三協光機「Sankyo Koki KOMURA- 105mm f3.5」分解清掃・作例

サードパーティー製レンズ

◎たまには古い中望遠レンズでもやってみようと思い、三協光機の「Sankyo Koki KOMURA- 105mm f3.5」を買ってみました。
でもジャンクだったものですからかなり状態が悪く、ヘリコイドはとても重く、悲しい事に前玉は拭き傷だらけです。(汗)

1955年に初期型、総銀色の「Sankyo Optical Works Ltd. KOMURA- 105mm f3.5」(製造番号4桁・ファインダー付き・¥8.000)が発売され、1956年に価格が¥8.800になり、1957年に絞りリングとフォーカスリングが黒色(今回のレンズ)になった「Sankyo Koki KOMURA- 105mm f3.5」(製造番号22xxxx・ファインダー&ケース付き・¥9.800)が発売、1964年に価格が¥11.800に値上げされ鏡筒は黒に統一&プリセットリング追加、1968年に製造が終了しました。

1958年からは絞りリングの模様が変わったり、色やデザインが頻繁に変更された為に数えただけで外観の違いが5種類以上はある感じでした(汗)

レンズ構成: 3群3枚(トリプレット構成) 絞り羽根枚数: 12枚 最小絞り: f22
重さ: 396g(実測) 外寸: 50x103mm 最短撮影距離: 1.2m   フィルター径: 43mm
マウント: ライカL39 開放値: f3.5 焦点距離: 105mm

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①レンズの分解清掃

A: まず指標部と絞りリングを持って捻り、鏡筒を分割します。
B: こんな感じで分割できます。

C: レンズ部と銘板部を捻って分割します。
D: こんな感じで分割できると思います。

②レンズ清掃

A: ロックリングを外して前玉を取り出して清掃しますが、中玉は残念ながらハメゴロシなのでそのまま清掃します。
B: ロックリングを外して後玉を取り出して清掃します。
レンズの清掃のみでしたら、後は組み立てて完成になります。

C: ここからは絞り羽根の清掃になります。
絞りリングを固定している3個のイモネジを緩めます。
D: 絞りリングを外しながら取り付け位置のマーキングをしておきます。

③絞りユニットの分解

A: 絞りを開放にしたら、絞りの可動側を固定しているCリングを取り外します。
B: Cリングを外した状態。

C: 開放での絞り駆動ネジの位置関係をマーキングしておきます。
D: 絞り羽根の組まれている状態と向きを確認します。
絞り羽根は左右同じに見えても切り欠きがあったりするので注意が必要ですが、このレンズは左右対称でした。

④絞り羽根と絞りユニットの清掃

A: 外した絞り羽根と絞り可動側&固定側の汚れを綿棒とエタノールを使って奇麗にします。
B: グリスアップの為に回転部とクリック部を分解しますが、クリックの溝があるリングに位置マーキングをしておきます。

C: 固定しているイモネジ3個を緩めてリングを外すのですが、ここに入っているクリックピンとバネが飛んでいって紛失する事が多々ありますので、リングを外す時は袋の中で作業するのが安全です。
D: クリックピンとバネを回収したら各パーツの汚れを落とします。

⑤ヘリコイド部の分解

A: 各パーツの擦れる部分をグリスアップしたら組み立てます。
絞り羽根の組み立てはケースバイケースですが、マグネットシートとマスキングテープを使用して組み立てると便利です。
今回自分は固定側に絞り羽根を組んでから可動側を入れ、絞り羽根のダボを爪楊枝を使って可動側に入れていきました。

B: ヘリコイドグリス交換の為にヘリコイドを分解します。
このレンズはカメラ側の距離計を動かすヘリコイドが付いていて、まずフォーカスリングが最短撮影距離位置でのヘリコイド突き出し量を測定しておきます。

C: マウントを外す時に回すのはこの部分になります。
D: マウント部をかなりゆっくり慎重に回し、外れるまでの回転角と距離計用ヘリコイドが外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。

⑥ヘリコイド部の分解B

A: マウントを外したら距離計用ヘリコイドも引き抜いて取り外すのですが、距離計用ヘリコイドの直進キーが入っている位置関係をマーキングしておきます。
B: 指標リングを固定しているネジ3個を取り外します。

C: 外す時は位置関係のマーキングを忘れないようにします。
D: 焦点距離リングを取り外します。

⑦ヘリコイドグリス交換

A: フォーカスリングを固定している3個のネジを外し、フォーカスリングを引き抜きます。
この時に無限遠位置でのヘリコイドの隙間を測定するか、撮影しておきます。
(分解した感じだとこのレンズは無限遠調整はできませんので慎重に💦)

B: ヘリコイドをゆっくり慎重に回し、外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。
C: 頑張ってホワイトガソリンとブラシで奇麗にしたのですが、銅製のヘリコイドは酸化して色が10円玉みたいになってました。
新しいヘリコイドグリスを塗布したら組み立てます。

D: このレンズは最短撮影距離でのヘリコイドストッパーがこの焦点距離リングになっている為に、矢印部の摩擦が多いと食い込んで戻りが悪くなるので、ここに少しシリコンオイルなどを塗っておくといいです。

⑧距離計用ヘリコイドの組み立て

A: マーキングした位置に距離計用ヘリコイドを入れ、ヘリコイドに軽くヘリコイドグリスを塗布しておきます。

B: フォーカスリングを最短撮影距離にセットしたら一度マウントを締めこんで「画像⑤のD」で測定した回転角まで緩め、マーキングした位置でヘリコイドを入れたらマウントを締めこみます。
「画像⑤のB」で測定した突き出し量になっているか確認し、ダメならヘリコイドの山を1つずらしてまた測定し、測定量まで追い込みます。

ぶっちゃけ、ライカマウントの距離計連動フィルムカメラで使う気がないのなら、そこまで厳密にやらなくてもいいのかもしれませんが…(汗)

☆国産のトリプレット構成の中望遠レンズではマウンテンニッコールと呼ばれる「NIKON NIKKOR-T 10.5cm f4」が良く写ると言われていますが、何分高価なのでなかなか手が出ません💦
安くトリプレット構成の中望遠レンズを楽しむなら「PETRI C.C Auto petri 135mm f3.8」、「MINOLTA ROKKOR-TC 100mm F4」、「MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4」などがお勧めです。

⑨「Sankyo Koki KOMURA- 105mm f3.5」の作例

使用カメラは1インチミラーレスの「ニコン1 V1」を使っている為にレンズ画角中央付近の評価になります。
あと前玉が拭き傷だらけなのでコントラストが低下している事をご了承ください💦

⑩国道1号線

この先にビッグ〇ーターがあるのですが、何だか閑散としていました…

⑪柑橘類?

開放f3.5

⑫武田信玄も通った景色

F8.0

⑬側溝

f5.6

⑭稲穂

開放f3.5

⑮天竜浜名湖鉄道

f8.0

⑯敷地駅

f8.0

⑰踏切のセンサー

開放f3.5

⑱栗の木

開放f3.5

⑲イーブイ

f5.6

⑳走るトラック

開放f3.5

㉑おさかな看板

f8.0

㉒玉ボケ

開放f3.5    暗い点光源だと玉ボケがリング状になる感じでした。

抜けの良い3枚玉ですが、前玉の拭き傷によってスポイルされた感じです💦
1インチセンサーの厳しい条件でもこれだけ写るので、フルサイズ機なら画質と105mmの画角を堪能できると思います。

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

以上、【三協光機「Sankyo Koki KOMURA- 105mm f3.5」分解清掃・作例】でした!

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