◎今回はありそうであまり見かけないオリンパス「OLYMPUS S-ZUIKO AUTO-ZOOM 100-200mm F5」を分解・清掃してみました。
今まで知らなかったのですが、レンズ銘板のZUIKOの文字の前に「S」が付いている物はコシナのOEMらしいですね^^;
35-70mm、24-48mmなどもコシナのOEMがあるという事らしいです。
1981年発売?(海外のサイト参照) 当時の価格は¥41.000、ケースは¥1.500
レンズ構成:6群9枚 絞り羽根枚数:8枚 フィルター径:49mm 重さ:570g
最小絞り:f32 最短撮影距離:2.4m 最大撮影倍率: 1:3.0 外寸:148×63mm
ズーム方式:直進式
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①マウントの取り外しから始めます
A: まずマウントを固定している3本のネジを外し、マウントを慎重に外します。
マウントを外す時に画像の大きな丸いプレートがマウント側かレンズ側に残ると思いますが、取り外して2つのボタンと一緒に保存しておきます。
組み立てる時はこんな感じでボタンの向きに注意して組み立てます。
B: 絞りレバーリングを保持しているこのプレート(矢印)の裏にはベアリングの玉8個が入っていますので、外す時は受け袋を用意し、その袋の中でマウントを下向きにして分解する必要があります。
C: これが入っているベアリングのボール8個。
自分は前玉を下向きにして分解してしまった為に1個紛失し、仕方なく諦めてレンズを分解してたらポロッと隙間から落ちてきました(笑)
D: ベアリングボールの入っている箇所。
押さえているプレートを外した瞬間にボールの入った絞りレバーリングが浮くので、
前玉を下向きにして分解するのはボール紛失の原因になります^^;
これは組み立て時も割と困難な作業を強いられる為に、自分は粘度の低いグリスを塗ってボールを保持しながら組み立てました。
(マウントベース仮固定の為にネジを1本入れてます)
②マウントの分解(続き)
A: 絞りレバーリング下にはスプリングが引っ掛けてあるので、丸印の部分ピンセットなどで外します。
(マウントベース仮固定の為にネジを1本入れてます)
B: 絞りレバーリングを外します。
そしてマウントベースを外しますが、裏側には絞りリングのクリックボールとバネが入っていますので無くさない様にします。
組み立てる時はグリスで固定させて組むと楽です。
C: 絞りリングを外します。
D: 各絞りレバーの入っている位置を確認しておきます。
③鏡筒基部の取り外し
A: 飾り筒を3個のネジを外してズームリング側にずらしておきます。
B: ここはバックフォーカスの調整になっていますので、位置マーキングをして取り外します。
C: こちらもマーキングをして取り外します。
自分は一応、指標側とマーキングもしておきました。
D: 固定している4個のネジを外し、鏡筒基部を取り外します。
組み立てる時は必ずB、Cの調整ネジを組んでから4本のネジで固定してください。
④フード、前玉、中玉の取り外し
A: 内蔵のフードを取り外しますが、これがなかなか固くて緩まないかと思います。
そんな時はエタノールを染み込ませながら何回かアタックするか、ドライヤーなどで温めてから緩めてみて下さい。
ここは順ネジです。
B: 白いプラリングのフードストッパー3個を外します。
そして前玉の無限遠調整を固定しているネジ2個を外しますが、マーキングを忘れないで下さい。
このレンズの場合は「前玉ユニットの締め込みが止まる位置から戻して2回転」の位置でしたが、忘れてもイモネジの打痕がありますので、ネジ穴をライトで照らしながら固定するのが確実で良いかもしれません。
C: 外したネジは小さいので紛失に注意してください。
D: ズームを100mm側にして、中玉(前)をカニ目ツールなどを使って反時計回りに回して外します。
⑤中玉の清掃と中玉(後)の取り外し
A: 中玉(前)の飾りリング(右)は接着剤が劣化している為に、簡単に外れてしまう事があります^^;
ここは貼り合わせレンズなので、そのままレンズを清掃すればいいと思います。
B: 中玉(後)をカニ目ツールを使って外します。
C: 外したレンズを清掃します。
D: ズーム時のフリクション(重さなど)はここのグリスを交換すれば復帰します。
手持ちのヘリコイドグリスだと軽かったので、重いのが好みの方は更に高粘度のグリスが必要かと思います。
⑥ズーム&フォーカスリングとレンズ後群の取り外し
A: ズーム&フォーカスリングのグリップゴムを外します。
B: ズーム&フォーカスリングを最短撮影距離の位置にセットし、固定している4個のネジを外します。
C: そしてそのままズーム&フォーカスリングを引き抜きますが、必ず各位置関係をマーキングしておいてください。
ヘリコイドのグリス交換をしないのなら、そのままの位置で置いておくといいです。
D: ここでようやくレンズ後群ユニットを固定しているネジが現れますので、固定ネジ3本を外して後ろからレンズ後群ユニットを取り出します。
⑦レンズ後群の清掃と絞りのチェック
A: 外れたレンズ後群ユニット。
B: 中のレンズはここを反時計回りに回せば全部外れますが、必ずレンズとスペーサーは1個ずつ取り出して向きと順番のマーキングを忘れない様にして下さい。
C: 外したレンズを清掃して組み立てます。
しかしながらこの真ん中のレンズが曇っていました…^^;
酷い曇りではなかったので、酸化セリウムを使ってちょっと研磨したらある程度綺麗になりました。(完璧は目指さない方がいいです)
D: 絞りの動きや油分が付いてないかチェックしておきます。
ダメなら分解して絞り羽根などの油分を取り除く必要があります。
後は逆の手順で組み立てて、分解・清掃は完成となります^^
⑧完成した「OLYMPUS S-ZUIKO AUTO-ZOOM 100-200mm F5」
全部伸ばすとこんなに長くなります^^
伸びるズームって結構好きだったり(笑)
⑨「OLYMPUS S-ZUIKO AUTO-ZOOM 100-200mm F5」の作例
基本的に一部の画像を除いて絞り開放で撮影しています。
使用カメラは「Canon EOS KISSx3」で、マウントアダプターを介して取り付けました。
200mm f5.0 1/250 iso400
⑩水飲み場 100mm
100mm f5.0 1/100 iso800
⑪水飲み場 200mm
200mm F5.0 1/80 iso800
手持ち撮影なので、手振れ補正が無く、ピーキングも無い暗いファインダーでの撮影はちょっと大変でした^^;
⑫木の葉
100mm f5.0 1/30 iso800
⑬工事現場 100mm
100mm F5.0 1/200 iso800
遠景はとても良く写りますね^^
⑭工事現場 200mm
200mm F5.0 1/160 iso800
⑮アサガオと雨粒
200mm F5.0 1/160 iso800
最短撮影距離が2.4mもあるので、こうした撮影はちょっと難しいかもしれません^^;
⑯アサガオと雨粒B
200mm F8.0 1/30 iso800
手ブレ写真量産で辛かったですが、雨の日の雨粒が付いた花って好きなんですよね^^
⑰向日葵 200mm
⑱向日葵 100mm
100mm F5.0 1/125 iso800
⑲ジニア(ヒャクニチソウ)
200mm f5.0 1/160 iso800
曇天なのでイマイチ冴えない感じになってしまいましたが、開放からシャープで良く写ると思いました^^
⑳夜の信号待ち
200mm f8.0 1/30 iso400
後ろから2枚目のレンズコーティングの曇りが若干残っているのでこんな感じです^^;
でも望遠レンズの圧縮効果って面白いですよね~。
Zuikoはどのレンズも良く写るので、何でも買ってきちゃいますね^^;
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【オリンパス「S-ZUIKO AUTO-ZOOM 100-200mm F5」分解・清掃】でした!
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