ニコン「NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8」 分解・清掃・作例

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8アイキャッチ ニコン

◎今回は135mmでデカくて重く、そして沢山作られたのか、リサイクルショップのジャンク箱で割と良く見かけるニコンの「NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8」 を分解・清掃し、ミラーレスカメラでの作例も載せてみました。

実は「NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8」を買うのは2個目だったりするのですが、コーティングが多層、銘板の文字位置の違い、マウントのネジがマイナスからプラスになった「NIKKOR-Q・C Auto 135mm F2.8」の方はあまり見かけないですね^^;

1965年発売 マウント: ニコンFマウント  焦点距離: 135mm   重さ: 604g
外寸: 72.5x97mm  フィルター径: 52mm   最短撮影距離: 1.5m 最小絞り: F22
レンズ構成: 4群4枚(エルノスター構成) 絞り羽根枚数: 7枚
コーティング: モノコート フォーカス: マニュアル 開放F値: F2.8

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

 

①まずはレンズ清掃のみです

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8分解

A: まずはフード部分を固定しているネジを取り外しますが、このレンズはあちこちにネジ止め剤が塗付されているので、エタノールを染み込ませて一服してから緩めるのが良いと思います。

B: フード部分の固定側を反時計回りに回して外します。

C: 副鏡筒を固定しているリングのイモネジを緩めます。

D: 副鏡筒を固定しているリングを反時計回りに回して外します。

②副鏡筒を外し、各レンズを清掃します。

Nikkor-Q Auto 135mm F2.8レンズ清掃

A: 各リンクの組み合わさる位置を確認しながら副鏡筒を主鏡筒から引き抜きます。

B: 副鏡筒に付いているスペーサーリングを取り外します。

C: 副鏡筒から前群ユニットを反時計回りに回して取り外しますが、できれば締めてある位置をマーキングしておくと良いです。

D: 前群ユニット後部を分解し、レンズを取り出して清掃します。
レンズの向きだけは間違えないようにして下さい。

③レンズ清掃の続きです

Nikkor-Q Auto 135mm F2.8レンズ清掃2

A: 前群ユニット前部を分解し、前玉を取り出して清掃します。

B: 後玉ユニットを反時計回りに回して取り外します。

C: 後玉を取り出して清掃します。

D: エルノスター構成のレンズ構成はこんな感じです。
惜しみなくガラスを使っている感じが良いですね^^

レンズ清掃のみなら、後は組み立てて完了ですが注意点があります。
注意点は画像④のAと画像⑨~⑩を参考にして下さい。

④絞り羽根の清掃

Nikkor-Q Auto 135mm F2.8絞り清掃A: 前群ユニットを副鏡筒に取り付ける時はネジ穴に打痕が来る位置で締め付ける必要があります。
これより締め過ぎたり、緩いと光軸が狂う可能性があります。
スポット的なライトの光を当てながら作業をすると合わせ易いのでおススメです。

B: 絞り羽根を清掃する為に、絞り量調整固定ネジの位置決めマーキングをしてから調整固定ネジ3個を取り外します。

C: 絞りリング連動ピンを取り外します。

D: 絞り羽根が脱落しないよう慎重にカムの付いた押さえ調整リングと絞りリングに連動するリングを外します。
調整リングに付いているバネは簡単に外れてしまうので注意します。

⑤絞り羽根の清掃B

Nikkor-Q Auto 135mm F2.8絞り羽根清掃

A: 絞り羽根を外して清掃したら向きとピンの位置に注意しながら組み立てます。

B: 可動側のリングを付けたら、リングを押さえながら回して絞りが正常に動くか確認します。

C: ここを組み立てる時はカムが入る位置を間違えないようにして下さい。

⑥ヘリコイドグリス交換

Nikkor-Q Auto 135mm F2.8ヘリコイドグリス交換

A: フォーカスリングを固定している6個のネジを取り外します。

B: フォーカスリングを取り外します。

C: フォーカスを無限遠の位置にし、指標位置でのサブヘリコイド、ヘリコイドストッパー、メインヘリコイドそれぞれに位置マーキングをしておきます。
そしてヘリコイドストッパーを取り外します。

D: 指標リングを固定しているネジを外し、指標リングを外します。

⑦ヘリコイドの取り外し

Nikkor-Q Auto 135mm F2.8ヘリコイド外し

A: フォーカスリングがあった部分を回し、穴にネジが見える位置で止めます。
そして直進キーを固定している2個のネジを外します。

B: ここからは絶対に中のメインヘリコイドを動かさないようにしながら、サブヘリコイド(フォーカスリングが付いている部分)を回して直進キーと分離させますが、キーの固定位置から鏡筒からヘリコイドが外れる瞬間の位置(大事です)までの回転数は必ずメモしておいて下さい。
この時に鏡筒からまだヘリコイドを抜いてはいけません。

C: ある程度までサブヘリコイドを回したら、ここからゆっくり慎重にサブヘリコイドを回し、鏡筒から外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。(大事です)

D: 今度はサブヘリコイドからメインヘリコイドを外しますが、ここも外れるまでの回転数と外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。

⑧ヘリコイドグリス交換と組み立て後の位置関係

Nikkor-Q Auto 135mm F2.8ヘリコイドグリス交換

A: ヘリコイドの古いグリスを灯油とブラシなどを使って洗い流し、新しいヘリコイドグリスを塗布します。
ヘリコイドグリスは塗り過ぎると動きが重くなりますのでほどほどに…^^;

B: 組み立て後の無限遠の各パーツの位置関係

C: 最短撮影距離での各パーツの位置関係。
これはレンズの年式によって違う可能性があるので参考程度にして下さい。

⑨副鏡筒の組み込み

Nikkor-Q Auto 135mm F2.8副鏡筒の組み込み

A: 組み込む時にスペーサーを忘れないで下さい。
自分は忘れていてやり直しました^^;

B: 主鏡筒に副鏡筒を組み込む時は絞りをF22に、フォーカスを無限遠にしておきます。

C: ここの絞り連動ピンはこの位置にセットします。

D: ここの絞りリング連動ピンはこの位置にセットします。

⑩副鏡筒の組み込みB

Nikkor-Q Auto 135mm F2.8副鏡筒の組み込みBA: 副鏡筒を組み込む前に各リンク位置を青丸の位置にマーキングしておくと組み立てが楽になります。
そして主鏡筒に副鏡筒を組み込みます。
副鏡筒を組み込んだら絞りリングと絞りピンを動かし、絞りが正常に動くか確かめます。(絞りリングで絞り込んでピンを動かし開放になるかチェックします)

後は残りの部品を取り付けていきます。

B: 最後のこのネジ位置はとても分かりにくいので…
フォーカスリングに鉛筆などでネジ穴の位置をマーキングしておくと楽です^^

⑪「NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8」の作例

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例公会堂使用カメラはマウントがAi化していない為にニコン1のFT1に無理矢理付けました(自己責任で…)
絞り値は景色以外は開放またはちょっと絞って撮影しています^^;

⑫ガードレールのリフレクタ

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例ガードレール

⑬花群生

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例花群生

⑭花

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例花

⑮ビニールハウスのある景色

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例ビニールハウス

⑯公園のベンチ

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例公園のベンチ

⑰タンポポ

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例タンポポ

⑱モンシロチョウ

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例モンシロチョウ

⑲橋の欄干

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例橋の欄干

⑳木の葉

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例木の葉

㉑物撮りプライズフィギュア(後ろボケ)

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例後ろボケ

㉒物撮り(前ボケ)

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例前ボケ

㉓物撮り(プライズフィギュア)

NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8作例プライズフィギュア大きくて重く、設計に無理をしていないのもあるかもしれませんが、開放から良く写るイメージです^^

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

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以上、【ニコン「NIKKOR-Q Auto 135mm F2.8」 分解・清掃・作例】でした!

 

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