◎今回は1971~1975年まで製造された「アサヒ・ペンタックス」の「PENTAX Asahi kougaku Super-Multi-Coated TAKUMAR-ZOOM 85-210mm/F4.5 M42マウント」を分解・清掃してみました。
…と言っても分解・清掃したのが去年だったので、間違っている箇所もあるかと思いますので、チラッと参考程度にして下さい(汗)
1971年発売 レンズ構成:10群11枚 絞り羽根枚数6枚 フィルター径58mm
最小絞りf22 重量705g マウントM42 外寸66.5 x 217.5 mm
最短撮影距離3.5m(専用のクローズアップレンズを装着して1.9m)
M42のタクマーズームとしては2番目に作られた古い物で、レンズ自体大きく、そして最短撮影距離が3.5mもあります。
その為に1.9mまで寄れる専用のクローズアップレンズが同梱されていたらしいですが、当然このジャンクには付属しておりませんでした(汗)
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①それでは「TAKUMAR-ZOOM 85-210mm/F4.5」を分解・清掃していきます!
☆一年前に分解したものなので、間違っている箇所もあるかもしれません(汗)
A:ピント&ズームリングゴムを剥がし、シンナーなどで接着剤を取り除きます。
そしてネジを外し、ピント&ズーム前半分のアウターチューブを外します。
B:無限遠にセットしてから銘板を吸盤オープナーなどで外し、前群ユニットと鏡筒との位置関係をマーキングをしてから中に見える3本のネジを外します。
C:無限遠&テレ端210mmでネジの位置をマーキングしておきます。
スライダー部のマイナスネジ2本を外し、前のアウターチューブを外します
D:前群ユニットを時計回りに回して外し、レンズを分解・清掃します。
(前から内側に凹、凸、凸)
②鏡筒を分解していきます
B:ピント&ズームのインナー(前)とアウター(後)を分割します。
C:AUTO/MANUALのレバーカバーを3本のイモネジを緩めて外します。
この時、組む時の為にイモネジが当たって傷ついた打痕を確認し、組む練習をしておきます。
D:このイモネジ6本を緩める前にラジアル方向(回転方向)に位置マーキングをしておきます。
そしてイモネジ6本と絞りリングのマイナスネジ1本を外します。
③鏡筒の分離
A:するとマウント部分を引き抜く事ができますが、絞りレバーのリンクが入る位置を確認しておいて下さい。
あとスペーサーが4枚前後入っているので、それも一緒に外しておきます。
B:絞りリングを外す時はクリックボールが飛び出しますので、袋の中で絞りリングを慎重に外します。
C:ズーム指標の筒を3本の皿ネジを外してずらしておきます。
D:筒をずらすとまた3本の皿ネジが見えるので外します。
④レンス後群の分離
A:レンズ後群を引き抜く事ができました。
それにしても酷いカビですね^^;
B:レンズ後群中央のビス3本を外しますが、ネジ止め剤が塗付してあるのでそれを
削ってからでないとドライバーが入らないと思います。
C:レンズ後群ユニットがようやく外れました。
⑤外した後群ユニットのレンズを分解して清掃します
レンズの向きとスペーサーの向きは必ずマーキングし、組む時は間違えない様にして下さい。
スペーサーは向きが無い様に見えても、組んだ時に誤差を生じる事がある為、必ず向きは守ってください。
あとレンズが入りにくい時や外しにくい時は、ドライヤーで鏡筒を温めればすんなりいくと思います。
もし絞り羽根が油で滲んでいたら分解してエタノールで洗浄します。
⑥メイン鏡筒を分解します
分解する時は「合わさる位置や向き」など、パーツ各所にマーキングするのを絶対に忘れないで下さい。
特に「特殊ネジやカラーは大きさや取り付ける場所が違う」ので注意します
写真や動画を撮りながらやると後悔しないで済むと思います^^;
⑦中玉ユニットの分解
取り外した各中玉ユニット。
ネジとコロはそれぞれ位置が決まっているので注意して下さい。
⑧中玉ユニットのレンズを分解・清掃
ここでもレンズの向きとスペーサーの向きは必ずマーキングします。
各レンズの清掃が終わったらブロアしながら逆の手順で組んでいきます。
⑨マウントを組む時の注意
確か絞りから出ているレバーは半時計方向に倒しておけば溝にハマると思います。
組み合わせたら絞りの動作確認をします。
そして絞りリングのネジの先端を溝に入れる時は、ライトでネジ穴を照らしながら絞りリングを回して細い溝を探し、特殊ネジを入れますが…!!
この特殊ネジを締めすぎると絞りリングの回転が渋くなる為に、絞りリングが軽く動く時点でこの特殊ネジをネジロックを塗って固定するのが良いみたいです^^;
⑩無限遠の出し方
もし分からなくなったり、無限遠がでない時は、レンズをカメラに付けてフォーカスリングを無限遠にセットし、レンズを遠景に向けます。
そしてAで見えるネジ3本を緩め、カメラのファインダーを覗きながら中の前群ユニットを回してピントが合ったらネジ3本を締めて完了です。
(好みでオーバインフにしるのも良いです)
⑪「SMC TAKUMAR ZOOM 85-210mm f4.5」の作例
カメラはAPS-Cの「キャノンEOS KISSx3」を使っています。
画角や絞り値などは忘れてしまったので、分かる画像のみ書いてます(汗)
⑫カイツブリの巣
⑬貯水池の欄干
⑭貯水池の欄干B
⑮野良猫さん
⑯川沿いに積まれた雑草
⑰鳩
⑱川の景色
⑲川の景色B
⑳アジサイ(紫陽花)
㉑アジサイB
レンズがとても大きくて長く、最短撮影距離が3.5mと設計に余裕を持たせているせいか、良く写る印象でした。
でも専用のクローズアップレンズが無いと「テレマクロ的な撮影」はできないので、そんな時は接写リングかベローズを使うといいかもしれません。
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、落ち着いて慎重に行って下さい。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、参考程度にして下さると嬉しいです。
あとレンズの分解・清掃は必ず自己責任でお願い致します(汗)
以上、【PENTAX 「SMC TAKUMAR ZOOM 85-210mm f4.5」分解・清掃・作例】でした!
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