルター径: 58mm 外寸: 66.8×83.7mm 重さ: 345g

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①1群レンズユニットの取り外し

A: プラスチック製のロックリングの溝にアセトンを垂らし、ちょっと待ってから緩めます。
B: 外したロックリングの溝に残っている接着剤は取り除いておきます。

C: 1群ユニットを回して爪に溝を合わせます。
D: この状態になったら1群ユニットを外す事ができます。

②1群レンズ清掃と4群レンズ清掃

A: Cリングを外して各レンズを清掃します。
B: 4群レンズを固定しているロックリングを外します。

C: 外しながらレンズの向きマーキングをし、外したレンズを清掃します。
D: ズーム&フォーカスリングを105mm&最短撮影距離にセットします。

③ヘリコイド部の取り外し

A: ネジの位置マーキングをしたら、ネジを外します。
(ここがおそらく無限遠調整になっていると思います)
B: そのままゆっくり慎重にヘリコイド部を回し、おおよそ120°で外れますので、外れた瞬間の位置を指標線の位置を基準にしてマーキングしておきます。
「CANON…」と書かれたサブヘリコイドも指標を基準に内側の金属ヘリコイドとサブヘリコイドの位置関係をマーキングをして、ここからは動かさないようにして下さい。

C: 参考としてヘリコイド部が最短撮影距離から外れるおおよその角度になります。
D: マウント部のネジ3個を外します。

④マウントの取り外し

A: マウントの内側にある可動部を外します。
B: ゆっくり慎重にマウント可動部を持ち上げながら、各レバーが入っている位置を確認しておきます。

C: マウント基部の4個のネジを外します。
D: 絞りリングを外しますが、クリックピンが飛んでく可能性があるので、できれば袋の中で作業します。

⑤マウント分解の続きと恐怖の2群外し

A: 絞りリングのクリックピンがあるか確認します。
B: 連動リングを外します。

C: 2群レンズユニットをこのピンを押して前に出すのですが、ここからはパーツが飛びまくるので、必ず透明な袋の中で作業して下さい。
まず金属ピンを押して斜めの溝に出たら金属ピンと小さいバネを回収します。
そして2群がズーム筒から出たらプラスチック製コロと大きいバネを回収します。

D: ちゃんとパーツを回収できたかチェックします。
ピンやコロは専用パーツなので、絶対に紛失しないようにして下さい💦

⑥2群レンズ清掃と鏡筒分解

A: 2群レンズユニットは三ヶ所の爪を外側に推すと分解できます。
B: 各レンズの向きをマーキングしながら外して清掃します。

C: ズーム&フォーカスリングを回して中のネジが見えたら外します。
D: 指標部をロックしているプラスチック製のリングを60°ほど回転させると指標部が外れますが、仕組みを次の画像で解説しますのでご覧ください。

⑦指標部の取り外し

A: 参考にこれがロック状態でリングの凸で指標部が固定されています。
B: これがリングを回して山が無くなりフリーの状態で指標部が外れます。
組み立てる時はリングを必ずこの位置にして下さい。

C: さらに参考として、指標部にある溝にリングの凸部が入っている位置です。

D: フリーにしたら指標部の位置マーキングをしながら外し、フォーカスリング下部も外します。

⑧ズームユニットの分解

A: スライダロックを固定している3個のネジを外します。
B: スライダロックの位置マーキングをしたら、開きながら外します。

C: ズームユニットの固定部をまず右にスライドさせ、取り付け位置のマーキングをします。
D: 止まった位置から今度は反時計回りに回せば外れます。

⑨ズームユニットの分解続きと3群レンズ(4枚目)の取り外し

A: こんな感じで外れますが、遮光パーツも一緒に外れるかもしれません。
B: 遮光パーツは位置決めが無いのでそのまま外せばOKです。

C: サブヘリコイドを外す前に、マーキングした位置から矢印とは逆方向の時計回りに回し、何回転で止まるかメモをしてから取り外します。
D: 3群4枚目のレンズを固定しているCリングを外し、レンズの向きをマーキングしながらレンズを外します。

⑩絞り点検と苦難の3群レンズ外し

A: レンズを外すとこんな状態になります。
B: 絞りユニットを固定している2個のネジを外し、絞り駆動ピンの入っている位置を確認しながら外します。

C: 外した絞りユニットを動かして点検し、油滲みがあった場合は分解清掃します。
D: 3群レンズを固定しているCリングを外し、レンズの向きをマーキングしながら順次3枚を外していきます。
レンズを傷つけないようにL字のピックツールなどを使いながら慎重に外していきます。

⑪3群レンズの清掃とバルサム切れ修理

A: 外したレンズを清掃しますが、残念ながら3枚目のレンズはバルサム切れしていました💦
しかもコーティングもちょっと劣化しています。
B: バルサム剥がし器を使って分割しましたが、これは1分で剥がれました。

C: 今回は残った古いバルサムがエタノールで奇麗に剥がす事ができたので、そのまま天然バルサムで貼り合わせました。
D: レンズがしっかり枠に入っている事を確認しながら慎重にレンズを組み立てていきます。

後は逆の手順で組み立てていきます。

⑫組み立ての注意点

A: 絞りユニットは回転方向に若干のガタがありますので、表面に付いているネジ頭の打痕の中心にネジ穴が来るように組むと良いです。
B: ズームユニットを組む時はこの鉄板のスライダーを溝にしっかり入れておかないと、組む時に噛み込んでグチャグチャになるので気をつけてください💦
噛み込んだまま組むとズーミングした時に途中で重くなったり、動かなくなる危険があります。

C: ズームユニットを組む時は、この遮光パーツの斜めになっているスライダの溝の間に外枠の筒の後ろの凸を入れる必要があります。
外枠を入れながら、外枠の後ろにある凸に誘導しながら組み合わせるといいです。

D: 2群レンズユニットを組むのが難関ですが、バネとプラのコロ3組を入れてからアルミ缶を切った物で巻いて入れるといいかもしれません。
(ピストンリングコンプレッサーみたいな使い方です)
自分はすっかり慣れてしまったので、2群レンズユニットを斜めにしながらコロ&バネをそれぞれ入れていき、そのまま押し込みました。
そして斜めのズームカムの隙間(画像⑬のA参照)まで入れたら、また2群レンズユニットを斜めにしながら小さいバネとコロ3組を入れて組み立てました。
尚この作業は必ず袋の中で行ってください

⑬組み立ての補足画像

A: この時点で小さい方のバネとピンを入れ、2群レンズユニットを傾けながら一つずつ入れていきます。(パーツ紛失に注意&防護メガネをして下さい)

B: 指標部を組む時は必ずリングをフリーの状態(画像⑦のB)にし、フォーカスリング下部を入れ、指標部をマーキングに従って入れたら、リングを60°回転させてロックし、ネジで固定します。

お疲れさまでした!!   (^^;

⑭「New FD35-105mm F3.5-4.5」の作例

使用カメラはフルサイズミラーレスのソニーα7で、焦点距離と絞り値はご想像にお任せします^^;

⑮踏切にて

⑯撮り鉄

⑰甲種輸送

絞るのを忘れてたかもしれません💦

 

⑱DD200-21

 

⑲車掌車

 

⑳試験車両

 

㉑ミツバチ

 

㉒自転車置き場

もう写りより分解組み立てが出来た事の喜びの方が大きかったです^^;
「New FD35-105mm F3.5-4.5」と「EF35-105mm F3.5-4.5」は3群の合わせレンズに問題を抱えているレンズが多く、本来の実力が分かっただけでも良しと思いました。

 

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【キャノン「New FD35-105mm F3.5-4.5」分解清掃・作例】でした!

 

 

 

 

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