◎今回はいつものハードオフではなく、普通のリサイクルショップで「PENTAX SP(SPOTMATIC)」と共に売られていた「Super-Multi-Coated TAKUMAR 50mm f1.4」を分解清掃し、「Canon EOS KISSx4」で作例を写した記事になっています。
もちろん状態はカビジャンクで、このレンズはアトムレンズの為に後群レンズが当たり前の様に黄変していました。(苦笑)
ハードオフみたいな専門店はある程度価格が決まっていますが、地方のリサイクルショップって
これなら買っていいなと思う掘り出し物がたまにあるのがいいですね。
本音を言えばやっぱり「8枚玉」が欲しいなぁ~、と思いつつ。(笑)
スペック 1971年発売? マウント: M42 単焦点レンズ マニュアルフォーカス
レンズ構成: 6群7枚 最小絞り: f16 開放絞り: f1.4 絞り羽枚数: 8枚 画角: 46°
最短撮影距離: 0.45m フィルター径: 49mm マルチコーティング 外寸: 61.5X38.5mm
重さ: 230g
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①まずはレンズ清掃のみの作業から
B: そして前群レンズユニットも吸盤オープナーで反時計回りに回して外します。
C: ロックリングを外し、各レンズの向きを確認しながら外して清掃します。
D: 後玉レンズも吸盤オープナーで回して外し、清掃します。
②後群レンズの取り出し
A: 後群レンズ2枚目をロックリングを外して取り外しますが、後群レンズの向きは分かりずらいのでレンズの向きマーキングをしながら外すと良いです。
B: ここからは後群レンズ3枚目の取り外し作業になりますが、面倒な方はレンズが付いた状態で絞りを開きながら清掃し、後は組み立てて完了するのも良いと思います。
簡単なレンズ清掃のみならここで作業は終了になります。
レンズ3枚目を外して清掃する場合はまずフィルター枠を固定している3個のネジを外してフィルター枠を外します。
C: そしてフォーカスリングを無限遠にセットし(ここからマーキングするまで中のヘリコイドは絶対に動かさない様にします)、フォーカスリングを固定しているネジ3個を外し、フォーカスリングを外します。
☆因みに無限遠調整はフォーカスリングを付けていない状態でレンズをカメラにセットし、ファインダーを覗きながら銅製ヘリコイド部を回して遠景にピントが合わせ、フォーカスリングを無限遠位置で取り付けて3個のネジで固定すればOKです。
好みでオーバーインフに合わせるのも良いでしょう。
D: フォーカスリングを引き抜いたら一直線の丸印に各位置マーキングをしておきます。
(これは画像⑤のヘリコイドグリスを交換する時も重要になります)
③絞りユニットの取り外し
B: 次に絞りユニットを固定しているイモネジを緩めます。
C: 絞りユニットを外す時は絞り連動ピンが入る位置を必ず確認します。
D: 絞りユニットを外したら、後群レンズ3枚目を固定しているロックリングを外し、レンズを取り出して清掃します。
④後群レンズの黄変と絞り羽根の清掃
A: 後群レンズは何と、全部黄変(ブラウニング現象)していました…
「Super-Takumar 55mm F1.8」の黄変は後玉1枚だけだったのに^^;
f1.4はかなりトリウムの濃度が高いのかもしれませんし、それか後群全部がトリウムガラスなのかもしれません(汗)
B: ここからは絞り羽根の清掃になります。
まず絞りユニットの周辺にある3個の固定ネジを外します。
C: 絞り羽根固定部を外し、羽根の向きを確認したら分解します。
D: 絞り羽根と可動部の擦れる部分は全てエタノールなどで清掃し、また組み立てます。
⑤ヘリコイドグリスの交換
A: 指標基準線の描かれているリングの取り付け位置のマーキングをしてから、周囲のイモネジを緩めてリングを取り外します。
(組付ける時はイモネジの打痕に合わせると良いです)
B: 次に絞りリングを外しますが、クリックボールが飛び出す事がありますので必ず袋の中で作業します。
C: マウント基部を固定しているネジ3個を外します。
D: マウント基部の取り付け位置をマーキングしたら、鏡筒からマウント基部を取り外します。
⑥ヘリコイド部の分解
A: マウント基部のメカの動きをチェックし、動きが悪い部分は小筆に付けたマシン油を塗布しておきます。
特に絞り連動関連の動きが悪くなってる事が多いです。
B: ここで画像②のDで付けた無限遠位置のマーキングからのメインヘリコイドとサブヘリコイドが止まるまでの参考回転数を書いておきます。
スミマセン、これは下記Dの直進キーを外した状態での回転数です(汗)
サブヘリコイドを固定した状態でメインヘリコイドを時計方向に回すと約1.2回転で止まり、サブヘリコイドは逆ネジになっていますので、サブヘリコイドを反時計回りに回すと約0.5回転で止まります。
組み立てる時の参考にして下さい。(個体差があるかもしれませんので実測がおススメですが…)
C: 念の為に無限遠位置でのメインヘリコイドの突き出し量を書いておきます。
このレンズは5mmジャストでした。
D: 直進キー2個を外します。
⑦ヘリコイドの分解清掃
A: まず鏡筒とサブヘリコイドを固定した状態でメインヘリコイドを外しますが、外れる瞬間の位置がとても重要になりますので、ゆっくり(かなり)慎重に回します。
B: メインヘリコイドが外れる瞬間の位置をマーキングします。
C: サブヘリコイドはただの逆ネジになっているのでそのまま外し、それぞれのヘリコイドを灯油などで奇麗に洗浄し、新しいヘリコイドグリスを塗布します。
サブヘリコイドをそのまま組付け、止まった位置から0.5回転戻してマーキングの位置にセット、次にサブヘリコイドを固定したまま、抜けた瞬間の位置マーキングよりメインヘリコイドを組付け、止まった位置から1.2回転戻してマーキングの位置に合わせます。
D: そして直進キーを取り付けますが、そのまま取り付けてしまうと直進キーが傾いてヘリコイドが重くなる原因になりますので、薄いマイナスドライバーを図の様に噛ませながらネジを締め付けると良いです。
後は逆の手順で組み立てれば完成です^^
⑧「Super-Multi-Coated TAKUMAR 50mm f1.4」の作例
使用カメラは「Canon EOS KISSx4」で、APS-Cでの評価になります。
今回はレンズが黄変のまま撮影に使用しましたが、自分はホワイトバランスを晴天にセットする派なので大失敗でした^^;
オートにするべきだったのかも…
全ての画像が黄色くなってしまったので、現像ソフトである程度修正しました^^;
⑨すずしろ
絞り値は忘れてしまいましたので、分かる画像のみ記しておきます^^;
⑩反射板
⑪橋の欄干
⑫田園風景
⑬屋外フィギュア撮影
⑭菜の花
⑮菜の花をバックにフィギュア撮影
⑯すずしろB
⑰フィギュア撮影(f1.4開放)
⑱すずしろC
⑲不法投棄
今使ってもとてもいいレンズだと思います^^
黄変したままモノクロで撮れば。モノクロフィルムで使っていた「イエローフィルター」みたいな効果が出るんでしょうね。
(イエローフィルターは肉眼で見たイメージに最も近く表現される適度なコントラスト効果になります)
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
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以上、【アサヒペンタックス「Super-Multi-Coated TAKUMAR 50mm f1.4」 分解・清掃・作例】でした!
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