◎愛用していたニコンのDXズームレンズ「AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-ED」がまず広角側でオートフォーカスが合いにくくなり、気にせずに使っていたら今度はVRから変な音が出始めて完全に沈黙しました。(汗)
このレンズってリサイクルショップのジャンクコーナーでAF不良などと書かれてたまに見かけるのですが、「きっとフレキシブルケーブルの断線なんだろうな」と思い、今回思い切って分解して原因を探求し、故障個所を修理してみました。
続きは本編をご覧ください^^;
発売日: 2005年12月発売 希望小売価格: \113,400(税抜 \105,000)
レンズ構成: 12群16枚(EDレンズ 2枚、非球面レンズ 3枚) 最小絞り: f22-36
絞り羽根枚数: 7枚(円形絞り) 画角: 76-8° 最短撮影距離: 0.5m(ズーム全域)
フィルター径: 72mm 外寸: 77×96.5mm 重さ: 560g
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
① マウント周辺の分解
A: まず丸い遮光パーツを固定している3個のネジを外し、電子接点のネジ2個も外します。
B: 遮光パーツを引き抜きます。
C: マウントを固定しているネジを外し、絞り連動ピンの入っている位置を確認しながらマウントを外します。
この時に入っているスペーサーも回収しておきます。
D: 切り替えスイッチの付いているリヤカバーを少し持ち上げ、基盤に繋がっているフレキシブルケーブルをコネクタの緑色のロックを引いて外します。
(やりにくい場合はカバーからスイッチ部分をスライドして外す事ができます)
②基盤の取り外しなど
A: 電子接点のフレキは外さなくても良いです。
丸印はAFモーターユニットの固定ネジです。
B: 黄色丸のカプラーはロックを引き抜くタイプで、青丸のカプラーのロックは上に持ち上げるタイプなので注意して下さい。
上部のフレキを外したらちょっとだけ基盤を持ち上げて、青丸の下にも隠れている手ブレ補正センサーのフレキを外し、黄色矢印のアース線も外します。
次にAFモーターユニットの固定ネジ2個を外し、AFモーターユニットを外します。
これでようやく基盤を外す事ができます。
C: フォーカスリングの向きを確認しながらフォーカスリングを引き抜きます。
D: 接点の取り付け位置をマーキングしたら固定ネジを外し、横の穴から接点を取り外します。
距離計筒を固定しているネジ3個を外します。
③距離計筒の取り外しと故障個所
A: こんな感じで電子接点はこの穴から取り出すと良かったと思います。
B: ズームリングゴムを外し、巻いてあるテープを剥がしてズームリングを分割します。(見えてるネジはズームリングストッパーの固定なので外さなくてOKです)
C: 距離計筒を引き抜きながら、ズームとフォーカスを駆動している溝を確認しておきます。
D: やはりAF不良&VR不良の原因はフレキシブルケーブルの断線でした…
④フレキシブルケーブル断線の理由と断線箇所の取り外し
A: フレキシブルケーブルが切れる理由はフレキシブルケーブルを固定している両面テープの材質が経年劣化と共にドロドロになって接着力が下がり、フレキシブルケーブルが徐々に浮き上がって、その上を通っている角の鋭利なフォーカス駆動レバーが通る時に千切ってしまうみたいです💦
まだ元気に動いているレンズをお持ちの方は出来ればチェックしておいた方がいいと思います^^; (画像⑧のAの対策をお勧めします)
おそらくこのレンズの2型は改良されていて大丈夫と思うのですが…
B: フレキシブルケーブルの断線箇所
フレキシブルケーブルを固定している両面テープ部をドライヤーで温めながら剥がしたところ、合計5本ほど配線が千切れていました💦
C: ズームユニットを繋いでいる3個のネジを外します。
ズームユニットを駆動している1個のネジ&コロも外しますが、黒いコロとスペーサーが入っているので注意してください。
D: 電子接点の位置マーキングをしたら、電子接点を取り外します。
⑤ズームユニットの分解
A: 電子接点を外したらゆっくりズームユニットを引き抜きます。
B: 外したネジのパーツチェック。
ズームユニットの駆動ネジは黒いコロとスペーサーが入っているのを確認します。
C: 手ブレ補正ユニットのコロを3個引き抜きますが、これには別ユニットの溝に入る向きがありますので組み立て時は注意してください。
D: 手ブレ補正ユニットの取り付け位置を確認しながら手ブレ補正ユニットを引き抜きます。
⑥フレキシブルケーブルの断線箇所の修理
A: まずフレキシブルケーブルをこれ以上傷めない様に両面テープの糊をエタノールなどで取り除きます。
B: フォーカス駆動レバーの参考画像
角が割と鋭利なので、フレキシブルケーブルに接触するとひとたまりもありません。
C: フレキシブルケーブルの表面の絶縁体を削りますが、線ごとの長さを長短でやると隣にハンダがブリッジするのを防げます。
D: フレキシブルケーブルにハンダの乗りを良くする為に作業毎にフラックスを塗布します。
⑦フレキシブルケーブルにジャンパ線をハンダ付
A: なるべく細いリード線の被覆を取ってほぐし、細い線を1本ずつ使用します。
B: フレキシブルケーブルには直接ハンダを盛らず、リード線にフラックスを塗布してハンダをちょっと盛ったら、フレキシブルケーブル上で溶かす感じでハンダ付をしていきます。
C: フレキシブルケーブルの修理ができました!!
このまま絶縁の為にエポキシでも盛ろうと思いましたが、再修理を考えてセロテープにしました^^;
D: テスターで導通チェックをして完成!
今回はフレキシブルケーブルの断線箇所が可動部でなかったのが幸いで、もし可動部でしたら修理は不可に近いです。
⑧組み立て
A: この部分の保護は最初ペットボトルを切って貼り付けようかと思いましたが、クリアランスが無く、AFが止まってしまう危険があるのでやめました。
いいアイデアが浮かばなかったので、結局セロテープで保護する事に^^;
B: 一応ズームを動かしてフォーカス駆動レバーがフレキシブルケーブルに当たらないか&スムーズに動くかチェックしておきます。
C: 組み立てる時にこのズームリングストッパーを逆に入れるとズームリングが途中で止まるので注意してください。(このパーツを外した場合に限ります)
D: 完成しました…
カメラに取り付けてAF&VRのチェックをしたらちゃんと動きました。
正直、今回の修理でフレキシブルケーブルのハンダ付けが一番神経をすり減らしました💦
できればもうやりたくないです(笑)
⑨「AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-ED」の作例
使用カメラはDX機の「ニコンD7100」を使っています。
18mm f8.0
⑩ヒメジオン
⑪雑草
⑫玉ボケ
⑬旧陸軍伊良湖試験場跡
⑭伊良湖の景色
⑮ホンダ RC181
⑯天竜浜名湖鉄道 エヴァ
⑰鉄橋
⑱天竜浜名湖鉄道 ヤマハパス号
とても良く写るレンズだけに、両面テープの劣化によるフレキシブルケーブルの断線はちょっと残念でした^^;
おそらくこの故障が起きるのは両面テープの材質の悪い一部のロットだけなんだと思います。
買うならズームロックが付いたⅡ型の「AF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR II」をお勧めします。
追記: このレンズのⅠ型には「made in japan」の初期型と「made in Thailand」の後期型があり、このトラブルが発生したのは「made in Thailand」の方でした。
ひょっとしたら「made in japan」の方がトラブルが出にくいのかもしれません。
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【ニコン「AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-ED」を分解・AF修理・作例】でした!
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