ペンタックス「SMC PENTAX FA 28-70mm F4 AL」分解・清掃

SMC PENTAX FA 28-70mm F4 ALペンタックス

◎とあるリサイクルショップのジャンク棚をふと見ると、ペンタックスの標準ズームレンズ「SMC PENTAX FA 28-70mm F4 AL」が置いてありました。
このレンズで良くある中玉の曇りかなぁ?、と思って中を見ようとしたら絞りが動かず…
でも安かったので、中玉を良く確認もせずに買ってきてしまいました。
(2023/03/30更新 後期のレンズはヘリコイド部の設計が変更されている可能性があります)

1995年発売ー2000年生産終了  Z&MZシリーズの標準ズームとして発売。
レンズ構成:7群9枚 絞り羽枚数:8枚 フィルター径:52mm      最短撮影距離:0.4m
重量:240g   金属製Kマウント フルフレーム35mm

その後もいろんなリサイクルショップを覗いてみたのですが、この「SMC PENTAX FA 28-70mm F4 AL」で中玉が曇っていないものはありませんでした。
真っ白な物から薄曇りまで症状はそれぞれでしたが、向こうが見えない物は手を出さない方が無難だと思います。
今までの経験で曇ったレンズを酸化セリウムで研磨した場合、一時的には綺麗になりますが、また時間が経つと曇ってくる確率が割と高いです。
理由はこちらの記事に書いてます。

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①まずは簡単な中玉レンズの曇りチェック&清掃

中玉曇りチェックA:マウントに付いているフレアカッターを外し、後玉をカニ目レンチか吸盤オープナーを使い、反時計回りに回して外します。

B:するとすぐにクモリ易い中玉が見えますので、「フジクリーニングリキッド」か「エタノール」で清掃してみます。
それで中玉が綺麗になればラッキーですが、ダメなら外して研磨する必要があります。(研磨は製造誤差以内に収める必要があります)
因みにここは貼り合わせレンズになっているので、バルサム切れかどうかを見極める必要もあります。

因みにこのレンズは薄っすらと汚れているだけでした^^;

 

②それでは本体を分解・清掃していきます

28-70f4分解・清掃A:電子接点を紛失しない様、慎重にマウントを外します。
(フレアカッターは外さなくてもOK)

B:外した接点の数とバネが付いているかを確認したら、箱か袋に入れて保存します。

C:絞りリングを外す時はクリックボールが飛び出す事がありますので、袋の中で慎重に外し、ボールを100均のミニ袋に入れて保存しておきます。

D:絞りリングはクリックボールだけでなく、オート解除ボタンもポロッと外れますので注意して保存します。
因みにオート解除ボタンは取付方向があるので確認しておいてください。

 

③前玉、鏡筒の分解

前玉・鏡筒の分解A:フォーカシングゴムを外します。
ヘリコイドストッパーを外し、丸印の部分の位置まで時計方向に回すと前群ユニットが外れますので、外れる瞬間の位置をそれぞれマーキングしておきます。
(前群ユニットの外れる位置、フォーカスリングの外れる位置)
この時にフォーカスリングも一緒に外れてしまいますが、外してしまった時はフォーカスリングを絶対に戻さないで下さい!
中の電子接点がぐちゃぐちゃになる可能性があります!
申し訳ありません、こうした理由からAの作業をやる前にDの作業を先に行って下さい(汗)

そして前玉レンズを清掃しますが、中までカビが生えている場合は前から分解する必要があります。(前群は2枚構成)

B:4本のネジを外し、マウントベースを外します。

C:ズームリングを外しますが、ズームリンクとの位置関係をチェックしておきます。

D:なるべく細い精密ドライバーを使ってシリアルナンバーの書いてあるカバーを外し、中の電子接点を外します。
因みにカバーは両面テープで固定してあるだけです。

 

④ズームユニットの取り外し

ズームユニット外しA:必ず電子接点を外してからフォーカスリングを外します。

B:ズーム位置検出用の電子接点を外します。

C:ズームリング用のリンクを外します。

D:矢印部分のネジ4本を外し、ズームユニットを引き出しますが、鏡筒外枠とズームユニットの間にはスペーサーが入っていますので、位置と場所をしっかり把握しておきます。

 

⑤ズームユニットの分解

ズームユニットの分解A:ネジ3本を外し、遮光版を外します。

B:スライダー3個を外しますが、外す前に入っている状態をチェックするか、写真を撮っておいてください。
(スライダーには表裏があります)
そして中郡ユニットを取り外します。

C:組む時のピンの位置関係。

D:中玉(前)を取り外し、レンズを清掃します。

 

⑥絞りの分解・清掃

絞りの分解・清掃黄色丸のネジとスペーサーを取り外し、絞り部分を分解します。
そして中玉が曇っている場合、ようやくここで曇った中玉を取り出す事が可能になります^^;
今回は曇っていなかった為にレンズの清掃だけで済みました。

絞り羽根をエタノールで洗浄し、組み立てます。
自分は中央の可動部に絞り羽根を組み、左の固定側(注意点⑦のA参照)被せて本体に組み込み、そして右端のカバーを取り付けました。
絞り羽根の組み立てのコツはとにかく精神集中です!!(汗)

後は逆の手順でレンズを組み立てていきます。

 

⑦組み立ての注意など

組み立ての注意点A:絞りを組んだら①と②の位置を合わせてカバーを組みます。
注意: ①の位置が合うように絞りの固定側を組む必要があります。

B:白いスペーサーを入れ、ネジをそれぞれ取り付けます。
黒い3本のネジは絞りの開き具合を調整するネジになっていますので、組む時はネジで凹んでいる部分痕(凹み痕)に合わせてねじ込めばOKです。
もしAEで露出オーバー&アンダーになる場合はここで調整する必要がありますが、まず大丈夫だと思います。
組んだら絞りがスムーズに動くかチェックします。

C:中玉ユニットの細いピンがこの下の溝に入っているか確認し、スライダー3個を向きに気を付けて組み立てます。

D:割と大変なマウントの組み立て。
ここのピンはマウントを組む時に、隙間から爪楊枝などで調整しながら入れるしかありません^^;

お疲れさまでした!

 

☆ヘリコイド組み込みの補足です
まずズームリングを28mmにセットして下さい。
A: フォーカスリングに付いている溝を鏡筒の溝に入れ、ちょっとだけ動かして抜けないか確認します。
B: フォーカスリングをこの位置にセットして下さい。 (ここが大事です)

C: これは参考画像で、入る溝とダボは3ヶ所と決まっていて、どの位置から組み込んでも問題ありません。
D: 前群ユニットのダボを溝の間にセットします。

A: 上記の状態から前群ユニットを軽く押しながらフォーカスリングを反時計回りに回して前群ユニットを組み込みます。
(入らない場合は位置を微動させて下さい)
B: そしてフォーカスリングをヘリコイドストッパーが入る位置まで回してヘリコイドストッパーを組み込めば完成です。

C: ズームリングが28mm、フォーカスリングが最短撮影距離位置の前群ユニットのダボ位置がここなら正しく組めた事になります。
もしこの状態になっていない時は指標線からマウントの赤印が一直線に組めているか確認して下さい。
もしずれているとヘリコイドの位置が合わなくなる可能性が高いです。

 

⑧「SMC PENTAX FA 28-70mm F4 AL」の作例

ペンタックスK-x今回はカメラに「ペンタックスK-x」を使用しました。
因みにこれもつい最近「電源入らず」ジャンクで手に入れたのですが、電源スイッチをカチャカチャやってたら動いてしまいました…

⑨桜

桜

70mm  f4.0開放 ISO200

⑩湘南平テレビ塔

湘南平テレビ塔

28mm  f8.0  1/400

⑪湘南平から見た伊勢原方面

伊勢原方面の景色

28mm  f9.0  1/160

⑫シャガ

シャガ

58mm  f6.3  1/400

⑬子供の森キャンプ場(休止中)

子供の森キャンプ場

70mm  f8.0  1/50

⑭子供の森キャンプ場B

子供の森キャンプ場B

70mm  f8.0  1/50

⑮からあげ

からあげ

45mm  f8.0  1/250

今回はAPS-C機で使いましたので35mm換算「42-105mm」となりますが、ズーム全域でカリカリでは無いものの、シャープに写り、発色は程好い印象でした。
APS-C機なので隅の画質は分かりませんが、ボケは標準ズームらしいと思います。
あとこのレンズの前玉は少数派のフラット形状なのも特徴的です。

 

 

☆レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、落ち着いて慎重に行って下さい。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為に間違っている事も多いと思いますので、参考程度にして下さると嬉しいです。
あとレンズの分解・清掃は必ず自己責任でお願い致します(汗)
以上、【ペンタックス「SMC PENTAX FA 28-70mm F4 AL」分解・清掃】でした!

 

コメント

  1. アキヤマ ミツル より:

    YOSSY様

    貴重な情報の掲載ありがとうございます。
    お願いがあってコメント欄使わせていただきます。
    前群ユニットはどうしたら組み込めるのでしょうか?

    随分前に入手したこのレンズ(SMC PENTAX FA 28-70mm F4 AL)の分解にチャレンジし、掲載いただいた手順で分解し組み直したのですが、前玉ユニットが固定できません(ロックできない)。3日あれこれいじっているのですが、どうしても抜けてしまいます。
    分解始めた時に、フォーカスリングゴム下のヘリコイドストッパーを外した時に、前群ユニットがいきなりスポッと抜けてしまい、抜けた位置関係も分からないままです。

    ズームリングを28㎜にしたり70㎜にしたり、ヘリコイドリングを∞にしたり、近距離にしたりしながら組み込んだりしていますが、全く処置なし状態です。
    おそらく、どこかの位置でコクっと抜け止めされるのではないかと思うのですが、今は、フォーカスリングの中で自由に遊んでいる状況です。

    どうしたら組み込みできるのでしょうか。
    教えていただきたく。よろしくお願いいたします。

    余談ですが、いじくり回しているうちに後玉に指紋を付けてしまい、洗剤で洗ったら、レンズが曇ってしまいました。この玉は一枚かと思いましたが、2枚セットになっているようで、レンズの間に洗剤が入ってしまったようです。水につけたりしていますが、雲ったままです。
    いろいろ起きるものです。

  2. アキヤマ再 より:

    追加掲載ありがとうございます。大変助かります。
    気が付くのが遅くなり失礼しました。

    解説に従い組んでみたのですが、やはり”前群レンズユニットがヘリコイドに組み込み”できません。良く比べてみると、私の前群レンズユニットは、ズーム機構とつながるアーチ形のパーツが一体となっています(追加解説画像一枚目のCと違う)。ここが画像と違うようですが、この部分は解体できず、また組み込みには直接関係しないと思って、次の手順であるDに進んでみたのですが、追加解説画像二枚目のAができません。

    ⇒”A: 上記の状態から前群ユニットを軽く押しながらフォーカスリングを反時計回りに回して前群ユニットを組み込みます。”
    この操作ができません。
    レンズユニットを左右、前後に微動させても効果なしです。
    本来は、ここで軽くロックがきくのでしょうが、反応なしで、ユルユルのままです。
    分解後の前群ユニットの形状が違うようですが、これが原因でしょうか。

    このレンズは半分あきらめていますが、何か見落とししていることがあればアドバイスいただければありがたく。

    適当なジャンク品が手に入ったら、構造を確認しながら再度やってみようと思っています。

    • ayumu3 より:

      そうでしたか
      たまに年式によって仕組みが異なるレンズがあるのも事実です。
      自分のレンズの製造番号は4030490 Made in japanですが、前4桁が違う場合は仕様変更されている可能性があります。

      たまにフォーカスリングゴムで前群ユニットが止まるよう(落ちない様に)に設計されているレンズもありますが、ひょっとしたらアキヤマさんのレンズもその設計があり得るかもしれません。
      また自分もジャンクやネット上の情報を探して比較検討してみようと思いますので、分かったら訂正してみます。

  3. アキヤマ再 より:

    コメントありがとうございます。
    私のレンズ製造番号は、4081136 mada in japanです。仕様が違うのかもしれませんね。
    ストッパーを外した時に、すぽっと抜けたので、もしかして—と思い、フォーカスリングに差し込んで、ロックしないままゴムをセットし組み立ててみたのですが、効果無しでした。リングが抜け止めにはなりますが、下に向けると落ちてきてしまいます。
    戻せないのが悔しいので、適当な別の玉で検証したいと思います。
    製造番号のこと、参考になりました。

    お手数おかけしました。
    今後も、YossyHeim参考にさせていただきます。よろしくお願いいたします。

  4. アキヤマ再 より:

    お手数おかけしましたが、この件解決しましたのでコメントいたします。

    結論としては、私の前玉が異常な状態で外れたためでした。
    本来は、こちらの記事のように前玉だけが外れるべきところ、前述のように、私の玉は前玉にアーチ型の部品がくっついて(まさに張り付いたように)外れ、それが何としても分離できないため、そのままでは組み込みできない状況だったわけです。

    今般、別の玉(4353065)を入手し慎重に分解してみたところ、記事のように前玉だけ抜け、アーチ状のパーツは鏡胴内に残っていました。分解を進めてゆくと、このパーツは3点の抜け止め機構により前玉と一緒に抜けるようなこは無いことが分かりましたが、それが抜けていたわけです。
    更にこのパーツは外れた前玉とは逆ネジ方向で食いついていたため、いくら反時計回ししても、たたいても外れなかった、という落ちでした。
    ヘリコイドにはよくあることなのかもしれませんが、全く気が付きませんでした。
    「逆ネジ」良い勉強になりました。

    ということで、時間はかかりましたが、スッキリしました。
    ご報告とさせていただきます。
    今後も、役に立つ楽しい記事を楽しみにしております。

    • ayumu3 より:

      アキヤマ再さんご多忙の中、わざわざ報告頂いてありがとうございます!!

      そうだったんですか^^;
      確かに逆ネジだとなかなか気付かない事って多いですよね~~
      自分もたまにやらかすので、こればかりは経験しないと分からない事だと思いました。

      実はちょっと前にこのレンズをもう1本買いまして、また暇な時に検証しようと思っていたところでした^^;
      でもカビがあるので分解清掃はしますが

      アキヤマ再さんも良いカメラライフをお楽しみ下さい♪

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