オリンパス「ZUIKO MC AUTO-S 50mm F1.8」分解・清掃・作例

オリンパス

◎今回はとあるリサイクルショップで買ったカビジャンクのオリンパス「ZUIKO MC AUTO-S 50mm F1.8」を分解・清掃して作例を撮った内容になっています。
因みにこれはレンズ構成が4群6枚になったマルチコートの後期型になりますので、前期型5群6枚の「F.ZUIKO」とは仕組みが全く異なりますので注意して下さい💦

このレンズの最初期型は1972年に生産数が少ない「OLYMPUS M-SYSTEM F.ZUIKO AUTO-S 1:1.8 f=50mm」(フィルター取付枠は銀色)から始まり、「OLYMPUS OM-SYSTEM F.ZUIKO AUTO-S 1:1.8 f=50mm」(フィルター取付枠は銀色)になり、「OLYMPUS OM-SYSTEM F.ZUIKO AUTO-S 1:1.8 f=50mm」(フィルター取付枠は黒色)になって前期型(5群6枚&モノコート)の生産は終了。

1979年に後期型4群6枚&マルチコートの「OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO MC AUTO-S 1:1.8 f=50mm」(フィルター取付枠は黒色)になり、MC表記の無い
「OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-S 1:1.8 f=50mm」(フィルター取付枠は黒色)で生産が終了しました。

1979年頃発売 当時の価格は¥20,000 レンズ構成: 4群6枚 画角: 47°
絞り羽根枚数: 6枚 最小絞り: f16 最短撮影距離: 0.45m フィルター径: 49mm
外寸: 32x61mm 重さ: 163g フード: 51mmかぶせ式

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①前群レンズユニットの取り外し

A: まず銘板を吸盤オープナーなどで反時計回りに回して外します。
B: 次に見えたネジ3個を外します。

C: 絞りのクリックボールが飛び出す可能性がありますので、ゆっくり慎重に前群ユニットを外します。
D: クリックボールとバネを回収しておきます。

②前群清掃と鏡筒分解

A: これが外したクリックボールとバネになります。
B: 前群ユニットはレンズがハメゴロシになっていますので、もし内部にカビがあった場合はカシメ部を削ってレンズを取り出す必要があります💦

C: 絞りリングの連動レバーが入っている位置を確認しながら絞りリングを外します。
D: マウントを固定している3個のネジを外します。

③マウント部の分解

A: ゆっくり慎重にマウントを外します。
B: プレビュー機構のボタンの取り付け状態を確認します。

C: レンズ脱着ボタンも取り付け状態を確認します。
D: マウントを組み立てる時はレンズ脱着ボタンの爪の入る位置を基準にして組み立てます。

④マウント分解・後玉レンズの取り外し

A: 絞りのリンク機構を外す時は、各レバーの入っている位置を確認しながら外します。
B: こんな感じで外れますが、ついでにエタノールで清掃しておくと動きが改善される事が多いのでお勧めです。

C: 後玉を固定しているロックリングを外します。
D: 外した後玉を清掃します。

⑤3群レンズの取り外しとバルサム剥がし

A: 3群を固定している筒はネジロックが塗布されていますので、ネジ部にアセトンを数滴染み込ませて3分ほど待ってから緩めます。
緩まない時は同じ事を数回繰り返します。

B: 筒を反時計回りに回して取り外し、中のレンズも抜きます。
C: 外した3群レンズは曇っていました。
最初はコーティングの曇りかと思ったのですが、良く見るとバルサムの劣化でした…💦

D: 仕方ないので以前作ったバルサム剥がし器を使用して貼り合わせを剥離します。

⑥バルサム剥離と貼り合わせ

A: おおよそ2分ほどで剥離できました。
B: 残ったバルサムはエタノールで拭いたら奇麗になりましたので、バルサムで貼り直します。

C: なんとか復活する事ができました…
コーティングの曇りじゃなくて良かったです💦
レンズの清掃のみでしたら、ここで組み立てて完成となります。

D: ヘリコイドグリス交換の為に絞り機構を良く観察します。

⑦ヘリコイドの取り外し

A: 念の為にフォーカスリングが無限遠位置でのヘリコイド深さを測定しておきます。
B: このレンズは2.7㎜でした。

C: 直進キーは皿ネジで固定されているので位置決めは無く、そのまま固定しているネジ2個を取り外します。
D: 直進キーを引き抜きます。

⑧ヘリコイドグリス交換

A: フォーカスリングは動かさずにそのままゆっくり慎重にメインヘリコイドを回し、外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。
B: 古いヘリコイドグリスを灯油やホワイトガソリンを使って奇麗に落とします。

C: フォーカスリングゴムを外します。
D: 固定しているネジの位置をチェックします。

⑨サブヘリコイドの取り外し

A: ネジが入っていない位置にはチェックを入れ、固定ネジを外します。
B: ゆっくり慎重にフォーカスリングを外し、合い位置マーキングをしておきます。
この部分はどの位置でもネジが締められる様になっていますので、組み立てる時はこのネジ溝にネジが入る様にします。(無限遠調整をする場合は別です)

C: 無限遠位置でのサブヘリコイドの位置をマーキングしたら、その位置から締めこんで止まるまでの回転数と位置を記録しておきます。
D: このレンズはおおよそ半回転で停止し、この位置で止まりました。
組み立てる時はサブヘリコイドが止まる所まで締めて∞マーキング位置に戻し、メインヘリコイドを外れた瞬間の位置から組み込んで測定した深さまで入れ、直進キーを組み立てれば完成です。

⑩サブヘリコイドのヘリコイドグリス交換

A: サブヘリコイドには組み位置がありませんので、そのまま外せば良いです。
B: サブヘリコイドの古いヘリコイドグリスを洗浄し、新しいヘリコイドグリスを塗布して組み立てます。

C: 絞り羽根の清掃の為、回転するCリング形状の連動リングと銀色カムスライダの固定位置をマーキングして取り外します。
D: どんどん部品を外しますが、アーム部先端にはワッシャが入っているので注意して下さい。

⑪絞りの分解・清掃

A: 絞りのカバーを外します。
B: カバーを外したら、絞り羽根の向きや位置を確認します。

C: こんな感じで羽根は入っています。
D: 外した羽根と可動部、内部やカバーの擦れる部分全てをエタノールで奇麗にしたら組み立てます。

⑫リンクの組み立て

A: 絞り羽根駆動の回転側には矢印部に小さなリターンスプリングがありますので、引っ掛かって絞りが開くかチェックしておきます。
あとアームを組む時に先端のワッシャが入っているかも確認しておきます。
B: 半月状の黒色カムスライダを組みます。

C: 銀色カムスライダを組みます。
D: Cリング形状の連動リングと銀色カムスライダをマーキング位置に従って組み立てます。

⑬組み立て

A: 各パーツをエタノールで奇麗にしたら組み合わせます。
B: 絞り連動リングに各レバーを入れていきます。
C: 絞りリングのレバー。

後は逆の手順で組み立てれば完成です。
お疲れ様でした!

⑭「OLYMPUS ZUIKO MC AUTO-S 50mm F1.8」の作例

開放F1.8
使用カメラはフルサイズミラーレスのソニーα7です。

⑮杭

開放F1.8

⑯視聴覚教育センター

開放F1.8

⑰地下資源館

ここからは絞り値を忘れてしまったので、ご想像にお任せします💦

⑱トロッコ

⑲鉱物

⑳コハク

㉑公園

㉒怪しい天気

㉓陰影のギャップ

㉔滑り台の落下地点

㉕遊具

㉖幹

㉗橋

㉘大池

㉙桜の木

㉚ベンチ

標準レンズとしては申し分のない性能だと思います^^
冴えない天気だったのは残念でしたが💦

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【オリンパス「ZUIKO MC AUTO-S 50mm F1.8」分解・清掃・作例】でした!

 

 

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