ニコン「IX Nikkor 60-180mm F4.5-5.6」分解・清掃・作例

IX Nikkor 60-180mmアイキャッチ ニコン

◎ニコンのジャンクレンズでいくら安くてもスルーし続けていたレンズがありました。
それはニコンのAPSフィルムカメラPRONEAシリーズ用の交換レンズ「IX Nikkor」です^^;
何が問題なのかと言うと、知っている人も多いと思いますが、「IX Nikkor」はマウント後端が突き出ていて普通のFマウントの一眼レフカメラだとミラーが干渉して使えないんですよね…
もちろんマウント後端を削り落とし、後玉がマウントから伸びない様にストッパーを付けて焦点距離を犠牲にすればFマウントの一眼レフで使えない事もありません。
でも現在はミラーレスカメラでマウントアダプターを介せばマニュアル操作で使えるようになりました。
今回は「IX Nikkor 60-180mm F4.5-5.6」を分解・清掃し、ミラーレスカメラ「ニコン1 V1」での作例を載せてみました。

SPEC: 1998年9月にプロネアSと一緒に発売、2001年8月生産終了
当時の価格は税別¥28.000 レンズ構成: 7群10枚 回転式ズーム
絞り羽根枚数: 7枚 最小絞り: f32 最大撮影倍率: 1/5.5 重さ: 220g
外寸: 62.5×69.5mm フィルター径: 46mm  フード: HB-16(別売り)
最短撮影距離: 1.2m

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①まずレンズ後群から分解清掃していきます

IX Nikkor 60-180mmレンズ後群清掃A: 後玉を反時計回りに回して外しますが、ここにはスペーサーが入っているので注意します。
B: 外したレンズを清掃します。
因みにレンズはプラスチック枠にハメゴロシの為、もし内部にカビがある場合は諦める必要があります^^;
(それでも固定枠を削ってレンズを取り出す荒業もありますが…)

C: 後群レンズ2枚目を反時計回りに回して外します。

D: 外したレンズを清掃します。

②前群レンズの分解清掃

IX Nikkor 60-180mm前群レンズ清掃A: 前群レンズを吸盤オープナーなどで反時計回り回して外します。
ここにもスペーサーが入っていますので注意が必要です。

B: 外した前群レンズを清掃しますが、ここもレンズがプラスチック枠にハメゴロシの為に、もし内部にカビがある場合は諦める必要があります^^;
もちろんやる気があれば固定枠を削ってレンズを取り出して清掃できない事もありません^^;

C: ここからはズームユニットを分解しないと内部は清掃できません。

D: ズームリングのゴムの中には何も無いので取り外す必要はありませんでした(汗)

③ここからはズーム鏡筒の分解になります(マウント外し)

IX Nikkor 60-180mmマウント外しA: まず遮光パーツを固定しているネジ3個と電子接点を固定しているネジ2個を取り外します。

B: 遮光パーツを取り外し、電子接点をフリーにします。

C: 遮光パーツのネジはタッピングになっていますので、組み立てる際は注意が必要です。

D: マウントを取り外す際は絞り制御ピンの入っている位置を確認し、スペーサーの位置と向きも確認しておきます。

④電子接点と指標部の取り外し

IX Nikkor 60-180mm分解A: ズーム位置検出用の電子接点の位置マーキングをし、固定ネジを外して電子接点を取り外します。

B: この電子接点は簡単に変形してしまうので慎重に外して下さい。

C: ズームリングを180mm以上回転させてレンズ名が書いてあるリングを取り外し、リングが入るダボに組み合わせ用のマーキングをしておきます。
(組み立ては逆手順)

D: リングを取り外したら、ここで組み立てる練習もしておくと良いです。

⑤ストッパーパーツと電子接点の取り外し

IX Nikkor 60-180mmストッパーA: この小さなストッパーパーツ2個を取り外しますが、どちらも取り付け方向が決まってますので注意してください。
特にゴムは内側の段付き方向を確認しておく必要があります。

B: 注意点として、プラの方はリングを外した際に脱落する可能性がありますので紛失に注意して下さい!

C: ストッパーを外したらズームリングを60mm側にしてフォーカスリングを無限遠の位置にします。
フォーカスの電子接点の位置マーキングをしてネジを取り外します。

D: フォーカスリングを望遠端側に回して電子接点を取り外します。
(組み立ても同様です)
因みにこの電子接点が付いている部分をストッパーパーツが無い位置まで回すとズーム鏡筒にあるレールからフォーカスリングが外れる構造になっています。

⑥ズーム鏡筒の取り外し

IX Nikkor 60-180mmズーム鏡筒の取り外しA: フォーカスリングをストッパーのあった位置まで回したらフィルター枠の白点とズーム鏡筒に位置マーキングし、フォーカスリングを前方に引き抜き、(ここから慎重に!)更にゆっくり慎重に望遠端側に回してヘリコイドが外れる瞬間の位置(白点)をズーム鏡筒にマーキングしておきます。
(ここの組み立ては下記参照)
赤丸はズームリングがズームユニットを連動させるネジになります。

B: そしてズームユニットを引き出します。

C: ズームを動かして2郡目のレンズを固定しているネジが見える位置まで動かし、コロ&ネジ3組を取り外します。

D: 2群目のレンズとユニットの取り付け位置関係マーキングをしてからレンズを取り外し、レンズを清掃します。

⑦3群レンズ清掃

IX Nikkor 60-180mm3群レンズ清掃A: またズームを動かして3群を固定しているネジが見える位置まで動かします。
そして固定ネジ&コロ2組を取り外します。

B: 外した3群レンズを清掃します。

C: もし絞り羽根に油が滲んでいたら分解清掃します。

後は逆の手順で組み立てますが、ズームユニットをヘリコイドと組み合わせる手順だけ下記に記しておきます。

⑧ズームユニットとヘリコイドの組み合わせ

IX Nikkor 60-180mm組み立てA: まずズームを駆動するネジの頭をズームリングの凹部に入れます。

B: ヘリコイドを組む時はマーキングよりここの凸部を目印にすると良いです。

C: Bの凸部とフィルター枠に付いている白点を合わせ、ヘリコイドを入れてちょっとだけ反時計回りに回します。

D: 今度はフォーカスリングを軽く押しながら少しずつ反時計回りに回すと、おおよそ画像の位置(白点参照)でズームユニットのレールに入ると思います。

⑨ヘリコイド組付けの確認

IX Nikkor 60-180mm組付け確認A: ストッパー可動部がこのように出ていればユニットのレールに入っていますので、確認したら外れない様に3mmほど回して隙間を開けておきます。

B: 更にここでフォーカスリングを回して反対側のストッパーまで動く事を確認します。(画像は分かり易いようにズームリングが外してあります)
行かない場合は画像⑧のCに戻って、ヘリコイドの山を1個ずらして組んでみます。

C: ズームを60mmにし、フォーカスリングを無限遠にしてフィルター枠の突き出し量を確認します。
これならOKですが、出過ぎていたり引っ込み過ぎている場合はまた画像⑧のCに戻って、ヘリコイドの山を1個ずらして組んでみます。

お疲れ様でした。

⑩「IX Nikkor 60-180mm F4.5-5.6」の作例

IX Nikkor 60-180mm作例ミニ使用カメラは1インチセンサーのミラーレスカメラ「ニコン1 V1」で、このレンズはAPS用の為に画像の隅は評価できない事をご了承ください。
絞りは全てf6.3くらいで撮影し、焦点距離は忘れてしまったのでご想像にお任せします^^;

⑪道路

IX Nikkor 60-180mm作例道路60mm?

⑫ジムニー

IX Nikkor 60-180mm作例ジムニー180mm?

⑬テールランプ

IX Nikkor 60-180mm作例テールランプ180mm?
最近の車のストップランプはLEDが多く、夜間は眩しくて嫌になる時があります^^;

⑭チケット売り場

IX Nikkor 60-180mm作例チケット売り場100mm?

⑮渋滞

IX Nikkor 60-180mm作例渋滞180mm?

⑯知る人ぞ知る時計

IX Nikkor 60-180mm作例時計180mm

⑰ブツ撮り60mm

IX Nikkor 60-180mm作例プライズ最短撮影距離:が1.2mもあるので60mmだとこんな感じです。

⑱ブツ撮り180mm

IX Nikkor 60-180mm作例フィギュア

小さくてもなかなか良く写るレンズです。
マウント部を加工&焦点距離を犠牲にしてデジタル一眼レフで使うのも良し、絞り環付きのマウントアダプターを介してミラーレスカメラで使うのも良いと思います。
あとニコン1のマウントアダプター「FT1」も当然ですがマウント部を加工しないと付きませんでした(汗)

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【ニコン「IX Nikkor 60-180mm F4.5-5.6」分解・清掃・作例】でした!

 

 

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