◎静岡県のハードオフにあまり見た事の無いオリンパスのカビジャンクズームレンズが¥550で転がっていました。(三脚座は付いてませんでした)
自分はあまり見かけないレンズは買う主義なので、迷わず買ってきました(笑)
実際に1980年頃に発売されたこのレンズの価格は特殊低分散レンズ(今で言うEDレンズ)を使っている事もあって、¥98.000と高く、大柄なこのレンズは小型を売りにしていたOM-SYSTEMのイメージと反する事もあり、あまり売れなかったみたいですね^^;
因みにこのレンズもZuikoシリーズに良くあるネジ止め剤が前群レンズにたっぷり塗られているので作業はそれなりに難航しました^^;
1980年頃発売? 当時の価格は¥98.000 回転式ズーム 重さ: 905g
外寸: 70x196mm レンズ構成: 11群15枚 絞り羽根枚数: 8枚
開放絞り: f5 画角: 29° (f=85mm) – 10°(f=250mm) 最小絞り: f32
最短撮影距離: 2.0m フィルター径: 55mm フード: 内蔵式
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①前群レンズの分解清掃
A: まず作業の邪魔になる内蔵フードをローレット部分を固定してからフード部分を反時計回りに回して外します。
B: こんな感じで外れます。
C: 実はこのレンズ、前群レンズの固定リングナットとユニット固定に大量のネジ止め剤が塗られていてそのままでは緩みません(汗)
なのでヒートガンを用いた高熱方法を行うため、熱に弱いフェルトを外します。
D: ヒートガンで80度くらいまで温めたらまず前玉を固定しているリングナットを外し、前玉も外して清掃します。
②前群分解清掃と各パーツの取り外し
A: 前群ユニットもネジ止め剤で固定されていますので、ヒートガンで周囲を加熱してから緩めます。
B: 前群ユニットの各レンズを清掃します。
前群の後ろのレンズを固定しているリングナットも大量のネジ止め剤が塗布されていて緩まなかったので、今回は外さずに清掃しました。
C: フードローレット部分とストッパーネジ3本を外します。
D: フォーカスリングゴムを外します。
③フォーカスリングの取り外し
B: ズームリングを250mmにセットしますが、位置マーキングが終わるまでフォーカスリングとズームリングは絶対に動かさないようにしてください。
(それでも動くのでセロテープで固定すると確実です)
C: 左のフォーカスリングストッパーを外し、フォーカスリングを固定しているイモネジ5個を緩めます。
(イモネジが1個だけ位置がズレていますが、調整用とロックに分かれているだけです)
D: フォーカスリングを引き抜きます。
④マーキングと各パーツの取り外し
A: 図に示した調整イモネジの打痕を基準にしてズーム鏡筒に位置マーキングをしておきます。
B: そしてヘリコイドを回して前部鏡筒を外しますが、外れる瞬間の位置がとても大事ですので、外れる瞬間の位置を調整イモネジ打痕を基準にしてマーキングしておきます。
C: ズームリングゴムに筆などの丸棒を入れ、接着剤を剥がしながらクルクル回ししてズームリングゴムを外します。
D: ヘリコイド部分の先端に付いている遮光リングを反時計回りに回して外します。
⑤2群レンズの取り外しと清掃
B: 2群レンズを引き抜いたら、前に付いている遮光パーツも外しておきます。
C: 2群レンズを分解・清掃します。
レンズの向きだけは絶対に間違えないようにして下さい。
D: 3群レンズを動かしているネジ&コロを外します。
⑥3群レンズの取り外しと清掃
A: 3群レンズを動かしているネジの構成はこんな感じで、特殊ネジを使っているので絶対に潰さない様にして下さい。
B: 3群レンズユニットを引き抜きますが、もし外れない場合は画像⑩の遮光パーツを外してから引き抜いて下さい。
C: レンズの向きに注意しながら外し、レンズを清掃します。
D: マウントを固定している3個のネジを外し、マウントを外します。
⑦マウント部分の分解
A: マウントの中間リングを固定しているネジ3個を外し、中間リングを外します。
B: こんな感じで外れます。
C: 絞り伝達レバーを外しますが、外す前に可動状況と奥の押しているピンの位置を確認しておいて下さい。
D: 折り曲げない様に絞り伝達レバーを外します。
⑧絞りリングの取り外しと後群レンズ位置測定
A: 絞りリングを外しますが、ここにはクリックボールとスプリングが入っていますので、袋の中で作業するのをお勧めします^^;
B: 外したクリックボールとスプリングは無くさない様にして下さい。
組み立てる時はグリスを塗りながら行うと良いです。
C: 後群レンズユニットは調整されていますので、後群レンズユニットの飛び出しを測定します。
このレンズは19.2mmでしたが、個体差があるので参考程度にしておいて下さい。
D: もし測定せずに後群レンズユニットを外してしまったら、全分解してネジの打痕に合わせると確実です。
⑨後群レンズの分解清掃
A: ズームリングを回し、穴から見える後群レンズユニットを固定しているネジ4個を取り外します。
B: 後群レンズユニットの位置マーキング(回転方向)をし、引き抜きます。
C: 後群の後ろのレンズを分解・清掃します。
D: 後群の前のレンズを分解・清掃します。
⑩ズーム鏡筒の分解
A: キャップとしてはめ込んである遮光パーツを横の隙間から棒などで突いて外します。
B: 遮光パーツを外した状態です。
C: この遮光パーツは位置決めがあるので、組み立てる時に注意して下さい。
D: 鏡筒内部の奥にある3個のネジを外します。
⑪ズーム鏡筒の分解の続き
B: ヘリコイドストッパー部を固定している3個のネジを外します。
C: ヘリコイドストッパー部とズームリングを外します。
ここの部品は組める様にしか組めなくなっていますが、気になる時は位置マーキングか写真を撮っておくと良いです。
D: 黄色矢印のCリングを外し、絞り制御リングを外します。
⑫絞りの清掃
B: 絞りユニットを固定している3個のネジを外します。
C: こんな感じで絞りユニットを取り外す事ができます。
D: 今回は絞りに油滲みなどが無かったのでエタノールで羽を拭く程度にしておきましたが、もし油滲みがあったら分解清掃するか、エタノール漬けにして動かすと奇麗になります。
⑬後は組み立てて完成です
A: ここに塗るグリスの粘度で、ある程度ズームリングの重さを制御できます。
B: 組み立てる時は古いグリスを清掃し、綿棒などに粘度の低いグリスを付けて薄く塗りこむと良いです。(やり過ぎると重くなります)
C: 組み立てる時は調整のイモネジを外し、穴から打痕に合わせて組み立てると良いですが、無限遠が気になる時はカメラに取り付けて再調整する必要があります。
お疲れ様でした!
⑭「OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 85-250mm/F5」の作例
使用カメラは「Canon KISSx3」で、手振れ補正が無いのとマウントアダプターを介すと後ピン気味になるのでボツ写真を量産しました^^;
250mm f5
⑮ビニールハウス
⑯田園風景
⑰飛び出した針金
⑱ススキ
⑲壊れた反射板
⑳ヒドリガモ
㉑夕焼け
㉒オサレな街路灯
200mm f8
細長くて重いですが、なかなか良い写りをすると思いました。
逆光耐性についてはコーティングがカビで痛んでいるのでコメントは控えたいと思います^^;
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【オリンパス「OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 85-250mm/F5」分解・清掃・作例】でした!
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