◎たまたま行ったリサイクルショップのジャンク箱に珍しくカビジャンクのミラーレンズ「Kenko(ケンコー) 500mm F8」が転がっていたので思わず買ってきてしまいました^^;
価格は¥1100で、当然の如く中のレンズや反射鏡はカビが繁殖していました。
今までジャンク箱に入っていてゲットしたミラーレンズはソリゴールやタムロン55Bで、ソリゴールは反射鏡の劣化が酷く売却、タムロン55Bはその写りの良さで今でも所有しています。
しかし最近オクを見てたらレアなミラーレンズの価格の上がる事と言ったら…💦
ジャンクショーケースに入っているニコンとかキャノンは高過ぎて未だに使った事はありません。
実は過去に中古品(ジャンクじゃないです: 笑)「Kenko 望遠ミラーレンズ 500mm F6.3DX」を買った事があるのですが、シャープネスに掛けた写りが我慢できずに手放したという過去があります^^;
だからほぼ同時期に発売されたこのレンズの写りがとても気になっていたのでした。
2005年に通販限定で発売 当時の価格は¥20.790 マニュアルフォーカス
レンズ構成: 6群7枚 レンズF値: F8固定 最短撮影距離: 1.72m 重さ: 320g
マウント部フィルター径: 30.5mm 前面フィルター径: 72mm
外寸: 77×87.7mm マウント: Tマウント 韓国製(SAMYANG(サムヤン)製)
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①前群レンズの取り外し
A: まず大きなリングナットは固い事が多いので、ネジ溝にエタノールを垂らして数分待ちます。
B: カニ目ツールなどを使い、大きな前玉を固定している大きなリングナットを反時計回りに回して外します。
前群は重いので、落とさない様に慎重に外します。
C: メインの主反射鏡のカビ…
しかしカビって、レンズの中が余程心地良いんでしょうね^^;
D: 外した前玉のカビを綺麗に落とします。
②前群レンズの分解清掃
A: ここのプラ製の蓋にはネジ止め剤が塗付してありますので、ここもエタノールを数滴垂らしてネジ止め剤を柔らかくしておきます。
B: 吸盤オープナーを下に押し付けつつ、反時計回りに回してプラ製の蓋を外します。
C: プラ製の蓋を外すと中にプラ製のスペーサーが入っているので無くさない様にします。
D: ここから副反射鏡、鉄製のスペーサー、レンズの順番で外しますが、スペーサーとレンズの向きだけはマーキングしておいて下さい。
外した副反射鏡とレンズを清掃します。
…と思ったらレンズの様子が何か変です💦
③貼り合わせレンズのバルサム切れ修理
A: あちゃー、何と貼り合わせレンズがバルサム切れを起こしていましたorz
B: 触るとバルサムの材質がとても柔らかかったので、まずコップに水を入れ、その中にバルサム切れを起こしているレンズを入れて電子レンジで煮沸分離をしてみました。
C: 予想通りちょっと煮沸しただけで簡単にレンズを分離できました^^;
しかしこの香りはエポキシ樹脂の匂いです…
天然樹脂のバルサムでは無さそうでした。
D: レンズの向きはこんな感じになります。
貼り合わせの場所は間違える事はありませんが、レンズの向きは間違えない様に注意します。
④バルサム修理と組み立て
A: まずレンズ表面の汚れを徹底的に落とします。
そしてレンズとバルサム樹脂を温めたら、レンズ表面にバルサム樹脂を塗布し、レンズを擦り合わせる感じで余分なバルサム樹脂を外側へ流します。
合わせ位置はノギスなどでクロスに挟んでセンター出しをしておきます。
参考資料はコチラ→「バルサム切れ修理」
B: 貼り合わせが終わったレンズ
C: 前玉ユニットにレンズと副鏡を取り付けますが、スペーサーは口が狭い方が被写体側になります。
⑤後群レンズの分解清掃
A: マウントベース部を固定している3本のネジを外しますが、ここは固く締められているのでネジ頭を潰さない様に注意します。
(固い時はエタノールを染み込ませて数分待ち、しっかりした工具を使って下さい)
B: マウント部分はレンズ後群と一体になっているのでそのまま外せばOKです。
C: 主反射鏡は外して清掃する事も可能ですが、ここは調整されている事もあるのでそのまま清掃しました。
D: 後群レンズを固定している鏡筒前部を反時計回りに回して外します。
⑥後群レンズの清掃とヘリコイド分解
A: レンズとスペーサーを取り出す時は必ず向きマーキングをします。
後玉は凸側が被写体側、スペーサーは狭い方が被写体側、中玉はRのキツイ方が被写体側になります。
B: ここからはヘリコイドが調子良い場合は必要ありません
まずフォーカスリングのラバーグリップをドライヤーなどで温めてから外します。
(古いレンズは温めないと破れる事があります)
C: ヘリコイドストッパーのネジ位置を指標部分にマーキングしておきます。
D: 指標部分をマウント側にずらします。
⑦ヘリコイドグリスの整備
A: そしてヘリコイドを最短撮影距離にセットし、ヘリコイドにストッパーねじ位置をマーキングしておきます。
そしてヘリコイドストッパーねじ(左)を外します。
B: ストッパーねじを外したら、ゆっくり外れる方向にヘリコイドを回し、外れる回転角と瞬間の位置をマーキングしておきます。
そしてヘリコイドグリスを灯油などで洗浄し、新しいヘリコイドグリスを塗ります。
そしてヘリコイドを外れた位置マーキングの位置からねじ込み、ストッパー位置のマーキングまで入れたらヘリコイドストッパーねじを取り付けます。
指標を組み上げ、セロテープで固定し、フォーカスリンググリップゴムを取り付けて完成です。
後は前群レンズと後群レンズを取り付けて完成になります^^
⑧「Kenko 500mm F8」の作例
使用カメラはフルサイズ機のニコンD700で、全ての画像は手持ち撮影となっています。
ただ500mmのミラーレンズはピント合わせもかなりシビアの為、フォーカスアシストの無いレフ機では無理があったのも事実です^^;
最初は1インチセンサーやAPS-Cのカメラで使ってみたのですが、やはりこのレンズはシャープネスが足りないみたいで、フルサイズ機がベストと判断しました^^;
レンズ整備に失敗したかと思いましたが、デジカメWatchさんや他の方のブログ記事を見て納得しました。
⑨重機
⑩ヒメジオン
最短撮影距離1.72mですが、500mmのレンズを手持ち撮影&風に揺れる花を撮るには無理がありました^^;
⑪ヒヨドリ
このくらいの画像の大きさならそこそこ綺麗に感じますが、拡大するとダメです…
⑫橋
⑬コンクリートブロックと雑草
⑭川の水位計
⑮リングボケ
このミラーレンズ特有のリングボケを活かした作品作りをするのも面白いかもしれませんね^^
⑯田んぼ道
ちょっと距離感が分かりにくい構図になってしまいました^^;
⑰遠くの鉱山
望遠レンズは大気の状態にかなり左右されるので、雨上がりの快晴が良いのかもしれません。
⑱川縁のフェンス
500mmf8固定の被写界深度が良く分かると思います。
景色なども割とシビアなピント合わせを要求されました^^;
今のケンコーミラーレンズ「400mmF8NII」の作例を見るとかなり画質が良くなっている印象ですが、この時代に発売されていたミラーレンズシリーズはどれもシャープネスが今一歩な印象を受けます^^;
でもミラーレンズの写りを体験するなら安くて小さいので良いかもしれません^^
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【望遠ミラーレンズ「Kenko(ケンコー) 500mm F8」分解・清掃・作例】でした!
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