◎今回は割と見かけないタムロンのズームレンズ「TAMRON 28-50mm F3.5-4.5 CF MACRO BBAR MC (Model 07A)」を分解・清掃してみました。
とあるドフのレジ横にポツンと置いてあるのを見つけたのですが、最初はとても小さいので単焦点レンズかと思ってしまうほどでした。
タムロン17Aと並び、とても良く写ると言われているその実力は如何に!?
1980年発売、1982年生産終了。 当時の価格は¥39.000。 重さ: 297g
レンズ構成: 9群9枚 最短撮影距離: 0.25m 最大撮影倍率: 1:4
マウントは交換式の「アダプトールⅡ」 フィルター径: 58mm
外寸: 64.7mmx50.7mm 最小絞り: 32
「接写機能M・O・Dセレクターシステム」で無限遠から0.25メートルのマクロ域(50mm時)まで連続的にフォーカシングができます。
(これがグリス切れしていると動きません)
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①それでは07Aを分解・清掃していきます!
A: マウントを固定している3本のネジを外し、マウント表のプレートを外します。
B: そして丸い板バネを外しますが、その下にはワッシャーがありますので無くさない様に保存します。
C: そしてロックの付いたプレートを外しますが、矢印のバネはちょっと触れるとビヨーンとどこかに飛んでいきますので注意して下さい^^;
自分はワッシャーとバネの根元にちょっと接着剤を付けて紛失防止策としました。
D: 艶消し黒のフレアカッターを外します。
②絞りリングと前群ユニットの取り外し
A: 絞りリングを外す時はクリックボールが飛び出しますので、袋の中で絞りリングを取り外すといいです。
B: ボールだけでなく、中のバネも取り外して保存しておくと安心です。
C: 前群レンズユニットを外す為にまずフォーカスリングのゴムを外し、①のイモネジ3本を緩めますが、このイモネジには「ネジ止め剤」が塗付してあり、まずはシンナーなどで「ネジ止め剤」を柔らかくしてから緩めます。
注意点として、このイモネジは長さが1.5mmほどしかなく、とても紛失し易いので外さない方が賢明です^^;
レンズ清掃のみでしたら、②のイモネジは緩めなくていいです。
D: イモネジを緩めたら、固定してある位置から締め込み完了の位置までマーキングしておくと、組む時の目安になります。(鉛筆が割といいです)
③前群レンズの清掃と後群レンズの清掃
A: 前群ユニットを外したら、レンズの向きをマーキングしながら取り外して清掃します。
スペーサーにも必ず向きがありますのでマーキングしておきます。
(向きが無い様に見えてもアタリの問題があるので必ずマーキングします)
レンズを清掃したら組み立てておきます。
B: 後群を固定しているホルダーを取り外します。
C: レンズをレンズサッカーなどで取り出しながら、レンズだけでなくスペーサーにも向きマーキングをしておきます。
そしてレンズを清掃しておきます。
D: そして本体底部の3本のネジを外し、中玉の付いた絞りユニットを取り外します。
④レンズ清掃のみならここまでやれば完了です
A: この絞りユニットの中玉は向きと順番がとても分かりにくいので、取り出す際はかなり慎重になる必要があります。
特にコンコンやって取り出す場合に転がってしまうと、向きが分からなくなって涙目になります^^;
もちろんスペーサーにも向きがありますので、一つずつ取り出しながらマーキングして清掃します。
清掃が面倒になりますが、外す前にレンズやスペーサーに水性ペンで印を付ける方法が安全です。
とにかく1つでも向きを間違えると簡単に光軸が狂いますので注意して下さい。
(経験者は語る: 汗)
レンズ清掃のみでしたら、後は逆の手順で組み立てれば完成です。
B: ここからは全分解チェック&グリスアップの為の分解になります
センターの指標リングを固定している3本のイモネジを緩め、リングとズームリングを前方にずらします。
C: ①のネジに位置マーキングをしたら外していきます。
この時に同軸上にある横位置決め用の短いネジ1本も外します。
そしてズーム連動ピン②も外します。
D: 絞りリンクレバーのネジ2本を外し、リンクとスペーサー2個を外します。
(面倒なら緩めてリンクを傾け、溝から外すだけでもいいです)
⑤鏡筒の分解(全整備のみ)
A: マウントベースを外します。
外した部品は100均の小袋にパートごとに保存すると組み立てが楽になります。
B: そしてズームリングを外し、位置調整リングは位置マーキングをしてから外し、指標リングも位置を確認してから外します。
(この画像は組む順番と向きも示しています)
C: 大きなCリングを外し、絞り連動リングを外します。
D: まずフォーカスリングと前群ユニットが付いている部分の位置関係をマーキングしておきます。
そしてフォーカスリングを固定している内側下の大きなリングナットを時計周り(逆ネジになっています!)に回して外し、フォーカスリングを外します。
ここも「ネジ止め剤」が塗付してありますので、シンナーなどで柔らかくしてから作業する事をお勧めします。
もしヘリコイドグリスを交換したい場合はここのみの分解でヘリコイドは取り外しできます。(マーキングは忘れずに!)
⑥鏡筒の分解・ヘリコイドのグリスアップ
A: このネジ2本を外しますが、ナット側はコロになっていますので、取付状態をチェックしてから取り外します。
ここのコロの黒いプラ部分がごまかし酷く痛んでいる場合は、プラパイプを同じ厚みに加工して交換する必要があります。
B:ズームユニットを固定している4本のネジを外し、各パーツに位置合わせマーキングをしてから分離していきます。
C: バラバラになった鏡筒。
それぞれ擦れる場所に筆などでグリスを塗布します。
D: ヘリコイドを清掃した状態。
ヘリコイドは必ず外れる瞬間の位置にマーキングしておきます。
そしてヘリコイドグリスを塗って組み立てます。
あとは逆の手順でどんどん組み立てていきます。
⑦マウント組み立ての注意点
☆ロックボタンは大きな溝に入ります(絞りリングが動く為)
☆リング状の板バネはふくらみがレンズ側です。
☆マウント最終リングは白い印が外側になるように組み立てます。
お疲れさまでした^^
⑧「TAMRON 07A 28-50mm/F3.5-4.5 MACRO」の作例
被写体は「モモイロツメクサ」
50mm 開放f4.5 最短撮影距離0.25mにて撮影しています。
使用カメラは「ペンタックス K-x」、アダプトールマウントは「Kマウント」用をチョイスしています。
写真は1200x800pに縮小していて分かりずらいですが、割と繊細な描写をするのには驚きました。
⑨公園の水道
⑩逆光の景色
28mm f8.0
かなり強い光が川から照り返していますが、昔のレンズにしては良好な感じです。
あまり参考にならないと思いますが…orz
⑪順光の景色
⑫景色を撮ってたら来た鳩
⑬蜘蛛の巣(苦手な人はスミマセン💦)
⑭花のおしべとめしべ
タムロンらしい柔らかいボケ具合、ネイチャー向けな発色、開放からシャープな写りが個人的にツボです。
特に明るいレンズでもなく、高倍率ズームでもないですが、とにかく小さくて軽くて良く写るオールドレンズだと思いました^^
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【TAMRON 07A「28-50mm/F3.5-4.5 MACRO」 分解・清掃】でした!
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