オリンパス ワイドE (OLYMPUS WIDE-E) 分解・清掃・修理

オリンパスワイドEアイキャッチ オリンパス

◎巻き上げできない、シャッターが動かない、レンズが曇っている「オリンパス ワイドE (OLYMPUS WIDE-E) 」をリサイクルショップのジャンク箱から回収してきました。
当時はカメラのワイドブームだったらしく、オリンパスは1955年に初代「オリンパスワイド」を市場に投入、大ヒットとなり、この後オリンパスワイドシリーズは1957年4月「ワイドE」、1957年7月「ワイドスーパー」、1958年2月「ワイドⅡ(後期は前にWのロゴ入り)」とシリーズ展開しました。

ワイドEの当時の価格は18.900円で、ワイドとの違いは「セレン光電池単独露出計」が付き、ファインダーがそれまでの「採光式ブライトフレーム」から「アルバタ式ブライトフレーム」となり、コパル製のシャッター速度が1/500まで引き上げられ、レバー式のフィルムの巻き上げ機構に変更されています。
おそらく末尾の「E」は電気式露出計のエレクトリックから来ていると思いました。

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①それでは分解・清掃していきます!

ワイドEレンズ清掃A:レンズを無限遠にセットします。
目測式シングルヘリコイドリングをイモネジ3個を緩めて外します。
そしてそのまま無限遠の位置でレンズ位置をマーキングし、締めこんで止まる位置までの回転角と、レンズが外れる位置をマーキングし、レンズを外します。

組む時は外れた位置からねじ込み、レンズが止まるまで締め付け、無限遠の位置マーキングまで戻してリングを組付けます。

B:レンズを外した状態になります。
この状態でレンズ全てと絞りが組み込まれているので作業は楽です^^
(3群4枚)

C:各レンズを取り外して清掃しますが、高確率でレンズ後群は曇っていると思いますので、酸化セリウム(CeO2)を使って研磨する必要があります(汗)
研磨は欲張らずに様子を見ながら(できればミラーレスなどで撮影しながら)、作業を段階的に進めると良いです。
コツは完璧を目指さない事で、今回もある程度透明度が出たのでやめました^^;

D:絞りも油分を取り除いておきます。
理想は分解して羽一枚一枚を綺麗にする事ですが、今回はエタノールで拭くだけにしました。
(AFレンズの場合は露出が狂うので、全分解が必要になります)

 

②シャッターメカの点検・清掃・注油

シャッターメカA:リングナットを外してカバーを外します。
このリングナットは締めすぎると、シャッター速度調整リングの動きが固くなるので、外す時に位置マーキングをしておくと良いです。

B:カバーを外した状態になります。
シャッターメカの画像は参考の為に③に大きく載せました。

C:シャッター速度調整リングを組む時の注意点
各リンクのシャフトが溝にしっかり入っているか確認してからカバーを組み込みます。

 

③シャッターメカの清掃・注油

ワイドEシャッターメカピンセットなどで各レバーやギヤの動きを点検し、動きが悪い場合は取り外して清掃します。
面倒ならユニットごとベンヂンで洗い流すのも仕方ないと思います。

そして粘度が中のオイル(できれば専用オイル、無ければ機械油)を「爪楊枝の先端にペーパーを付けて尖らせた状態」にして油を染み込ませ、油をわずかに注す感じで注油し、数回動かしてスムーズになったかをチェックしておきます。

シャッターの羽も同時に油分を清掃しておきます。

このカメラの場合は左上のレバー軸の油が固まっていました。

 

④上蓋を外していきます

上蓋ワイドEA: フィルム室側の軸を固定し、「巻き戻しレバー」を反時計回りに回せばレバーを外すことができます。
レバーのハンドルは曲がっていたので板金しておきました(汗)

B:巻き上げレバーとフィルムカウンターを外します。
割と部品が多いので、順番とパーツ紛失に気を付けてください。
後はストラップホルダ2個(取付位置がワッシャーで調整されて決まっています)を外せば上蓋を外せます。
上蓋の後ろにあるネジは露出計のメーター指針調整ネジの蓋になっていますので、取り外す必要はありません。

C:上蓋を外すとこの部品がポロッと落ちますので注意して下さい。
組む時はセットするのを忘れやすいです^^;

D:配線の金属カプラーはハメてあるだけなので、引き抜きます。

 

⑤露出計のチェック、ファインダーの清掃

ワイドEファインダーA:露出計、ファインダーは各このネジを緩めれば外せます。
ファインダーを組む時は矢印の場所のダボがあり、ここが入っていないと上蓋を組む事ができないので注意してください。

B:露出計のチェック
デスクライトの光を当てて、これぐらいメーターが振れればおおよそOKです。(他サイトさんを参考にして)
でもちょっと低いかもしれないので、メーターを調整した方がいいかも…
メーターが全く動かない時はハンダ付けのチェック、もしくはセレン交換になります。

C:ファインダーの清掃
ファインダーはハーフミラーのコーティングや印刷が劣化しているので、エタノールなどの溶剤で拭くのはやめた方がいいです^^;
「富士フィルム レンズクリーニングリキッド」などで隅から様子を見ながら優しく拭くのがおススメ。

 

⑥シャッターチャージ不良の修理

チャージ不良修理A:レンズ本体はフィルム室側のナットを外せば取れます。
レバーを回すと、どうもストロークが足りてない感じ…
この時に内部のリンク類に注油しておくと安心です。

B:原因が分かりました!
摩耗でリンクを駆動するクランク穴が広がってました…

C:悩んだ挙句、リンクのコロを大きな物に変更する事にしました。
分解したカメラから取っておいたパーツを加工して取り付けます。

D:グリスを塗って取付け、動作を確認。
見事にシャッターがチャージされるようになりました^^

後は組み立てて完成です♪

 

⑦「D.ZUIKO-W 3.5cm F3.5」をミラーレスで使ってみました

レンズ D.ZUIKO-W 3.5cm F3.5ミラーレスの「ニコン1 V1」に引き伸ばしレンズ用のヘリコイドとレンズ工具の「吸盤オープナー」を使って固定しました(笑)
このレンズは絞り内蔵なので、引き伸ばしレンズと同じ要領で撮影できます。

でもレンズを落とさないように慎重に扱う必要がありますが^^;

本当は「ワイドE」なので、フルサイズ機で使いたかったですが…

 

⑧レンズ 「D.ZUIKO-W 3.5cm F3.5」の作例

レンズ D.ZUIKO-W 3.5cm F3.5ハナニラ 開放f3.5
レンズのクモリが残っているので、ちょっとコントラストを上げています。

 

⑨ハナニラB

レンズ D.ZUIKO-W 3.5cm F3.5開放f3.5
3群4枚のテッサータイプの写りです。

 

⑩ムスカリ

ムスカリ

割と発色もいいです^^
開放f3.5

 

⑪桜

桜 ワイドE

レンズに曇りが残っているので、強い光には弱いです。

⑫桜B

桜B

 

⑬木のうねり

ワイドE 木

絞り値は忘れてしまいましたが、景色以外は開放付近を使っています^^;

⑭日陰の看板

日陰の看板

 

⑮滑り台

滑り台 ワイドE

 

⑯コブシ

コブシ

 

⑰桜の花

サクラの花

 

⑱川の景色

川の景色

 

⑲オブジェ

オブジェ

この「OLYMPUS WIDE-E」の「D.ZUIKO-W 3.5cm F3.5 」はヌケが良く、開放からシャープでボケも良い感じだと思いました。

 

⑳最後は昔の広告みたいに「OLYMPUS WIDE-E」

OLYMPUS WIDE-Eこの時代のカメラは重圧感とメタリックな感じがいいですね^^
でも本当に重いので(580g)、足に落としたら涙が出ると思います。

暇とお金に余裕があったら、実際にフィルムを入れて撮影してみたいです。

 

 

◎カメラの分解・清掃はリスクが伴いますので、落ち着いて慎重に行って下さい。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、参考程度にして下さると嬉しいです。
あとカメラの分解・清掃は必ず自己責任でお願い致します(汗)

以上、【オリンパス ワイドE (OLYMPUS WIDE-E) 分解・清掃・修理】でした!

 

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