◎この頃のシグマ廉価版ズームはリサイクルショップのジャンクボックスなどで良く見かけますよね(汗)
その中でもf2.8スタートや24mmスタートのレンズは数が少なく、価格が安いとつい買ってきてしまいます。(特にニコンマウント)
今回はドフ(ハードオフ)のジャンクボックスに転がっていたカビジャンクレンズ「シグマ SIGMA 24-70mm F3.5-5.6 ASPHERICAL (無印)」(ミノルタマウント)を分解・清掃してみました。
おそらくニコン・ペンタックス用などはこれとほとんど同じ仕組みだと思いますが、キャノン用は全て電子制御になっているのであまり参考にならないかもしれません。
この24-70mmは「HF: 2001年~」や「UC: おそらく1997年頃~」が存在しますが、どうやらこの無印が一番古いらしくて1994年登場となっていました。
あとスペック的には「HF」登場まで変わらず、何故か1997年頃?に「UC (ウルトラコンパクト)」と名付けたのかは不明です^^;
(1994年には違うレンズにもうUCと名付けた物がありましたし、24-70mmUCでも無印とピントリングゴムのデザインが同じ物と違う物があります)
レンズ構成: 8群11枚、絞り羽根枚数: 6枚、最短撮影距離: 0.5m、フィルター径: 55mm 、重量: 265g。
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①とりあえずベタベタになっているZEN仕上げお掃除です
写真のレンズはまだカビ清掃前の状態で、当時のシグマの外装コーティング「ZEN仕上げ」はベタベタの状態で埃だらけになっていましたorz
これはコーティングしてあるラバー塗装(ZEN仕上げ)が経年の加水分解でベトベトになるもので、ピントリングやズームリングの動きに支障がでる厄介なものです。
しかしこれをアルコールなどで剥がすと数字などの印刷まで無くなってしまう為、自分はまだ実験段階ですが「可動部分のZENは落とし、残りの部分に保湿クリームを塗付」して様子を見ています^^;
②フォーカスリングのゴムを外します
ズームを40mmに、ピントを最短撮影距離にセットして、ピントリングゴムを外し、中に巻いてあるテープを外します。
この時に上下がズレないようにテープを剥がして下さい。
③前群ユニットの取り外し
汚くてスミマセン(汗)
そのまま上下がズレないようにピントリング押さえながらリングの合い目にマーキングをします。
そしてフードが付くリングを上にずらすように外します。
(この時、絶対に中の前群ユニットが動かない様に外します)
そしたら今度は中の前群ユニットに水平位置と横位置が分かるようにマーキングします。
そして反時計回りに前群ユニットを外しますが、抜ける瞬間の位置がとても大事になるので慎重に回し、抜ける瞬間の位置をマーキングします。
組む時はこの逆を行うので、シュミレーションをしておくのも大事になります。
④前群レンズはこの様に外れます
でもこれが凄く固いので、ネジ溝にエタノールを染み込ませるか、ドライヤーで
温めて外すのが良いかと思います。
中がカビてなければ付けたまま清掃すればokです。
もしハメ殺しのレンズ内がカビていたら、捨てる覚悟でハメ殺し部分を削って
レンズを取り出さなければなりません^^;
そしてレンズを清掃したら半田ごてで周りを溶かして固定し直します。
(横に小さな穴を開け、そこから圧縮空気を入れればポンッと抜けるそうですが…)
⑤遮光カバーを外します
中の遮光パーツはプラスチック製で三ヶ所の爪で固定してあります
小さなマイナスドライバーを穴に突っ込めば外れると思いますが、割らない様に
少しずつ力を加えてください。
⑥マウントを外します
接点のネジ2本を外して接点の基盤を浮かせます。
遮光パーツの3本のネジを外し、遮光パーツを外します。
そしてマウントを固定している4本のネジを外し、基盤の配線に注意しながらマウントを
外します。
⑦マウントを外した状態
この時にスペーサー(位置と向きに注意)とAF駆動用のギヤが外れますので、外して保管します。
⑧後群ユニットを外します
3本のネジを外せば取れますが、位置決めがあるのでマーキングしておきます。
正直、このタイミングで外すよりも⑪の時に外すのがお勧めです(汗)
⑨後群ユニット内部は水が侵入したのか、白くなっていました(汗)
仕方なくハメ殺しの部分をヘラで割ってレンズを取り出して清掃しました。
そしてレンズを入れ、半田ごてで周囲を溶かして固定します。
この作業は見た目も悪くなるので、ホント嫌な作業です(汗)
P.S 邦光さんコメントで「100均のホットボンド」がレンズ固定に良いという情報を頂きました。
素晴らしい情報を下さった邦光さんありがとうございます♪
⑩マウント部分の基部を外します
3本のネジを取り外し、マウントの下駄を外します。
そして基板も外します。
⑪そして今度はズームユニットを外します
確か24mmにズームリングをセット(70mm側かもしれません)し、ネジ3本を外すとズームユニットが外れます。
⑫中玉(前)を外します
隣と間違えずに3本のネジをカラーと一緒に外します。
(上から覗けばどのネジがすぐに分かると思います)
そしてちょっと固いですが、中玉(前)を慎重に引き出します。
⑬外れた中玉(前)を清掃します
これもハメ殺しになっているので、中までカビがあると大変です。
今回は外側だけの汚れで済みました
⑭中玉(後ろ)を清掃します
絞りは開けた状態にしてレンズを清掃します。
矢印の部分はズームリングの溝に入れる部分になります。
レンズの清掃が済んだら、後は逆の手順で組めば完成です^^
⑮マウント組む時の注意点
スペーサーとAF駆動ギヤはこんな感じでセットし、マウントを組んでいきます。
上手くマウントが入らない時はギヤのワッシャーがズレてたり、スペーサーが
噛んでいる事があるので気をつけて下さい
⑯マウントの絞りレバーはここに入れます
この四角い中に入れればOKです^^
あとはマーキングに従って組んでいけば完成です。
⑰「SIGMA 24-70mm F3.5-5.6 ASPHERICAL」の作例
広角端は開放から割と良く写る印象です。
しっかり写すならそれなりに絞る必要があるかもしれません。
使用カメラがニコン1V1なので周囲の画質までは把握できないものですから(汗)
望遠端の画質は広角端よりは落ちるので、ちょっと絞るといい感じでした。
手持ち撮影なので手ブレしてるかも^^;
逆光だとそれなりにゴーストやフレアが出ますが、廉価版なら納得の写りです。
⑱ブツ撮り
開放70mmの前後ボケで、望遠端70mmの開放はやはり甘いですね^^;
真横に強い照明があるのと、フードを付けていないのも原因かもしれませんが…
前ボケは若干、2線ボケになっている感じでした。
飛びぬけて良く写る訳ではありませんが、軽くて持ち運びには良く、また当時のシグマレンズの写りを安く味わう事ができるレンズだと思います♪
あとこのレンズのカビ清掃前の写りはコチラに載せてあります。
☆レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、落ち着いて慎重に行って下さい。
あと自己責任でお願い致します(汗)
以上、【「SIGMA 24-70mm F3.5-5.6 ASPHERICAL」分解・清掃】でした!
コメント
過去の記事にコメント失礼いたします。
後群ユニットのレンズ割って外して取り付けるとき、私はホットボンドを使いました。
100均で買えるから安いし接着もし易く便利ですよ。
邦光さんコメントありがとうございます!
多忙の為にお返事が遅れて大変申し訳ありません。
>ホットボンド
なるほど! その手がありましたか!!
100均なら安く手に入るのでコストパフォーマンスも良いですよね^^
この度はご教授ありがとうございました。
今度やる時は是非使ってみようと思います^^