「KYOSERA LENS AF 35-70mm f3.3-4.5」分解・清掃

京セラ35-70mm ヤシカ・京セラなど

◎1986年に京セラのオートフォーカス一眼レフ230AFと共に発売された京セラAFズームレンズ「KYOSERA LENS AF 35-70mm f3.3-4.5 MACRO」を分解・清掃してみました。
噂では設計がヤシカ・コンタックスAF用のVario-Sonnarとして開発された物らしく、写りはなかなかのものとか。
しかしながらこのレンズは京セラAF独自のマウントで、国内ではマウントアダプターが流通しておらず、どうやらアメリカから取り寄せないといけないみたいですね(汗)

レンズ諸元: レンズ構成7群8枚 フィルター径52mm 重さ250g
最短撮影距離0.33m 当時の価格31.000円 1986年発売
因みにこのレンズは最終型のCタイプ(マウント遮光部分が出っ張っている)とYashicaバージョン(鏡筒にはKYOCERAの文字)があるそうです。

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①まずは貼ってある銘板を外します

銘板外しこれがとても強力な両面テープで貼ってあり、ドライヤーなどで温めながらプラスチック製のヘラなどで少しずつ隙間を広げる感じで外さないといけません(汗)

注意点として、ここの隙間には前群ユニットを押さえている鉄板があり、その鉄板の上にヘラを入れないと銘板を外す事ができません。
(自分は間違えて入れて、前群ユニット前面を傷だらけにしてしまいました)

 

②銘板が外れた状態

貼付け面この両面テープの接着力がとにかく凄く、最初は取れないかと錯覚する程でした。

あと自分はこの両面テープを剥がすのが面倒なのと、粘着力が割と残っていたので再利用する事にしました。(汗)

 

③この部分は無限遠調整になっています

無限遠調整リング状の鉄板を外す前に、ズーム位置を35mm&フォーカスリングを最短撮影距離にセットして前群ユニットAとフォーカスリングBの位置関係をマーキング&写真を撮っておきます。
そして3本のビスを外してリング状の押さえ鉄板を外します。

Ayumu

忘れた場合の無限遠の出し方は「鉄板のリングを仮止めしてBの中でAがフリーに動くようにします。そしてそのレンズをカメラにセットし、フォーカスリングBを無限遠にセットしてから、遠景にカメラを向け、カメラのファインダー&モニターを見ながら前群ユニットAを回して無限遠に合わせ、丸い鉄板のビス3本を締め付ける」だけです。

好みでオーバーインフに合わせるのもアリかもしれません。

 

 

④フォーカシングの筒を外します

フォーカシング筒フォーカシングの筒を伸ばしきった状態にし、35mm記載部分の下周辺とその反対側の下周辺をつまむ感じでフォーカスリングのレールから凸部分を外して抜きます。
この時、無限遠調整の関係で前群ユニットを回さないように外します。
組みつけもこの逆の手順で行います。

 

⑤参考: 筒の凸部分の入る位置

凸部分の位置ズームは35mm、フォーカスリングは最短撮影距離で、凸部分の位置関係になります。

 

⑥前群ユニットを外します

前群ユニット位置マーキングした位置から何回転&外れる位置を確実にメモ&マーキングしておきます。
特に外れる位置は重要ですので気をつけて下さい。
組む時もこの逆の手順で行います。

 

⑦おそらくこのリングは接着剤が劣化して脱落しています

リング接着これは組む時に外れていると難儀しますので、必ず接着し直しておきます。
ネジ穴に合わせて接着し直しますが、拘る方は接着痕を見て位置を断定してから貼り直してもいいと思います。

 

⑧前玉を押さえているリングは緩み止めが塗付されています

緩み止め剥がしマイナスドライバーを隙間に入れ、軽く隙間を広げる感じで接着面を剥離させます。
これをやらないと「押さえリング」にカニ目レンチを入れる溝が無い為、リングを外すのは困難になります。
あとは「吸盤オープナー」などで「押さえリング」を外します。

Ayumu
Ayumu

傷つけたくない場合は無水エタノールをネジ溝に数滴染み込ませて数分待ち、「吸盤オープナー」で外すのもアリかと思います。
無理かもしれませんが…

 

⑨前群のレンズを清掃します

前群レンズ清掃レンズサッカーなどを使って1枚ずつ取り出して清掃します。
押さえリングを外すと全てのレンズが一気に出てきますので注意して下さい。
レンズやスペーサーは必ず入っていた向きをマーキングしておきます。
(これを忘れると大変な事になります)

⑩中玉の清掃

中玉清掃今回は中玉は外さずに清掃する事にしました(汗)
綿棒にクリーニング液を付けて軽く清掃した後、割り箸にクリーニングペーパーを付けた物で仕上げます。
(最近は堅めの筆にペーパーを付け、柔軟性を持たせた物で清掃してます)
後ろ側は後群レンズを外し、絞りを開けて清掃します。

後は逆の手順で組んでいきます。

 

⑪マウントを外します

マウント注意点もし基盤を外す場合はこの部分にアース用のミニスプリングが入っているので注意して下さい。
(これはミノルタのAFレンズも入っているので注意します)

でも今回は基盤を外さずに、マウントだけ外して清掃しました。
あとAF駆動ギヤも外れるので注意します。

 

⑫後玉の押さえリングを外します

後玉押さえこれは反時計回りに回せば外れますが、実はここにも緩み止めが塗付されており、なかなか緩まないかもしれません(汗)
このレンズの場合は接着面が劣化していたのか簡単に緩みました。
ここも押さえリングを外すと全てのレンズが出てくるので注意します。

 

⑬レンズを外して清掃します

後群レンズ清掃押さえリングを外したら、1枚ずつ取り出して向きを確認し、清掃していきます。
この時もレンズとスペーサーには必ず向きをマーキングしておきます。

レンズを清掃したら向きに注意して元通りに組み直します。

実は一番右の貼り合わせレンズがバルサム切れしていました(汗)
後に剥がして貼り合わせましたけど…

合わせ面が虹色になっていたり、気泡やクモリなどは完全にバルサムがやられています。
この頃の京セラのズームに関し、自分が見たジャンクレンズ「28-85」、「70-210」の約8割がバルサム切れを起こしており、買う時は気をつけて下さい。

 

⑭マウントを組む時の注意点

マウント注意点
左のAF駆動ギヤが入っているか確認し、右の絞り伝達レバーも凹に入っているか確認しながら組んでいきます。
そしてネジを締めて完成です。

 

 

⑮ミノルタのAマウントアダプターで使える様にマウント加工しました

京セラミノルタ違い京セラAFマウントとミノルタAマウントは似て非なる物です。
まず大きく違うのが絞りレバーの位置です(汗)
あと口径はほぼ同じでもマウントの羽部分三ヶ所の位置と厚みが微妙に違いました。

⑯マウント加工

マウント加工こればかりは自己責任でお願いします(汗)
自分はもう1つ同じレンズを持っていたので加工に踏み切りました。

AとBはマウントアダプターに入る様に幅と厚み(内側の上)をそれぞれ削りました。
Cのストッパーボルトは外しました。
Dの所には穴を開けてマウントにロック&ボタン解除できるようにしています。
(下記の絞りリング位置を決めてから開けています)

 

⑰マウントの絞りリングに対応しました

絞りリング対応

但し、レンズ脱着の度に絞り伝達ネジAを緩めたり締めたりしないといけませんが…
あとたまにCの脱着レバーを押してもレンズが外れない時があり、そんな時はBを緩めてこじる必要がありました(汗)

 

⑱こんな感じでマウントアダプターに取り付け完了!

京セラマウントアダプターフードがニコンとか、もうメチャクチャな組み合わせですね(笑)
利点は絞りが調整できる事、若干オーバーインフですが無限遠がでた事です^^
(③で完璧な無限遠調整はできますが…)
欠点は脱着がめんどくさい、距離窓が下になる事です(苦笑)

 

 

⑲「KYOSERA LENS AF 35-70mm f3.3-4.5 MACRO」の作例

広角端広角端35mm
⑱の組み合わせで撮影しており、ニコン1なので画角の隅は使っていません。
また撮影データは完全に忘れているので適当です(汗)

 

⑳望遠端70mm

公園のベンチピンは奥に合わせてます。

 

㉑マクロ域撮影(70mm)シロツメクサ

シロツメクサ

 

㉒マクロ域撮影(70mm)ヒメジオン

ヒメジオン

 

㉓50mmくらい「川の合流地点」

川50mm

 

㉔オールドAFレンズでのブツ撮り(フィギュア)

35mm開放35mm/開放 f3.3

 

㉕フィギュア撮影 70mm/f8.0 最短撮影距離0.33m

フィギュア最短撮影距離カメラがニコワンの豆センサーなので参考にならないと思いますが、どんな物でも綺麗に写すオールマイティーなレンズだと思います^^

 

☆レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、落ち着いて慎重に行って下さい。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為に間違っている事も多いと思いますので、参考程度にして下さると嬉しいです。
あとレンズの分解・清掃は必ず自己責任でお願い致します(汗)

以上、【「KYOSERA LENS AF 35-70mm f3.3-4.5」分解・清掃】でした!

コメント

タイトルとURLをコピーしました