ヤシカ 「オートヤシノン DX 135mm/F2.8」分解・清掃・作例

ヤシカ135mmアイキャッチ ヤシカ・京セラなど

◎今回は1961年頃にヤシカペンタJ/TLシリーズの交換レンズとして発売されたヤシカ「YASHICA AUTO YASHINON-DX 135mm f2.8」を分解・清掃してみました。

このレンズはとにかくレンズの後玉のコーティングが曇る事で有名で、このレンズも例外なく後玉の前側のコーティングが白く曇っていました^^;
因みにこのレンズには製造番号(7桁)が鏡筒に書いてある前期型と銘板に製造番号(8桁)が書いてある後期型があるのですが、どうやら後期型の方が曇りにくいらしいです…が!
残念ながらこのレンズは後期型(シリアルNO.13813717)なので、個人的な結論としてあまり酸素に触れない状態で保存されたレンズが勝ち組の様な気がしています。
(このレンズは使い込まれていました)

1961年頃発売  マウントはM42 ヤシカペンタJ/TLシリーズの交換レンズとして発売
レンズ構成:4群5枚エルノスター型 絞り羽根枚数:6枚 最短撮影距離:1.5m
フィルター径:55mm   外寸:64×100(絞りピンまで)  質量:513g

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①それでは前群のレンズを清掃していきます

ヤシカ135前群分解

A: まず鏡筒中央にあるイモネジの位置をフォーカスリング下の指標パーツに鉛筆などでマーキングします。
そして鏡筒中央にあるイモネジを取り外し、反時計回りに捻ってレンズを分割します。
この時にイモネジが固定している部分を確認しておきます。

B: ①のリングを反時計回りに回して外すと、フード②を外す事ができます。
そしてイモネジを外して③のパーツを外します。
(③のパーツは必ずしも外す必要はありませんが、作業性はアップします)

C: 外したパーツ一覧
④も外す必要はありませんが、前群後ろのレンズは外しやすくなります。

D: 前群ユニット後ろのレンズを鉛筆などで向きマーキングしながら外します。
押さえリングは反時計回りに回せば外れますが、固い時はエタノールをちょっと染み込ませて待つと割と簡単に緩みます。

 

②前群ユニットのレンズ清掃の続き

ヤシカ135前群清掃

A: イモネジを外して前枠を反時計回りに回して外しますが、前枠を外すと銘板やレンズ、スペーサーが全て落ちてくるので、レンズを上向きにして作業して下さい。

B: 前枠①を外す事でようやく、②の銘板、③の前玉を外す事ができます。
レンズやスペーサーは向きがありますので、鉛筆などでマーキングしておきます。

C: そしてスペーサー①を外し前玉(2枚目)を外します。

D: 外したレンズを清掃し、組み立てます。

 

③ヘリコイド、絞り羽根の清掃・グリスアップ

ヤシカ135ヘリコイド・絞り

A: フォーカスリング最短撮影距離にセットして外し、ヘリコイドの古いグリスを清掃して新しいグリスを塗布します。
しっかりやりたい場合は全分解をおススメします^^;

B: 「絞りリング」と「オート/マニュアル切替レバー」のクリック感が乏しい場合はイモネジ3個で固定してある押さえリングを外し、調整とグリスアップを行います。
切替レバーのカチカチ感が乏しい場合はここの板バネの突起部分を手前に曲げて修正します。
絞りリングのクリック感が乏しかったり渋い場合はここのボールがスムーズに動くか確認し、グリスアップしておきます。

このレンズの場合は分解痕があり、おそらくボールを紛失して違う物を入れたのか、ボールより穴の径が小さくてボールが動いていませんでした。
とりあえずボールが動く様にドリルで広げておきました^^;

C: ボールより穴の径が小さかった為にこのボールが沈む事無くクリックされ続け、このクリック溝がすり減ってました。
きっとこのレンズの絞りリングは修理後にかなり固かったと思います^^;
これだけ磨り減るともうクリック感はほとんど無くなってました。

D: 絞り羽根の清掃はこの大きなリングを反時計回りに回して外せば分解・清掃できます。

 

④絞り羽根の清掃・後玉の清掃研磨

ヤシカ135後玉研磨

A: 押さえリングを外したら、絞り羽根を外して清掃し組み立てます。

B: フォーカスリングを無限遠にセットし、カニ目レンチを使って後玉を反時計回りに回して外します。
そして後玉のケースをひねって2分割にし、後玉を…
は、外れない(汗)
こうした時はドライヤーでガンガンに温めればOKです。

C: 外れた後玉をライトの光を当てながら良く観察しバルサム切れかコーティングの曇りかを判断します。
やはり撮影方向側のコーティングが曇っていました…
仕方なく酸化セリウムで曇りがとれるくらい研磨してみました。

ここはどれ位「研磨」するかが問題になりますが、手で研磨する場合は曇りがとれるくらいで止めるのが良いと思います。
何故ならそれ以上研磨するとコーティングの痛んだ部分と痛んで無い部分で大きな段差が出来てしまうからです。(経験済み)
理想はコーティングだけ削り取る事になりますが、大変ですし光軸は再調整が必要になるかもしれません。
もちろん型を取って機械で研磨するなら完璧でしょうけど^^;

自分は仕上げの酸化防止に車のヘッドライトコーティング剤を使いました。
これはまだテスト段階なのでおススメはできませんが…

D: 残念ながら透明度は確保できても、やはりコーティング表面の痛んだ部分が削れてしまい、痛んで無い部分との差が僅かなデコボコとなって表れてしまっています。
これが素人の限界だと感じますね^^;
表面にクリアの膜を作って研磨する技術があれば修復可能になるかもしれませんが…

 

⑤「YASHICA AUTO YASHINON-DX 135mm f2.8」の作例

ヤシカ135作例壁

Canon EOS KISSx3 f2.8   1/2000   ISO400
以下、コントラストを若干上げてます^^;

 

⑥自転車置き場

ヤシカ135自転車置き場

Canon EOS KISSx3 f4.0   1/1600   ISO400

 

⑦交差点

ヤシカ135交差点

Canon EOS KISSx3 f7.1   1/1600   ISO400

 

⑧森の木

ヤシカ135森の木

Pentax K-x f4.0 1/320  ISO400

 

⑨ヒメジオン

ヤシカ135ヒメジオン

Pentax K-x f2.8 1/1250  ISO400

 

⑩雑草

ヤシカ135雑草

Pentax K-x f5.6 1/500  ISO400

 

⑪がんばれニコン!

ヤシカ135ニコン

Pentax K-x f5.6 1/2500  ISO400

 

⑫NO!ながらスマホ

ヤシカ135ながらスマホ

Pentax K-x f4.0 1/1600  ISO400

 

⑬バイクマンの像

ヤシカ135バイク像

Pentax K-x f8.0 1/1000  ISO400

 

⑭アブラゼミ

ヤシカ135アブラゼミ

Pentax K-x f5.6 1/200  ISO400

やはりコーティングがレンズフィルターの「フォギー」みたいになっているので、写りもそんな感じになってしまいました…
それはそれで「味」のあるレンズなんですけどね^^;
後玉レンズのコーティングがデコボコでここまで写るので、状態の良い物ならとてもいい描写をするのだと思われます^^
もし状態の良いレンズをまた手に入れたら作例を入れ替えようと思います。

 

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

以上、【ヤシカ 「オートヤシノン DX 135mm/F2.8」分解・清掃・作例】でした!

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