◎今回のクランケはシグマの50mmAFマクロレンズ(Fマウント)で、シグマAFマクロ50mmとして最初期に発売された「SIGMA 50mm MACRO F2.8」を分解・清掃してみました。
当時のキャッチフレーズは「無限遠から等倍まで、高解像を実現。操作性に優れたコンパクトなマクロ」でした。
更にカタログの説明文を見ると「クローズアップは、花や昆虫といったネイチャーフォトだけでなく、ファンタジックな描写を創り出す魅力ある世界です。シグマ50mmマクロは、新開発の光学系とフローティング機構の採用により、一般の無限遠の撮影から等倍撮影まで一貫してシャープでクリア、解像度の高い描写を提供します。また全長59.5mmのコンパクトサイズのため素早いフォーカシングなど操作性に優れ、被写体に全神経を集中することができます。マクロにポートレートに、オールマイティに実力を発揮する標準兼用のマクロレンズです。」と書いてありました^^
確かにこれ一本で何でも撮れるのはマクロならではと思います。
1990年発売 当時の価格は¥33.000(キャノンAFは¥38.000) ケース・フード付き
レンズ構成: 9群10枚 絞り羽根枚数: 6枚 画角: 47° 最小絞り: 22
最短撮影距離: 0.19m 最大撮影倍率: 1:1 フィルター径: 52mm
重量: 320g 外寸: 59.5×62.5mm 対応マウント: キャノン・ニコン・ミノルタ
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①それではマウント側から分解・清掃していきます
A: マウントを外さなくてもレンズ後群は外せるかもしれませんが、このレンズ後群はカニ目レンチを入れる溝が無く、吸盤オープナーなどで力任せに外すとレンズの調整が狂う事があるのでマウントを外した方が無難です。
マウントを固定している3本のネジを外せばマウントはそのまま外す事ができます。
この時にレンズを傾けて作業すると赤丸のAF駆動シャフトと絞りリングが落ちてきますので注意して下さい。
特に絞りリングが外れると高確率で小さなクリックボールを紛失します^^;
B: レンズをビニール袋などに入れ、ゆっくり慎重に絞りリングを外します。
そして必ず黄丸の小さなクリックボールとバネを回収しておきます。
C: AF駆動シャフトを外しますが、シャフトを引き抜くと同時に小さなピニオンギヤもレンズ内から落下してきますので紛失しない様に回収します。
そしてフォーカスを最短撮影距離にし、レンズ後群を取り外します。
D: 外したレンズ後群を分解・清掃します。(これは後玉を外した状態)
レンズとスペーサーには向きがありますので、1枚1枚外しながらマーキングをして清掃します。
このレンズは右端の合わせレンズが曇っていて心配でしたが、拭いたら取れました^^;
レンズを清掃したら向きに注意して後群を組み立てます。
②AFギヤの組み立て方・前枠の取り外し
A: AFギヤの組み立て方はまずこのようにピニオンギヤをセットします。
B: AF駆動シャフトにCリングを入れ、シャフトの先端をピニオンギヤの溝に合うようにセットすればOKです。
C: ここはちょっと良く分からなかったのですが、無限遠調整ではなく距離指標表示位置の調整みたいでした。
D: この前に付いているフレアカッター?がとても固くてなかなか外れませんでした。
エタノールを外から染み込ませてもネジ溝が下の外回りに彫ってあるので届きません。
なのでドライヤーでガンガンに温めたら緩みました^^;
注意点としてこのフレアカッターを外すとレンズ前玉がポロッと落ちてくるので注意して下さい!!
③前群レンズの清掃と前面3個のネジの注意点
A: 前に付いているフレアカッターを外すと前玉もポロッと取れますので清掃しておきます。
B: レンズ清掃のみなら黄丸のネジは絶対に外さない方がいいです。
ここは無限遠調整だけでなく、中の鏡筒がごっそり落ちてきて面倒な事になるのでおススメできません。
前群レンズは赤丸部分をカニ目レンチで回せばごっそり外れます。
C: 絞りを清掃するなら中の鏡筒を外す必要があります。
レンズを伸ばした状態にして前の3本のネジを外し、後ろから中のリンクやキーの入っている場所を確認しながら鏡筒を外す必要があります。
この時に鏡筒を外して後群側を下に向けるとフローティング機構がポロッと落ちますので注意して下さい!!
D: フローティング機構が組み合わさる位置はここです。
そして鏡筒を分解して絞り羽根を清掃します。(画像はありません💦)
鏡筒をレンズ本体に組み込む時は必ずレンズを伸ばした状態で入れます。
④前群レンズの清掃
レンズを清掃する時は必ずレンズとスペーサーの向きをマーキングなどして厳守して下さい。
ジャンクレンズを買って分解痕があり、「画像が結像しない」場合は高確率でレンズの向きが間違っています^^;
それか過剰なレンズ研磨かバルサム膨張ですね…
後はレンズを組み立てて完成です。
⑤「SIGMA 50mm MACRO F2.8」の作例
f2.8開放 1/200 ISO200
使用カメラは「ニコンD90」
⑥セセリチョウ
f2.8開放 1/1000 iso200
少しずつ近づきながら撮ったんですけど、これが飛び立つ前のショットになりました(笑)
⑦公園の水飲み場にて
⑧アブラゼミ
f2.8開放 1/100 iso250
もう夏も終わりですねぇ。
⑨向日葵
f5.6 1/160 iso200
太陽の光がこの花だけを照らしていて綺麗でした。
⑩ヒルザキツキミソウ
f2.8開放 1/3200 iso200 最短撮影距離0.19m
⑪工事現場
f8.0 1/400 iso200
⑫物撮り (ミニディフォルメフィギュア) 開放
後ボケ
f2.8開放 1/640 iso200 後ボケ
⑬物撮り 開放 前ボケ
f2.8開放 1/500 iso200
⑭物撮り f5.6
f5.6 1/160 iso200 撮影位置ズレました(汗)
50mmマクロはマクロ撮影からポートレート、景色までオールマイティに使えるのが良いですね^^
開放からガンガン使えるのもマクロならではと思いました。
でも1991年からはこのレンズも外装に劣化し易いZEN仕上げが施されていますね^^;
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【シグマ マクロレンズ 「SIGMA 50mm MACRO F2.8」分解・清掃・作例】でした!
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