キャノン「FL50mm F1.8 I型(前期型)」分解清掃・作例・新旧比較

キャノン

◎キャノン続きになってますが💦、今回はキャノンの「FL50mm F1.8 I型(前期型)」分解清掃して作例を撮り、後期型のレンズも分解してレンズの新旧比較をしてみました。

キャノン「FL50mm F1.8 I型(前期型)」と言うとアトムレンズでグルグルボケが出易い事で知られていますが、今回新旧のレンズを比較して後期型にグルグルボケが出にくくなった原因が分かった気がしました。
因みに前期と後期では光学系の設計も鏡筒の設計も全くの別物である事が分かったものですから、今回の記事は後期型の整備には役に立たない事をご了承ください💦

1964年3月発売  当時の価格は¥14.800  レンズ構成: 4群6枚
絞り羽根枚数: 6枚  最小絞り: F16  最短撮影距離: 0.6m
最大撮影倍率: 0.104倍  フィルター径: 48mm  外寸: 61x40mm
重さ: 228g  後玉にトリウムレンズ(アトムレンズ)使用

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①前群レンズユニットの取り外し

A: 銘板を吸盤オープナーなどで反時計回りに回して外します。
B: 銘板を外したら、前群レンズユニットを反時計回りに回して外します。

C: こんな感じで外れます。
D: レンズを固定しているロックリングにはネジ止め剤が塗布されていますので、アセトン(100均のネイルリムーバー)などで柔らかくしてから外します。

②前群レンズの清掃

A: 前玉のロックリングも同じくアセトンを染み込ませ、数分待ってから緩めますが、それでも固い時はドライヤーでガンガンに暖めて下さい。
B: 外した各レンズを清掃し、合わせレンズはバルサム切れもチェックしておきます。

C: 遮光カバーを固定している3個のネジを外します。
D: 遮光カバーを外します。

③後群レンズの清掃

A: 連動アームは外さなくても作業は出来ますが、後群レンズユニットは力を掛けて外す為にアームを損傷する確率が高く、アームは外した方が安心感があります。
ここは大きさの違うワッシャが入っているので注意してください。

B: 後群レンズユニットを吸盤オープナーなどで反時計回りに回して外します。

C: 後群レンズユニットにもネジ止め剤が塗布されていますので、前群レンズユニットと同じ要領で分解して下さい。
ここは後玉の向きとスペーサーの向きをマーキングしながら外すと良いです。
レンズの清掃のみでしたらここで組み立てて完成となります。

D: ここからはヘリコイドグリスや絞り羽根のメンテナンスになります。
マウントのロックリングを外すので、マウントのロックリングとレンズ底辺との深さを測定しておきます。

④ヘリコイドと鏡筒の分離

A: ロックリングのネジにはボールとスプリングが入っていますので、紛失には気を付けて下さい。
B: ロックリングを外したら清掃し、組み立てる時はボールと接触する部分にグリスを塗布して下さい。

C: 終端にある大きなロックリングを反時計回りに回して外します。
D: するとヘリコイドと鏡筒とに分離できますが、ここにはスペーサーが入っているので組む時は忘れない様にして下さい。

⑤絞りリング・プリセットリングの取り外し

A: プリセットリングを固定しているCリングと鏡筒側面にある位置決めネジを外したら、ボールを紛失しない様に袋の中でプリセットリングを外します。
B: こんな感じで外れるので、間違わない様に100均の小袋に分けて保存します。

C: 絞りリングを固定しているCリングと横のスリットにある連動ネジを外し、ここもボールを紛失しない様、袋の中で絞りリングを外します。
D: これらも分かり易い様に小袋に保存しておきます。

⑥絞り機構の分解

A: ここは組む時に必ずグリスを塗布しておきます。
B: 連動リングを固定しているCリングと連動ネジを外し、取付位置を確認しながら連動リングを外します。

C: これらも小袋に保存しておきます。
D: 中間リングを固定しているCリングを外し、取付位置を確認しながら中間リングを外します。

⑦絞りユニットの取り外し

A: 中間リングはこんな感じで外れます。
B: カムリングを固定しているCリングを外し、カムリングの取付位置を確認しながらカムリングを外します。

C: 絞りユニットの取付位置を確認したら、イモネジ3個を緩め、中から絞りユニットを取り外します。
D: 絞りユニットの取付位置はとても大切になりますので、絞りユニットに付いているイモネジの打痕を組む時はネジ穴のセンターにピッタリ合わせます。

⑧絞り羽根の清掃

A: 絞りユニットを分解するので、固定している2個のネジを外します。
B: カバーを外したら、絞り羽根の向きと配列、表裏を確認します。

C: 絞りを分解して擦れる部分は全てエタノールで清掃して組み立てます。
連動部の動きもチェックし、動きが悪い時は分解清掃します。

D: 絞りユニットを鏡筒に組む時は打痕をセンターにして組み立てて下さい。

⑨ヘリコイドグリス交換

A: フォーカスリングの取付位置をチェックしたら、固定しているネジ3個を外し、フォーカスリングを取り外します。

B: ヘリコイドストッパーが停止する時の位置と隙間をチェックします。
C: 最短撮影距離では結構ギリギリのこの位置になります。

D: このレンズの直進キーはスリットの入っている物と、この入っていない物がありますので、取付場所を予め確認しておきます。

⑩ヘリコイドの測定

A: 伸ばした状態(最短撮影距離)でのサブヘリコイドとネジ下の幅を測定します。
B: メインヘリコイドは底辺からの幅です。
これらは組んだ時の確認の為にも役立ちます。

C: 直進キーを固定しているネジを外しますが、使われているネジの種類と場所が決まっていますので気を付けて下さい。
D: 右の直進キーにはスリットが入っています。

⑪ヘリコイドの分解

A: ヘリコイドストッパーの取付位置をマーキングしたら取り外します。
B: 銅製のサブヘリコイドをゆっくり慎重に回し、指標部から外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。

C: 外したサブヘリコイド&メインヘリコイドの全体突き出し量を測定しておきます。
D: メインヘリコイドをゆっくり慎重に回し、外れる瞬間の位置を分かり易い様にマーキング(Mとか)しておきます。

⑫ヘリコイドグリス交換

A: 古いグリスを洗浄油とブラシで落とし、新しいヘリコイドグリスを固めの筆で塗布します。

ヘリコイドの組み立てはまず、サブヘリコイドから外れた瞬間の位置からメインヘリコイドを入れ、画像⑪のCで測定した数値の幅で止めます。
次に組んだヘリコイドを指標部の外れた瞬間の位置から組み込み、画像⑩のBで測定した数値まで入れます。
そしてヘリコイドストッパーを組み、直進キーを取り付ければ完成となります。

後は逆の手順で組み立てていきます。

B: ヘリコイドと鏡筒の組合せはここになります。

お疲れ様でした。

 

⑬「Canon FL50mm F1.8」I型(前期型)とⅡ型(後期型)の違い

A: 絞りリングのグリップ部はⅠ型の方が短く、銘板もツール用の穴があります。
B: 絞りピン穴形状はⅠ型が四角、Ⅱ型が楕円になっていて、Ⅱ型は後玉のロックリングにツール用の溝があります。

C: 大きな違いはⅠ型はプリセットリングが絞りリング手前にあり、Ⅱ型はマウント側でA/M切り換えスイッチになっています。
D: 更にⅠ型はマウント遮光カバーの出っ張りが大きく、これがマウントアダプターに干渉する事が多々あります。

分解すると分かりますが、設計が全く違うのでほぼ別物と言っていいでしょう💦

⑭I型(前期型)とⅡ型(後期型)のレンズの違い

A: 前群レンズユニットの取付も異なっています。
B: 後群レンズもⅠ型はユニット化されています。

C: 上一列がI型(前期型)で、下一列がⅡ型(後期型)になりますが、後群の貼り合わせレンズ以外は全てコンマ数ミリほど後期型のレンズが大きく厚くなっていました。
Ⅰ型は後玉にトリウムレンズを使っているので、おおよそ黄変しています。

D: 一番大きく違うのが後群の貼り合わせレンズで、Ⅰ型は厚く、Ⅱ型は薄くなって、それだけトリウムレンズの光の屈折率が違うのだと思いました。
なので一般的な厚みのⅡ型はグルグルボケがあまり出ない傾向になっています。

こうした事から、Ⅰ型とⅡ型でレンズを合体させるニコイチは止めた方がいいと言うより、無理と言う結論に至りました💦

⑮FL50mm F1.8 I型(前期型)の放射線量

もう語り尽くされている事ですが、一応「ガイガーカウンター」で放射線量を計測してみました。
前期型は最高で2.5μSVまで行きましたが、やはりトリウムレンズで間違いありませんね💦
まぁ、鉛の箱に入れるまでの事は必要のない量なんですけどね^^;

⑯FL50mm F1.8 I型(前期型)の作例

使用カメラはフルサイズミラーレスのα7で、絞り値は分かるものだけ記載しています。
今回の作例は建造物ばかりで申し訳ございません💦

⑰自転車まで売ってるドフ

自転車を売ってるハードオフってなかなか見かけないと思います。

⑱大須

ここに来たら天気が急変し、ISO感度を上げるのを忘れてブレブレに…。

⑲お店が変わった

開放F1.8
以前はコスプレ喫茶だったような。

⑳厳しいPCジャンク業界

開放F1.8
以前は多くの人で賑わっていたのですが、PCを使う人が減っているので仕方ないですよね。

㉑メイド喫茶の看板

秋葉原にもありましたが、やはりどんな世界も大手が強いんでしょうね~
自分は入った事ありませんが💦

㉒オーディオ業界も厳しい

かつてここでオーディオを買った自分としては、この人の少なさは時代を感じるものでした。
レコードのカートリッジが欲しいけど、今は高いですね~。

㉓招き猫

アニメ「バンドリ」とコラボしているみたいです。

㉔スタジャン

開放F1.8
今はドジャースのスタジャンが欲しいです(笑)

㉕口径食はちょっと大きいです

開放F1.8
周辺減光も大きめなので、これぐらいは出るんでしょうね^^;

㉖ボケ味ダブル

開放F1.8
車のテールランプとフロントガラスのダブルボケ。

㉗ガソリン価格

開放F1.8
最近、軽自動車が流行る理由がここにもあるような気がしました。

☆ 肝心のグルグルボケを撮るのを忘れましたが、後期型を使った感じでは明らかに写りに違いがあるのが分かりました。
後期型は普通に写るので、個人的には味のあるこの前期型が好きですね^^
因みに今回は黄変をUV照射して除去せずに使用しました。

 

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【キャノン「FL50mm F1.8 I型(前期型)」分解清掃・作例・新旧比較】でした!

 

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