◎カメラのレンズはどうしても出っ張っているので、肩からぶら下げて運んでいる時に「ぶつけたり&落としたり」などしてヒットし易いですよね(汗)
レンズの仕組みによっては衝撃に弱い物があり、このニコンの「AF-S DX Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G ED II」はちょっと当てただけでも中の金属製スライダーが変形してズーミングできなくなる事があります。
今回はリサイクルショップのジャンクボックスに転がっていた「ズーム動かず品」を買ってきて修理してみました。
①落下品と思われる「AF-S DX Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G ED II」
ズームは全く出来ず、しかもマウント側の遮光パーツが外れています(汗)
税込で330円でした。
前玉側のフィルター枠がぶつけた衝撃で凹んでいましたが、幸い前玉に傷は無く、フィルターも何とか取り付け可能なレベルです。
2006年12月1日発売 税別¥20,000 最短撮影距離0.28m(ズーム全域)
レンズ構成5群7枚(非球面レンズ、EDレンズ各1枚使用)
絞り羽根枚数7枚(円形絞り)、質量約205g、最大撮影倍率0.3倍
②とりあえず前群ユニットを外します
銘板はステッカーになっているので、薄いヘラなどで剥がします。
そしてカニ目レンチで反時計回りに回せば前群ユニットを外す事ができます。
因みにこのレンズは2群ズームなので仕組みは簡単でした。
③外した前群パーツはこんな感じ
ここでレンズの清掃もしておきますが、中にカビがある場合はハメ殺しを削ってレンズを取り出さなければならないのでリスクは上がります。
あと組む時に右のスペーサーが段差で噛み易いので注意してください。
④マウントを外します
3本のネジを外してプラマウントを外しますが、絞りレバーが入っている場所をライトなどで照らして確認しておきます。
この時に接点も忘れずに外しておきます。(黄色枠)
写真にはありませんが、スペーサーも向きをマーキングして外します。
⑤外した部品は大きなタッパーなどに入れると便利です♪
埃も入りにくく、また整理もし易いので、100均で数個購入しておくと便利です。
途中で修理が嫌になったら蓋を閉めて寝ればいいですし(笑)
⑥これがこのレンズの曲がり易い金属製スライダー
このレンズのジャンクで「ズーム不動」でしたら必ず曲がっています(汗)
しかもこのスライダーの精度が割と厳格で、ちょっと曲がっているだけでズームが動かなかったり、引っ掛かったり、下手をするとズーム中に後群ユニットが脱落します。
⑦取り外した金属製スライダー
外す前に必ず後群ユニットの入っている位置、遮光パーツの入る位置をマーキングしておきます。
(でも実は入る位置が決まってますが、マーキングしておくと組み立てが楽です)
このスライダーを外したと同時に「後群ユニットと遮光パーツ」が外れるので注意して下さい。
そして曲がったスライダーをペンチと直角定規を使って修正しておきます。
因みにこの破損修理でレンズの精度は「2群ズーム構成」の為にほとんど狂う事はありません。
(後群はズーム位置、前群はピント合わせの為)
但し、カビ清掃の為にハメ殺しを削った場合は別です。
⑧外れた「後群ユニット」と「遮光パーツ」
後群ユニットが外れた途端、「折れた後ろ外枠のステー」やら、「劣化してボロボロになったビニル製の遮光パーツ片」が出てきました(汗)
後群ユニットはブロアで綺麗にしておきますが、絞り周辺は内部にゴミが入らない様に注意します。
もしカビが内部にあったら、各部の寸法を測定してからハメ殺しを削ってレンズを取り出して清掃します。
そして規定の寸法で組まないと2群ズームの後群は調整がシビアなので危険です。
そして「後群ユニット」と「遮光パーツ」を合体し、マーキングを確認しながら「遮光パーツ」のツメを溝に入れて鏡筒に戻し、スライダー2本も組み立てます。
⑨「折れた後ろ外枠のステー」は接着しておきました
理想は「セメダインPPX」や「プラリペア」、「ロックタイト プラ強力接着剤」なんでしょうけど、ここはプラスチック用の瞬着でやりました(汗)
⑩スライダーの位置はこんな感じです
これがもの凄くシビアで、ここからちょっとでもズレるとズーミングで引っ掛かったり、音がしたり、酷いと後群ユニットがポロッと外れます(汗)
自分はなかなか上手くいかずに数回「分解・修正」を繰り返してこの位置に落ち着きました。
だからこのレンズにちょっとでも大きな衝撃を加えると、このスライダーが曲がってズーミングに問題がでるみたいですね^^;
この状態でズーミングテストをして問題が無ければ合格です♪
⑪それでは組んでいきます
後ろ外枠を組みます。
マウントの白配線を外に出し、AF/MFスイッチを通しておきます。
⑫AF/MFスイッチを取り付けます
スイッチのレバーが入るのはギヤのこの部分になります。
組み終わったら、ピントリングを回しながらAF/MFスイッチが効いているか確認しておきます。
⑬スペーサーを入れてマウントを取り付けます
スペーサーを入れ、白い配線をマウントに取り付けたら、絞りレバーの位置に注意しながらマウントと電子接点、艶消し黒カバーの順番で組みます。
組んだら絞りが動くかチェックしておきます。
⑭完成です!
一応、18mmの位置で「後玉と遮光パーツ」がこの位置に来る事も確認しておきます。
後はカメラに取り付けてAF、絞り、写りなどをチェックして終了です♪
⑮実は同じレンズをもう1本買って修理したと言うオチ(汗)
こちらも「ズーム動かず」で買ってきたジャンクなんですが、やはりスライダーが曲がっていました^^;
もう慣れていたので1時間ほどで修理完了です♪
⑯「AF-S DX Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G ED II」の作例
55mm f5.6開放
EDレンズを使った効果もあり、廉価版でもニコンらしい安心の写りですね^^
⑰ブツ撮り
55mm f7.1 最短撮影距離 0.28m
発色も良く、ブツ撮りも寄れるので実用的でした。
◎以上、【ニコン「AF-S 18-55mm f/3.5-5.6G ED II」落下品の修理】でした! (^^
レンズの修理は自信が無かったらプロに任せた方が無難です。
でもジャンクだとチャレンジしたくなりますよね(苦笑)
もし自分で修理するなら自己責任でお願い致します(汗)
コメント