◎今回はペンタックス初期のオートフォーカスカメラ「SFシリーズ」と共に発売された「PENTAX-F ZOOM 28-80mm f3.5-4.5 MACRO」(コズミカ/COSMICAR製)を分解清掃してみました。
つい最近まで知らなかったのですが、ペンタックス社製は赤文字の「smc PENTAX-F ZOOM 28-80mm f3.5-4.5 MACRO」で、子会社のコズミカ社製は白文字で「PENTAX-F ZOOM 28-80mm f3.5-4.5 MACRO」になっているのですね^^;
中身も別物となっており、ペンタックス製はsmcマルチコーティング9群12枚の3群ズーム(絞り羽根枚数5枚)ですが、コズミカ社製はコーティングがモノコートの8群8枚の2群ズーム(絞り羽根枚数8枚)になっていました。
このコズミカ社製の「PENTAX-F ZOOM 28-80mm f3.5-4.5」のレンズ構成は今回分解して思ったのですが、おそらく「smc PENTAX-FA J28-80mmF3.5-5.6AL」や「smc PENTAX-FA 28-80mm F3.5-4.7 PZ」と同じなんだと思います。
あとこの頃のレンズは「コズミカ」や「タクマー」ブランドもあるそうですが、自分は見かけた事が1度しかありません。
1988年頃発売 レンズ構成:8群8枚 2群ズーム 絞り羽根枚数:8枚 重さ:408g
最短撮影距離:1.0m(マクロモードだと約0.3mまで寄れました) 外寸:65x93mm
フィルター径:58mm 最小絞り:f22~32
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①レンズを分解・清掃していきます!
A: まずズームを28mm&フォーカスを最短距離にし、前群ユニットとフィルター枠との位置関係を鉛筆などで位置マーキングします。
そして前群ユニットを固定しているリングをカニ目レンチで取り外します。
B: 前群ユニットを取り外しますが、この時に外れる瞬間の位置がとても重要になりますので、外れた瞬間の位置をマーキングしておきます。
この赤矢印の作業はレンズ清掃のみの場合は外さなくてOKです。
フィルター枠の筒は隙間から爪位置を確認して位置マーキングした後、その爪部分をつまむように押して引き出せは外れます。
C: 前群ユニットを分解して各レンズを清掃します。
固くて外せない場合は無水エタノールをちょっと染み込ませて待つと外れますが、それでも外れない場合はドライヤーでガンガンに温めてから軍手などをして緩めます。
D: 後群レンズはマウントのフレアカッター取り外し(注意点:画像②のB参照)、反時計回りに回せば取り外す事ができます。
しかしながら後群レンズはハメゴロシになっており、レンズ固定枠を削らないとレンズを取り出す事ができません。
今回は幸い中にカビが生えていなかったので、レンズ外側を拭いて完了となりました。
このレンズは2群ズームなので、レンズ清掃のみならこれで組み立てて完成となります^^
でも自分が買ったこのレンズはどこかに電気的な接触不良があって露出が暴れるので、全分解する事にしました。
②このレンズは電気系に問題があったので全分解しました(汗)
A: 2群ズームなので前群と後群を外すと絞りの付いたただの筒になります。
このレンズにここまで手間をかける人はいないかもしれませんが… (汗)
B: マウントを外していきます。
フレアカッターを固定しているこの部分の下のネジは取り外す必要はありませんので注意して下さい。
下のネジは絞りピンのストッパー固定用になっています。
C: マウントを外すとここのバネ付き接点5個と金色バネ1個がボロボロ落ちてきますので、ゆっくり慎重にマウントを分離します。
注意点として赤矢印部の接点は長い物が使われているので、分けて保存すると良いです。
D: 一番手前の絞りリング連動リングはそのまま外せますが、上丸の接点は簡単に曲がるので注意する事と、下丸の組み合わせを良く確認しておくと組み立ての時に悩まずに済みます。
③マウント周りの分解
A: 絞りリングを取り外す時はボールが飛び出し、バネや赤いボタンも落ちてくるので必ず袋の中で作業します^^;
組む時も必ず袋の中で作業する事をお勧めします!! (失くした事があるものですから…)
B: このレンズはどこか接点が接触不良になっているので、マウント部分の電子接点を接点復活剤で清掃しました。
このマウント部分の接点は絞りリングA位置確認用の小さな接点も取れるので気をつけてください。
因みにこれは外さなくても鏡筒を分解できます。
C: 奥の絞りピン連動リングは①のネジを外し、リングをちょっと回して②の引っ掛かりを外し、③切り欠きまでリングを回して外します。
その時に④のバネも外しておきます。
①で固定してある絞り伝達レバーは奥がバネで挟み込んであるので、取付を良く観察してから外します。
自分は外さずに作業しましたが^^;
D: ズームリングを外す前に必ず接点を取り外しておきます。
まずズームリングゴムを外し、黒いカバーは両面テープで固定してあるだけなので、小さなマイナスドライバーなどで外します。
そして接点の位置マーキングをしたらネジ2本を外して接点を取り外します。
④ズームリング取り外し、鏡筒分離
A: ズームリングを固定しているリングは三ケ所ある爪の部分を持ち上げながら引っ張ると外す事ができます。
ここは必ずしも爪ではなく、外枠を引っ張るだけで外せると思います。
因みにズームリングにある3つの穴はバックフォーカス調整用なので絶対に弄らないでください^^;
B: ズームリングを外すと白いプラのフリクションパーツとマクロモード用のクリックボールが落ちてきますので注意して下さい。
これらのパーツは外して保存しておきます。
もしズームリングがスカスカで嫌ならフリクションパーツの下に両面テープを入れて嵩上げすると重くなります。
C: ズームリング連動ピンを2個のネジを外し、矢印の様に溝を通らせるようにして外します。
D: 中の鏡筒を固定している3つのネジを外します。
⑤鏡筒分離と電子接点の清掃
A: 鏡筒を分離する時は必ずフォーカスを無限遠にセットします。
中の鏡筒を引き抜く時は中に電気接点があるので慎重に…
B: これが中にあるフォーカス位置検出用の電気接点です。
接触不良があるので接点復活剤を使って清掃しておきました。
C: 中の鏡筒は慎重に抜いたけど、どこかで引っ掛けて接点を曲げてしまいました^^;
接点はとても柔らかいので、精密ドライバーで突いて慎重に修正しました。
一通り接点を磨き、絞り羽根も清掃したら組み立てます。
D: マウントの接点はまずこのように接点を入れ、レンズ側に金色のスプリングを入れて、スプリングが穴に入るのを確かめながら一直線上で組み合わせます。
注意点として赤矢印の位置の接点は長い物が入ります。
あと接点のスプリングが外れた場合、しっかり段差(ごく小さな段差があります)に入れる必要があります。
⑥接点の長い物と低い物の位置関係
これは組んでいてたまたま気づきました^^;
おそらくレンズをカメラにセットする際に何らかの必要性があってこうなっているのだと思います。
今のところ初期のFレンズしか確認していないので、後のレンズがどうなっているかは分かりません^^;
⑦「PENTAX-F ZOOM 28-80mm f3.5-4.5 MACRO」(コズミカ社製)の作例
28mm f8.0 1/400 ISO200
使用カメラはペンタックス「K-x」
⑧望遠端 80mm
80mm f8.0 1/320 ISO200
⑨物撮り「プライズフィギュア」
80mm マクロモード f8.0 1/160 ISO200
⑩物撮り 「プライズフィギュア」
80mm マクロモード f5.6 1/160 ISO400
⑪キバナコスモス
80mm f8.0 1/160 ISO800
⑫夕暮れ時の市街地
80mm f8.0 1/160 ISO800
繊細さこそ無いものの、廉価版ズームとしてはそこそこ良く写ると思いました^^
等倍で見ても割と解像している感じですし、気軽に使えるのも良いです。
今回使ったカメラがフルサイズではなく、ペンタックス製と比べてないので何とも言えない部分もありますが、比較的入手し易いので入門用にも良いと思います。
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
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以上、【ペンタックス「PENTAX-F ZOOM 28-80mm f3.5-4.5」分解清掃】でした!
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