キャノン「New FD70-150mm F4.5」分解清掃・作例

キャノン

◎1970年代の後半に75-150mmのレンズが各社から発売され、キャノンは広角側を70mmにした「Canon New FD70-150mm F4.5」を1979年に発売しました。
でも結局この焦点距離のズームはすぐに終焉を迎え、キャノンもこの70-150mmに続く製品は発売されませんでした。
結局、コンパクトだけど望遠側が物足りなかったんでしょうね💦
それに寄れないレンズが多かったのも良くなかった感じがします。

1979年6月発売  当時の価格は¥45.000  レンズ構成: 9群12枚
絞り羽根枚数: 6枚  最小絞り: F32  最短撮影距離: 1.5m
最大撮影倍率: 0.13倍  フィルター径: 52mm  外寸: 63x132mm
重さ: 530g  フード内蔵  FDマウント  直進ズーム

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①1群レンズの取り外し

A: 内蔵フードを固定しているロックリングを外します。
B: 内蔵フードを取り外します。

C: フードを外すと現れるイモネジを緩めます。
D: 1群レンズは銘板と一体になっていて無限遠調整も兼ねているのでフィルター枠からの深さを測定しておきます。

②2群レンズの取り外し

A: 1群レンズの深さは4mmジャストでした。
B: 1群レンズを反時計回りに回して外したら清掃します。

C: 次に2群レンズユニットをカニ目レンチなどを使って反時計回りに回して外します。
D: こんな感じで外れます。

③4群レンズの取り外し

A: 2群レンズユニットを分解し、レンズの向きをマーキングしながら取り出して清掃します。
B: マウントの奥にある4群レンズユニットをカニ目ツールなどを使って反時計回りに回して外します。

C: こんな感じで外れますが、ひょっとしたら奥にあるレンズもくっついてくる可能性も否定できません💦
(奥のレンズはゴム製のリングで貼り付いていますので、後で外します: 画像⑩のA)

D: 4群レンズユニットを分解し、レンズの向きをマーキングしながら取り出して清掃します。(奥の1枚のレンズは嵌め殺しで、3個目のプラスチック製のスペーサーは向きに注意して下さい)

④鏡筒の分離

A: 鏡筒の指標部にあるイモネジを外します。
B: 指標筒を前方にずらします。

C: ここはバックフォーカス?の調整がされていますので、幅を測定しておくか、画像Dの様にネジのセンターをマーキングしておくと良いです。
マウントのメンテナンスをしない場合は画像⑤のBの連動リンクの入っている場所を確認しながら鏡筒を分離して下さい。

⑤マウントのメンテナンス

A: マウントの内部可動部を外す時はこのリングを外します。
B: マウントを分解する時は外す前に必ず各リンク位置を確認します。
(レンズをカメラマウントから外した状態です)
確認したら鏡筒とマウントを分離します。

C: FDレンズはマウント周囲の大きい方のネジを外す事でマウントが分解できますが、間違えて小さい方を緩めると無数のベアリングのボールが脱落しますので注意して下さい💦
D: 今回は動きが悪かったのでベアリングも分解清掃しました。

⑥マウントのメンテナンスB

A: 鏡筒を分離してマウントも分解して各パーツを清掃・点検します。
真ん中の絞りリングには特殊なクリックピンが使われているので、失くさない様にして下さい。
B: 可動部にグリスを少量塗布して絞りリングを組み込みます。

C: 制御リングも位置に注意して組み込みます。
D: ベアリングのレースを入れたらレースを偏心させながらボールを入れていきます。
ここはグリスを塗るとゴミが噛み込み易くなるのでやめた方がいいでしょう。

⑦鏡筒の分解

A: 指標筒を外します。
B: ヘリコイドグリスを交換するので、最短撮影距離位置でのフォーカスリングと指標部端との幅を測定しておきます。

C: 個体差もあるかもしれませんが、このレンズは27.4mmでした。
D: フォーカスリングゴムを外します。

⑧ヘリコイドグリス交換

A: フォーカスリングにあるストッパーネジを外します。
B: そのままかなりゆっくり慎重にフォーカスリングを回し、外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。(実際は5ftの辺りで外れました)

C: 古いグリスをブラシと洗浄油で落とします。
組み立てる時に新しいヘリコイドグリスを固めの筆で塗布します。
D: 3群レンズユニットを固定している部品3組を取り外しますが、向きや位置決めはありません。

⑨3群レンズの清掃

A: こんな感じで3群レンズユニットは外れますが、ユニットの向きは組む時に間違えないで下さい。
B: 3群レンズユニットを分解し、レンズの向きをマーキングしながら取り出して清掃します。

C: 絞りユニットを固定している3個のネジを外しますが、とりあえず1本だけ外します。
D: このレンズは絞りユニットの回転方向に僅かな調整がありますので、位置マーキングをしておきます。
そして残りのネジを外し、絞りユニットを取り外します。

⑩絞りユニット点検・清掃

A: 絞りユニットを外すとようやく4群レンズの先頭を外す事ができます。
レンズの向きをマーキングしながら外し、清掃します。
B: このゴム製のスペーサーは経年劣化で変形が戻らない為、付いていた向きで付け直すのが理想です。

C: 絞りユニットは接着で組み立ててある為、油滲みが酷いか動きが不調な以外はエタノールで表面を清掃する程度にしておいた方が良さそうです。
油滲みが酷い時は洗浄油にドブ漬け清掃がいいかもしれません。

D: 後は逆の手順で組み立てますが、最後の1群レンズを組み立てる時は、ネジ穴を照らしてネジの打痕がセンターに来るように組み立てるといいです。

お疲れ様でした。

⑪「Canon New FD70-150mm F4.5」を伸ばすと

内蔵フードを伸ばし、直進ズームを150mm、最短撮影距離の1.5mにするとこれだけ長くなります。

⑫「Canon New FD70-150mm F4.5」の作例

使用カメラはフルサイズミラーレスの「ソニーα7」になります。
暑かったので夕方~夜間の画像がメインになっていて、絞り値はほとんど開放で撮影、焦点距離は忘れたので適当になっています💦

⑬夕焼け空

70mm  F8.0

⑭木のシルエット

100mm  F4.5

⑮バス停

150mm  F4.5

⑯チューカイ君

85mm  F4.5

⑰交差点

150mm  F4.5

⑱ゲーセン

70mm  F4.5

⑲ドンペン

120mm  F4.5

⑳ハーレーダビッドソン

85mm F4.5
無理をしていない2倍ズームなので割と良い画を出す印象でした。
ただやっぱり望遠端が物足りない&寄れないと思うシーンが多々あって、70-210mmなどに人気が移行してしまう理由を感じました。

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【キャノン「New FD70-150mm F4.5」分解清掃・作例】でした!

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