◎今回は(も:笑)、とあるリサイクルショップのジャンクボックスに入っていたカビジャンクレンズ「PENTAX Super Takumar 55mm F2 (前期型)」を分解・清掃し、同型のF1.8レンズとの比較、そして作例を載せてみました。
詳しい方のサイトでこのレンズを調べてみると、前期型の最後の方に作られた製品であるらしく、銘板のフォントや指標廻りで簡単な判別ができるようです。
あと前期型なのでアトムレンズ(放射能トリウムレンズ)ではなく、レンズの黄変も発生していませんでした。
おそらく1963年頃の発売 単焦点マニュアルフォーカス
当時の価格はアサヒペンタックスS2スーパーとのセットで¥30.600
レンズ構成: 5群6枚 絞り羽根枚数: 6枚 最短撮影距離:0.45m
フィルター径: 49mm 外寸:36x57mm 重さ:216g
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①レンズのみの清掃偏
A: まず吸盤オープナーなどを使い、銘板を反時計回りに回して取り外します。
この時に固い場合はエタノールをネジ溝に染み込ませてから緩めると有効です。
B: フィルター枠を反時計回りに回して取り外します。
C: 前群レンズユニットを取り外します。
D: フォーカスリングを無限遠にし、後群レンズユニットを取り外します。
②外したユニットを分解して各レンズを清掃します
A: レンズユニットの分解は吸盤オープナーを使うとキズも付かず効率的です^^
B: 外した前玉を清掃します。
C: 後ろのレンズを外して清掃します。
D: 中のレンズも押さえリングを外して清掃し、前群ユニットを組み立てます。
各レンズの向きは画像③下のレンズ構成図を参照して下さい。
③後群ユニットのレンズ清掃
A: 後群(内側)のレンズを外して清掃します。
B: 後玉を外しますが、唯一このレンズだけ向きが分かりにくいので、向きマーキングしてから清掃して組み立てます。
レンズの清掃のみなら後は組み立てて完成です^^
④絞り羽根の清掃(上級者向け)
A: 絞りユニット&中鏡筒を固定しているリング(黄丸部分)をカニ目ツールなどで取り外し、後ろから絞りユニットを優しく押して取り外します。
B: 取り外したら必ず各ピンが入る位置を確認しておいて下さい。
そして右上の丸いネジは絞り量の調整可動部なので、必ず位置マーキングをしておきます。
C: 絞りユニット&中鏡筒には無限遠調整用のスペーサーリングが入っているので外しておきます。
D: 絞り羽根押さえ部を固定しているイモネジ3個を緩めます。
この時に必ずリターンスプリング(画像⑥のB参照)を片方外しておいて下さい。
⑤絞り羽根の清掃
A: 絞り量調整可動部のネジを外し、絞り羽根を押さえている部品を外します。
B: 押さえ部品を外すとこんな感じになっています。
C: 絞り羽根を外したら、中は結構汚れていました(汗)
この状態で中のリングを回して動きが渋かったら、中のリングも分解して清掃する必要があります。
D: 絞り羽根をエタノールなどで清掃しますが、拭く時は一方通行を厳守して下さい。
往復拭きをやると高確率で絞り羽根を巻き込んで破損します^^;
錆びはメラミンスポンジで取りました。
⑥ヘリコイドの分解清掃A
A: 筒の中も綺麗にして絞り羽根を組み込んだ状態です。
絞りの動きはとても快調になりました。
B: 絞りの組立が終了したらリターンスプリングを取り付けておきます。
C: ヘリコイドを分解清掃する為にフォーカスリング内側奥に見えるネジ3個を外します。
D: フォーカスリングが外れました。
とりあえず汚れている部分を清掃しておきます。
⑦ヘリコイドの分解清掃B
A: 指標のスケール部をイモネジ3個を緩めて取り外しますが、組み立てる時はイモネジの打痕を目印にします。
B: 絞りリングを外す時はクリックボールが飛び出しますので、必ず袋の中で作業して下さい。
ここは固定式の板バネになっているので、スプリングが飛び出す事はありません。
C: 合わさる位置のマーキングをしたら、固定ネジ3個を外してヘリコイド部を取り外します。
D: 無限遠の位置で各回転部&直進キーの位置マーキングをしておきます。
(フォーカスリング部のサブヘリコイドとレンズが入るメインヘリコイドがあります)
そしてヘリコイドストッパーのネジを外し、メインヘリコイドを外しますが、外れる瞬間がとても重要になりますので、慎重に回して外れる位置をマーキングしておきます。
ヘリコイドの古いグリスを灯油などで洗浄し、新しいヘリコイドグリスを塗って組み立てます。
後は逆の手順で組み立てて完成です。
⑧Super Takumar 55mm F2とF1.8の違い(絞り部)
ご覧の通り、絞り羽根を押さえている部品の口径でレンズの明るさを制限していました。
あと絞りリング以外は全て共通パーツと言うゴージャスさ^^;
F1.8の方も確か前期型です。
⑨Super Takumar 55mm F2とF1.8の違い(レンズ、絞りリング)
A: ちょっと写し方が下手くそですが、後群のレンズは全く同一部品です。
B: 前群のレンズも全く同じ物が使われていました。
C: 光学性能の違いは開放f値以外は同じですね^^
D: あとの違いは絞りリングだけっぽいです。
⑩当時の資料(写真工業1963年カメラ総覧より)
アサヒペンタックスS2スーパーの標準レンズとして「Super Takumar 55mm F2」が付いていて、SVにはF1.8が付いていたみたいです。
⑪「Super Takumar 55mm F2」の作例
使用カメラは1インチセンサーのミラーレス「ニコン1 V1」を使っています。
景色以外はなるべく開放で撮影しました。
⑫マンション群
⑬自動車のテールランプ
⑭信号待ちのタンデムバイク
⑮日産スタジアム|横浜国際総合競技場
⑯バス
⑰ポイ捨て空き缶
⑱夕焼けに染まる交差点
⑲ガシャポン
⑳猫さん
㉑物撮り(ディフォルメフィギュア)開放F2
F1.8をちょっと絞った感じになるので、ピンの合っている部分はとてもいい感じです。
でも1インチセンサーだと撮影距離が遠くなって被写界深度も深くなるので、フルサイズカメラを使うともう少しソフトになると思いますが^^;
㉒物撮り(ディフォルメフィギュア)F5.6
このレンズが一番解像するのはこの辺だと思います^^
「Super Takumar 55mm F2」はオールド単焦点レンズを気軽に楽しむには最高の1本だと思いました。
でも最近は数が減り、ちょっと値段が上がりつつありますが^^;
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
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以上、【PENTAX「Super Takumar 55mm F2 (前期型)」分解・清掃・作例】でした!
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