◎2021/10/20に本文の訂正、バックフォーカス調整を追加致しました。
(2022年1月にもう一度全分解しましたが、無限遠調整は分かりませんでした)
今回はとあるリサイクルショップのジャンクコーナーにあったカビだらけのペンタックス「smc PENTAX-M ZOOM 75-150mm F4」を分解・清掃してみました。
2倍ズームって光学的に無理をしていない為に、画質が割と良いのが多くて気に入っていますが、世間では人気が全くありませんね^^;
テレマクロ撮影のできる寄れるレンズだったら、また違ったかもしれません。
今回は時間が無かったのでレンズ清掃をメインに作業を載せています。
1980年発売 当時の価格は¥47.000 引き出し式のショートフード内蔵
レンズ構成9群12枚 4群ズーム 絞り羽根枚数:6枚 最短撮影距離:1.2m
最小絞り:F32 フィルター径:49mm 外寸:111x64mm 重さ:465g
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①分解の最初はフードの取り外しから始めます
A: このフードが外れない様に固定しているフロントのリングがおそらく固くて外れないと思いますので、最初は後ろから多めのエタノールを流し込んで一服します。
B: 一服したら「吸盤オープナー」を使って反時計回りに回してフロントリングを外し、内蔵フードを外し、前群ユニットも外します。
もし固くて外れない場合はまたエタノールを流して一服しましょう^^;
C: A以外の方法でレンズ前群&フードを外す事ができませんので、ここでは前ヘリコイドの分解方法になります^^;
(フードが付いてないのは気にしないで下さい :汗)
まずズーム&フォーカスを150mm&無限遠にセットし、横縦の位置が分かるようにT字マーキングをしておきます。
ズーム&フォーカスリングゴムを外し、黄丸のイモネジ3個を緩めます。
そして横の穴からネジ、コロ各2個を無くさない様に外します。
D: そしてゆっくり慎重にヘリコイドを時計回りに回して外しますが、外れる瞬間の位置がとても重要になりますので、外れた瞬間の位置を必ずマーキングしておいてください。(レンズ指標指示点を基準にすると良いです。
②前群レンズを清掃したら中玉をどんどん外して清掃していきます
A: 前群ユニットを分解して各レンズを清掃します。
2枚目は貼り合わせレンズになっており、曇っていたらバルサム切れを疑う必要があります。
B: 中玉(前)をカニ目ツールなどで反時計回りに回して外します。
C: 中玉(前)を分解して各レンズを清掃します。
ここも2枚目は貼り合わせレンズになっていますので、もし中が曇っていたらバルサム切れです。
D: 中玉(中)をカニ目ツールなどで反時計回りに回して外します。
③中玉(後)の清掃とマウント外し
A: 外した中玉(中)のレンズを清掃します。
このレンズも貼り合わせレンズになっていますので、もし中が曇っていたらバルサム切れです。
B: 中玉(後)をカニ目ツールなどで反時計回りに回して外します。
ここは力を入れにくいのでツールを滑らせてレンズに傷を付けない様にします。
かなり奥になりますので、長いカニ目ツールでないと届かないかもしれません^^;
C: 外した中玉(後)のレンズを清掃します。
本当はレンズホルダーからレンズを外して清掃するのが良いと思います。
D: マウントを外しますが、ここのネジはとても固いので、ドライバーで軽く叩いてから外すと割と簡単に緩みます。
④マウントの取り外しとレンズ後群の取り外し
A: マウントは電気接点などは無いのでそのまま外せばOKです。
黄丸の絞りピンは触ると簡単に曲がってしまうので、気をつけて下さい。
B: 絞りリングを外しますが、クリックボールがありますので袋の中で分解する事をお勧めします^^;
失くしたからでは遅すぎますので…
ここのバネはスプリングではなく、固定式の板バネになっていますので、ボールだけ回収すれば大丈夫です。
C: ここは調整されていませんので、後玉を〇印を緩めて引き抜きます。
(後玉ユニットは〇印のリングで押さえて固定されていますので、×印部分を緩めても空回りする可能性が高いです)
D: レンズ後群のレンズを清掃します。
レンズの向きだけは気をつけて下さい。
⑤レンズ後群(前)の清掃と絞り点検
A: レンズ後群(前)を外しますが、ここが固くて緩まない時は青矢印の奥辺りにエタノールを流し込み、一服してから緩めます。
外したレンズを清掃します。
B: 絞り羽根が軽く動くか、油が付着していないか点検します。
もしダメなら鏡筒を分解し、絞りユニットを取り出して清掃する必要があります。
後は逆の手順で組み立てて完成となります。
C: 完成後の点検
ズームとフォーカスリングを動かして引っ掛かりや重くならないか点検します。
絞りリング&絞りピンも動かして絞りが正常に動くか確認します。
更にカメラに取り付けて無限遠が出ているか確認すればOKです。
実はこのレンズ、どこで無限遠調整をするのか分からなかったんですよね^^;
2022年1月にもう一度全分解をしてみましたが、分かりませんでした。
あとこうしたカビレンズは防カビ剤と一緒に保管しないとまたカビが生えてくる事が分かりました。
本当は全分解して全部油を落とし、全てのパーツを超音波洗浄でもしないとカビの胞子は完全に無くならないと思います。
でもカビは新品のレンズでも生えるから、関係ないのかもしれません。
ハクバやフジカラーの防カビ剤を買っておきましょう!
☆2021/10/20追記「バックフォーカス調整方法」
これは無限遠調整が分からなかったので、ひょっとしたらここかなと思って分解してみたものです。
ここは無限遠調整かもしれませんが、基本的にBF調整なので動かさない方が無難だと思います(スミマセン)
でもこのレンズはズームなのに後群が固定なので、ひょっとしたら無限遠調整なのかもです^^;
鏡筒に隠れているBF調整のリングは、カメラにレンズを付けた状態で調整できるようになっていますが、このBF調整リングは工場出荷状態では接着剤で固定されている為、まず分解して接着剤を取り除く必要があります。
(めんどくさい方はいきなり次の画像のBへ飛んで接着剤を削って回してもイケるかもしれません)
A: マウントを外します。
B: 絞りリングを外しますが、クリックボールを無くさないように気をつけてください。(ここは板バネですのでスプリングは入っていません)
C: 絞り連動リングの連動ピン2本を外します。
D: 絞り連動リングの組み立て位置を確認してから絞り連動リングを外します。
B: 指標部分の鏡筒を前方にスライドするとBF調整のリングが現れます。
ここで本体鏡筒部、BF調整リング、マウント部に位置マーキングをしておきます。
C: 直進キーのネジ2個を取り外します。
D: まずは千枚通しなどで隙間に充填されている接着剤を取り除きます。
次に絞り連動機構バーのバネを外しておきます。
そしてBF調整リングを締めこんで本体側に何回転で止まるかメモをし、今度はマウント部(逆ネジ)を締めこんで調整リングに何回転で止まるかメモをしたら、分解して接着剤を完全に取り除きます。
元通りに組み立てたら(指標部分は外したままで)カメラに取り付け、テレ端&広角端で無限遠が出るようにBF調整リングを回して調整します。
そして柔らかめの接着剤でBF調整リングを固定すれば完了です。
⑥ペンタックス「smc PENTAX-M ZOOM 75-150mm F4」の作例
使用カメラはAPS-Cの「PENTAX K-x」です。 100mm F4.0
⑦川沿いの歩道
75mm F7.1
左の景色に傾きを合わせたら、思いっきり傾いてました(笑)
でも自分って右肩下がりになり易いんですよね^^;
⑧風景(望遠端150mm)
⑨風景(広角端75mm)
⑩古いバスの廃車
⑪ジニア
150mm F5.6
⑫隠れているぬこさん
100mm F5.6
⑬セセリチョウ
150mm F8.0
⑭ススキ
⑮公園の水飲み場
100mm F5.6
⑯物撮り(化け猫スケールフィギュア)75mm開放
⑰物撮り(化け猫スケールフィギュア)150mm F5.6
150mm F5.6
望遠端はやや画質が落ちるので、1段絞るといい感じになります。
無理をしていない2倍ズームなので画質はいい感じですね^^
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【ペンタックス「smc PENTAX-M ZOOM 75-150mm F4」分解・清掃】でした!
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