「TAMRON 135mm f2.8 (T-135)」分解・清掃・作例

タムロン 135mm T-135 タムロン

◎今回は「TAMRON 135mm f2.8 (T-135)」の分解・清掃・作例になります。
(注意点: このレンズのフォーカスリングゴムは買った時に紛失していた為、応急措置として木目シートを貼ってあります。 オリジナルは絞りリングと同じサメ肌ゴムになります)

何とこのレンズ、タムロンの公式サイトに載っていません。(汗)
丁度1973~1975までの135mmのデータがすっぽり抜けているんです。
このレンズの外観は当時のZシリーズと共通し、シルバーモデルもあるのはこの型だけです。
型式不明でしたが、何とか海外のサイトを調べてようやく「T-135」と分かりました。

1976年に発売された「CT-135」とはレンズ構成以外別物で、絞り羽根枚数も「CT-135」が6枚に対してこちらは9枚、リヤのUVガラスも脱着式になっていますし、距離計は透明プラ、銘板はフラット形状になっています。

発売時期1973年頃 価格はおそらく¥2.3000前後 レンズ構成4群4枚
絞り羽根枚数9枚 最小絞りf22  最短撮影距離1.5m  フィルター径55mm
重量375g   本体色:黒/シルバー

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①それでは「TAMRON 135mm f2.8 (T-135)」を分解・清掃していきます

UVガラス取り外しアダプトールマウントを外し、底面に付いているUVカットガラスを外して清掃します。
これはレンズではないので、向きを間違えても問題ありません。

うーんまたコーティングが痛んでるぅ…
自分はこの頃のタムロンレンズに付いているUVガラスのコーティングが痛んでいない物に出会った事がありません(汗)

 

②銘板とフード、押さえリングを外します

銘板、フード外し銘板は時計方向に回せば外れますが、固い場合はエタノールをネジ溝に流して待つか、ドライヤーで温めて緩めます。
銘板を外すとフードも外す事ができます。
そして「鏡筒を押さえているリング」も外しておきます。

Ayumu
Ayumu

おそらく本当はAのイモネジ3本を緩め、「鏡筒を押さえているリング」を外せば、鏡筒Bを反時計方向に回してごっそり抜けると思うのです。
(ここはおそらく無限遠調整になっているので要マーキング&外れる回転数を記録する必要があります)
しかしこのレンズはイモネジが錆びついていて1本しか緩みませんでした。
なので鏡筒Bを外さずに作業する事となった次第です。

このイモネジを緩めれなくても作業はできますが、イモネジの押さえている力で鏡筒が内側に変形している為に、中のスペーサーが抜けなくて難儀する事になります。
できれば鏡筒をごっそり外して作業するのをおススメします(汗)

 

③前玉を外します

前玉外し前玉を押さえているリングをカニ目レンチを使って外し、レンズサッカーで慎重に前玉を抜き取ります。
この時に前玉は重いので落とさないようにして下さい。
(レンズに使われている硝材は非常に脆く、簡単に欠けてしまいます)
そして前玉を清掃します。

 

 

④前群レンズの2枚目を外します

前群レンズ②枚目

この2枚目のレンズを押さえているスペーサーが②の理由で外れないかもしれませんが、そんな時はドライヤーなどで温めれば何とか抜けると思います(汗)
外れない時は絶対に無理をせず、スペーサーに何かを接着して外す方がいいかもしれません。
(ここでレンズ本体を下に叩いて外すとレンズの角が必ず割れます: 経験者は語る)

外れたレンズを清掃します。

 

 

⑤中玉を外します

中玉外し

ここはオフセットタイプのカニ目レンチでないと厳しいかもしれません。
道具を滑らせてレンズを傷つけないように外していきます。
中玉ユニットを外したら、レンズを取り出して清掃します。

 

 

⑥後玉を外します

後玉清掃

ここも道具を滑らせてレンズを傷つけないように注意して外していきます。
このレンズだけ向きを忘れやすいので、向きをマーキングしておくといいかもしれません。
外れたレンズは清掃しておきます。

 

⑦外したレンズを並べた状態

外したレンズこんな順番で入っています。
右から2番目のスペーサーは組む時も固くて難儀しますので、簡単に入るように周囲を削っておく事をおススメします。
特に「しまった埃が残ってる!!」何て時に分解が楽になるので… (再び経験者は語る: 笑)

後は逆の手順で組めば完成です^^

 

⑧レンズ構成は4群4枚のエルノスター型

エルノスター

右から2番目の凸メニスカスレンズを取り除くと「トリプレット」がベースと言うのが良く分かります。
タムロンの135mmは1962年から1984年までこのエルノスターを使っています。

 

⑨「TAMRON 135mm f2.8 (T-135)」の作例

T135開放まずはちょっと距離を置いて開放f2.8で撮影しています。
使っているカメラはAPS-C機の「キャノンEOS KISSx3」になるので、このレンズの画角の隅までは使い切っていません。
あと全て手持ち撮影の為に手ブレしている画像もありますのでご了承ください(汗)

 

⑩フェンスの支柱

フェンスf2.8開放f2.8で撮影しています。
単純な構造物ならボケは綺麗な感じでした。

 

⑪逆光撮影

T135逆光撮影4群4枚と言うシンプルさが効いているのか、ゴースト・フレアはこんな感じでした。(f22まで絞ってますが…)
逆光テストは太陽の位置を斜め上にして、あまり絞らない方がいいんでしょうけど(汗)

 

⑫野良ぬこさん

野良猫f4.0f4.0で撮影しています。

 

⑬防波堤の鉄扉

防波堤の扉f2.8開放f2.8で撮影しています。
コントラストの高い被写体なら開放でも割といい感じでした。

 

⑭川沿いの風景

川沿いf5.6奥にピンを合わせ、あまり絞らずにf5.6で撮影しています。

 

⑮工事現場の埃防止水撒きの反射

工事f8.0

確かf5.6くらいだったと思います(汗)

 

⑯スイセン

スイセンf2.8暗い場所だったので開放で撮影しています。        ↑ここにピンを合わせてます。
やっぱり135mm(APS-C換算218mm相当)だと暗い場所の手持ち撮影はキツイですねぇ(汗)

 

⑰川沿いの鉄柵柱

鉄柵柱f2.8開放f2.8で撮影しています。
このレンズの開放ボケは背景が細かいと五月蠅くなる傾向がありました(汗)
気になる時はちょっと絞ってあげると良い感じになります。

ボケに関し、このレンズを見てちょっと気付いた事があるんです。
一般的に「絞りの位置は中玉と後玉の中間にある」のに対し、このレンズは「絞りの位置が後玉の後ろにある」んですよね。
これはほとんど見た事が無いのでちょっと驚きました^^;

 

 

⑱口径食テスト

T135口径食

開放で光源に対してピンをずらして撮影しています。
そんなに気になるレベルではありませんでしたし、周辺減光も分からないレベルでした。(APS-C機なので完全ではありません)

 

⑲パープルフリンジのテスト

フリンジテスト光源を開放f2.8とf4.0で撮り比べてみました。
画像は1/4にトリミングしていますが、開放では割と派手に出ます。
f4.0まで絞るとかなり改善されました。

この「TAMRON 135mm f2.8 (T-135)」は4群4枚と言うシンプルなエルノスターらしい写りだと思いました^^
抜けは良く、ちょっと絞ればかなりシャープな画を得られますが、開放だとボケがちょっと五月蠅く感じるかもしれません。
タマ数は多くありませんが、気軽にオールドレンズを楽しむにはいい選択だと思います。

 

 

☆レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、落ち着いて慎重に行って下さい。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、参考程度にして下さると嬉しいです。
あとレンズの分解・清掃は必ず自己責任でお願い致します(汗)

以上、【「TAMRON 135mm f2.8 (T-135)」分解・清掃・作例】でした!

 

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