リコー最後のゼンマイカメラ「RICOH A-2」分解・清掃

リコーA-2 ペンタックス

◎今回はリコー最後のスプリングモーター巻き上げ方式である「RICOH A-2」を分解・清掃してみました。

これが発売された1980年にはすでに「ジャスピンコニカ」や「キャノン・オートボーイ」みたいなAF&全自動カメラが発売されており、もう目測のゾーンフォーカスやゼンマイによる自動巻き上げは時代遅れとなって、あまり売れなかったみたいですね^^;
実際、中古でもあまり見かける事はありません。

でも何といってもゼンマイによる巻き上げは個性的で面白いですし、このカメラは前面の丸い切替スイッチで連写もできるんです。
連写してるとだんだん遅くなるのもゼンマイならではです。(笑)

1980年3月発売(1979年7月にデートプリント機能付きのAD-1が先行発売)
当時の価格は¥25.800 レンズ:「COLOR RIKENON 35mm/F2.8  3群4枚構成」
ゾーンフォーカス式  採光式フレームファインダー プログラムEEカメラ
シャッター速度1/30-1/250    セルフタイマー付 電池:LR-44 x2個  質量350g

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①それでは「RICOH A-2」を分解・清掃していきます

リコーA-2分解・清掃A:まず軍艦部を開ける為に単写/連写切り替えスイッチを外します。
貼ってある上下矢印のシールを剥がすと「カニ目レンチ」を入れる穴がありますので、道具を使って反時計回りに回して外します。
アルミ製のシールを傷付けずに外すのは難しいですが、ドライヤーで温めながら針で隙間を広げて外すしかなさそうです^^;
そして外装を剥がして隠しネジを外し、残りの軍艦部周りのネジも外して軍艦部を外します。

B:軍艦部を外すとシャッターボタンも外れますので注意してください。
このカメラの場合、ファインダーのガラスが外れていましたので接着し直しました。

C:ファインダーユニットを外します。
機械的&電気的繋がりはありませんので、そのまま外すだけでいいです。

D:ファインダーを掃除しますが、接眼部に近い斜めのハーフミラーだけはエタノールは絶対に使わずに、隅から「FUJIFILM レンズクリーニングリキッド」を使い、コーティングが剥がれないのを確認してから全面を清掃します。

底部の剥がれたセロハンテープは新品に交換しておきました。

 

②電子接点&レンズの清掃

リコーA2レンズ清掃A:接点などに接点復活剤「ナノカーボン」などを塗布しておきます。
配線が劣化していないかもチェックしておきます。

B:銘板&ASA設定板を押さえている大きなリングナットを外してから、銘板&ASA設定板を外し、3つのネジを外してフォーカスリングも外します。
この時にフォーカスリングが駆動しているレンズと、カメラに距離を伝えるピンの位置を確認しておきます。

C:前玉を外しますが、外れるまでの角度と外れる位置(これが一番重要)をマーキングしておきます。
写真の丸印のイモネジx3個が無限遠調整になりますが、狂っていない限り調整する必要はありません。

D:外したレンズと中玉(前)を清掃します。

 

 

③レンズ中玉と後玉の清掃

リコーA2レンズ清掃A:まずはフィルム室から「カニ目レンチ」を使って後玉を外して清掃します。
組む時はレンズの向きを間違えない様にしてください。

B:中玉(後ろ)の清掃はちょっとテクが必要です。
丸印のピンがシャッター開度レバーになっていますので、ここに何かを挟めばシャッターが開いて中玉(後ろ)を清掃する事が可能です。

C:何と綿棒の棒がジャストサイズでしたので、綿棒の棒を切って挟む事にしました。

D:フィルム室から中玉(後ろ)を清掃します。

そして組み立てればレンズ清掃は完了になりますが、次の④のAに組み立ての注意点を載せてます。

 

④底部カバーの取り外し

リコーA2底部カバーA:レンズの銘板&ASA設定板を組む時は連動レバーを合わせるのをを忘れないで下さい。(入ってないと組めないと思いますが…)

B:スプリングモーター巻き上げダイヤルに貼ってある注意書きのアルミシールを剥がします。
これがまた傷付けずに外すのが非常に困難です。
ドライヤーで温めながら、針やカッターの刃で持ち上げ、細いドライバーなどで剥がしていくしかありません^^;

C:ここからは写真を撮りながら分解する事を強く勧めます!
シャッターボタンを何度も押して、ゼンマイの巻き上げ力が残っていない状態にしておきます。
そして白いプラスチックカバーを外します。

D:まず黒いダイヤルを外しますが、奥にある大きなスプリングが引っ掛かている状態とスプリングの向きをチェックしておきます。
そして金属メカ部分を外しますが、ゆっくり慎重に部品の位置関係の写真を撮りながら外していきます。
この時に中の三つ又プラパーツは外れるかもしれません。

 

⑤底部メカのチェックとゼンマイ巻き上げ部のパーツ

リコーA2底部メカA:そして巻き戻しノブを外しますが、通常のやり方では外れません。
通常は巻き戻しクランク軸を固定してレバーを外しますが、これは1を固定して2のネジを外して脱着します。
2のネジに付いてるラチェットの部品を無くさない様に気をつけてください。

B:ゼンマイ部の「三つ又プラパーツ」は位置と裏表が決まっています。
凸の無い部分がギヤ位置、あと2つの凸の表裏はカメラ側になります。
底部のカバーを開ける前に、ゼンマイユニットに巻き付けてある大きなスプリングも向きがあるので確認しながら外します。(突起が手前側)

C:外したパーツに破損がないかチェックしておきます。

D:メカの動きをチェックし、動きが渋い場合はミシン油を給油しておきます。
(ごく微量でOKです)

 

⑥ゼンマイ巻き上げ部の組み立てなど

リコーA2ゼンマイA:まず底部カバーの凹に大きなバネの終端突起を入れます。

B:次にクランク軸のラチェットバネを画像の位置に引っ掛けないとカバーが付かないので気をつけてください。
そしてカバーを取り付け、巻き戻しクランクを組み立てます。
あとゼンマイ部分の大きなスプリングも突起を手前にして組付けておきます。

C:「三つ又プラパーツ」の凸の無い部分は必ずこの位置にして組付けます。
(ゼンマイ巻き上げ量の表示がズレていたら丸いプラ部分で調整するのだと思います)

D:ゼンマイの巻き上げダイヤルを組む時はまず大きなスプリングの突起を穴に入れ、そのまま倒して嵌め込みます。

この仕組みを見て思ったのですが、割と脆弱な造り&プラスチックも劣化しているのでゼンマイの巻き上げは70%くらいにしておいた方が無難だと思いました^^;
調子こいてゼンマイ全力巻き上げはおススメできません^^;

 

⑦組み立てファイナル&ゼンマイ巻き上げチェック

リコーA2巻き上げチェックA:ダイヤルがリワインドポジションのカムを噛んでないかチェックします。
そして右の白いプラカバーを3個のネジで固定します。

B:巻き上げ量インジケーターのチェックと最大巻き上げで10枚くらいシャッターが切れるかチェックします。
どうやらフィルムを入れていると15枚くらいはゼンマイが動くみたいです。

 

⑧「RICOH A-2」修理完了

リコーA-2修理完了リコー最後のスプリングモーターカメラ…
時代は全自動化へ突き進み、写真を撮る事がお気軽な時代へと舵を切った時でもありました。

リコーA2電池ボックス電池を入れたらcdsも生きててちゃんと動作しました。
思わずゼンマイを巻き上げて連写音を楽しんでしまいます(笑)

 

リコースプリングモーターシリーズリコースプリングモーターシリーズ。
リコーオートショット/ハイカラーが無いのはアレですが(汗)
スーパーショットがWikiに載ってないのはやはり故障が多かったせいかと勝手に思ってます。
しかしオートハーフって模様付きが人気ですね^^;

作例はいつかフィルムを入れて撮影できたら載せたいと思います☆

 

 

◎カメラの分解・清掃はリスクが伴いますので、落ち着いて慎重に行って下さい。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、参考程度にして下さると嬉しいです。
あとカメラの分解・清掃は必ず自己責任でお願い致します(汗)
以上、【リコー最後のゼンマイカメラ「RICOH A-2」分解・清掃】でした!

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