◎今回はコズミカ製の「MC COSMICAR ZOOM 28-80mm F3.5-4.5」を分解・清掃し、ペンタックスK-xでの作例を載せてみました。
このレンズはリサイクルショップのジャンクボックスの中にボロボロの状態で転がっていたもので、レンズにはカビ、ズームリングは激重、フォーカスリングは前後に5mmほどカタカタ動いてしまうという最悪の状態でした(汗)
あとペンタックスの子会社であるコズミカの「MC COSMICAR ZOOM 28-80mm F3.5-4.5」は多数の名前で販売されていて、主だった物は「PENTAX-A ZOOM 28-80mmF3.5-4.5」ですが、すでにAF時代だったのでほとんど売れなかったみたいです^^;
その他は「TAKUMAR BAYONET-A ZOOM 28-80mmF3.5-4.5(後期はTAKUMAR-A ZOOM 28-80mmF3.5-4.5)」、「CPC PHASE2 CCT 28-80mmF3.5-4.5」などがあるみたいです。
1989年発売?~1994年生産終了? 当時の価格は¥25.000?
レンズ構成: 8群8枚 2群ズーム 最小絞り: f22 絞り羽根枚数: 8枚
最短撮影距離: 全域1.0m(テレマクロモードにておおよそ0.4m)
ズーム形式: 回転式 フィルター径: 58mm 重さ: 456g
マウント: ペンタックスKマウント
(アイキャッチのレンズ構成図は自分で描いたものなので、厳密ではありません)
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①状態と前群レンズの取り外し
A: 買った時はこんな状態で、おそらく操作系が重くなってグリップゴムが滑り始めた為に、前オーナーさんがこうしたのだと思いました。
ズームリングが重くなったら全分解してグリスアップするしかありませんが、フォーカスリングが前後に5mmほどガタガタするのは修理できるか不安でした^^;
(ガタガタの理由は下記にて)
B: フォーカスリングゴムを外し、中に巻いてあるテープを剥がして銘板を取り外します。
C: フォーカスリングを固定しているネジ3個を外し、フォーカスリングを引き抜きます。(組み立てる時は指標を参考)
D: 前群レンズを反時計回りに回して外します。
(前群レンズはここまでやらないとフォーカスリングに引っ掛かって外れません)
②前群の清掃とマウントの取り外し
A: 外した前群を分解して各レンズを清掃しますが、スペーサーとレンズの向きには注意して下さい。(レンズの向きはアイキャッチの構成図を参照して下さい)
B: マウントを外しますが、レンズの清掃のみでしたら遮光パーツを3個のネジを外して引き抜き、後群レンズを反時計回りに回して外して各レンズを清掃して下さい。(画像④Cを参照して下さい)
レンズの清掃のみでしたらこれで完了です。
C: マウントを外したら丸印の構成を良く確認して下さい。
特に電子接点部は組む時に難儀します💦
D: クリックボールと接点を紛失しないよう、レンズを袋の中に入れて絞りリングを外します。
絞りリングを外したら、しっかり電子接点の構成を確認し、クリックボールも回収しておきます。
③絞り制御部の分解
A: 絞りリングを外したら、これらの部品も外しておきます。
丸印の電気接点は更に3個の部品で構成されており、バラバラになりますので構成を良く観察しておいて下さい。
電気接点を組む時はグリスなどで固定してから組むと少しは楽になります。
B: 絞り制御部を外します。
C: 絞り制御部はすぐに引き抜かず、レバーが入っている場所を確認してから外します。
D: 絞り制御部はズーム機構(回転方向)の固定も兼ねていますので、組み立てる時は溝を合わせる必要があります。
④後群レンズ清掃
B: 後群レンズユニットを反時計回りに回して外します。
C: 後群レンズユニットを分解して各レンズを清掃しますが、レンズの向きだけは間違えないようにします。
D: ヘリコイドストップリングを取り外しますが、無限遠位置でのマーキング(回転方向と高さ)を必ずしておきます。
⑤フォーカスリング周辺の分解
B: ヘリコイドをまず無限遠位置でマーキングし、そこから締めこんで止まる回転数をメモし、そこから慎重にゆっくり回して外れる瞬間の位置をマーキングします。
C: 指標線のある中間リングを固定している3個のネジを外します。
D: 中間リングを引き抜きます。
組む時はマウントの指標線に合わせます。
⑥ズームリング、マウントベースの取り外し
A: フォーカスリングを固定しているこのネジが厄介者でして…
これを緩めるともう一段下にあるナット兼ネジ(画像⑦A参照)まで緩んでしまう事があるんですよね^^;
そうなってしまうと外れません…(このレンズはネジが錆びていたのもあります)
でもそのまま「ねじ緩め剤」を浸透させ、頑張って回せば外す事ができました。
因みにこのネジはズームリングの穴にに引っ掛けてあるだけで、完全固定はしていません。
B: ネジを外したらズームリングを引き抜きます。
C: BF(バックフォーカス)調整ネジ位置をマーキングし、マウントベースを固定しているネジを取り外します。
D: マウントベースを引き抜きます。
⑦ズームユニットの分解
A: ズーム駆動ネジを外しますが、ここを組み立てる時はできればネジ止め剤を使う事をお勧めします。
B: BF調整リングの位置マーキング(回転方向と縦位置)をしてから取り外します。
C: こちらも位置マーキングをしてカラーリングを取り外します。
D: フォーカスリングがガタガタだった理由はここのコロが脱落していたからでした…
このレンズはコロを回転させるのではなく固定する方法をとっている為に、使用時間が長いレンズはグリスが枯渇してコロへの負荷が大きくなって脱落するのだと思います。(しかもズームリングが重くなります💦)
注意点としてはコロのネジを締め付け過ぎるとコロが割れるので注意して下さい。
あと必ずズームユニットの各パーツは位置関係をマーキングするか、写真を沢山撮っておきます。
⑧ズームユニットの分解と組み立て
A: コロは大きさが場所によって違いますので注意して下さい。
外したコロは奇麗にしてグリスアップしておきます。
B: 分解したズームユニットをエタノールなどで奇麗にします。
C: 絞りユニットを点検し、油が滲んでいたり、動きが渋い時は分解清掃します。
D: ズームユニットを組み立てる時は綿棒などで薄く柔らかめのグリスを塗りながら組み立てます。
後は逆の手順で組み立てれば完成です。
これでズームリングの動きは頗る快調になりました^^
⑨「MC COSMICAR ZOOM 28-80mm F3.5-4.5」の作例
使用カメラは「ペンタックスK-x」で、APS-Cでの評価になります。
因みにこのレンズは前玉2枚のコーティングがとても痛んでいたので、若干コントラストを上げています^^;
あとズーム距離と絞り値は分かる画像のみ書いてます。
⑩エノコログサ
⑪橋から水面を望む
⑫川沿いの道
28mm f8.0
正直このレンズの広角端は一眼レフではピントが合わせにくいです^^;
どこにピントの山があるか分かりにくいので、ミラーレスのピーキング機能がやっぱり便利なんでしょうね^^;
⑬木の葉
⑭工事現場
区画整理でどんどん変わっていきます。
道路は走り易くなりますが、昔の面影は無くなってしまいました。
⑮川景色
⑯柵
⑰川岸
⑱蜘蛛の巣
80mm f4.5(テレマクロモード) 最短撮影距離0.4m
⑲ブツ撮り (マックスファクトリー あずにゃん)
標準レンズなので尖がった性能ではありませんが、このレンズの大きさとデザインはなかなか所有欲を満たしてくれるものなのかもしれません。
レンズの前玉2枚のコーティングの状態が良ければもうちょっと奇麗に写るのでしょうけど…^^; 残念!
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【「MC COSMICAR ZOOM 28-80mm F3.5-4.5」分解・清掃・作例】でした!
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