トキナー「Tokina AT-X PRO AF 28-70mm/F2.8」分解・清掃

トキナ28-70PROトキナー・コシナ

◎今回は1994年に発売されたトキナーのAFズームレンズ「Tokina AT-X PRO AF 28-70mm/F2.8(ニコンFマウント)」を分解・清掃してみました。
このシリーズは1988年に発売された初代「AT-X AF 28-70mm F2.8(AT-X270AF)」から始まり、1994年「AT-X AF 28-70mm F2.8 PRO(AT-X270AF PRO)」、1997年「AT-X AF 28-70mm F2.8 PRO New」、2002年「AT-X AF 28-70mm F2.8 PRO SV」と続きましたが、スペック上に変化はありませんでした。

1994年発売 レンズ構成:12群16枚(これは初代から最終まで変わりませんでした)
絞り羽根枚数:8枚 最短撮影距離:0.7m 最大撮影倍率:0.11倍 フィルター径77mm
フードはねじ込み式の丸形 大きさ108.5mm×84mm 質量:715g

この「AT-X270AF PRO」の良いところは「プロテクター鏡筒」の採用により、ズーミングしてもレンズの全長が変わらず、また70mmのテレ端では遮光フード代わりになるのも便利だと思いました。
ただレンズ側のAF/MF切替はフォーカシングクラッチをフリーにするだけで、カメラ側はAF/MFが切り替わらないので注意が必要です^^;
あと残念な事にこのレンズはバルサム切れが2か所発生していました。

 

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①それでは「AT-X270AF PRO」を分解・清掃していきます

「AT-X270AF PRO」分解・清掃

A:銘板を吸盤オープナーで外し、前群ユニットも外します。
どちらもカニ目などの溝が無いのでちょっと苦労するかもしれません。
因みに前群ユニットの分解はネジロックが派手に塗付してあり、おそらく
緩みませんので画像(②のC)に説明しています^^;
そしてピントリングとズームリングのグリップゴムを外しますが、ピントグリップはレンズ清掃のみなら外す必要はありません。

B:マウントAss’yを外します。
この時に絞リングのクリックボールが飛び出しますので、袋の中でリングを外します。
AF駆動ギヤのCリングも紛失に注意します。
外す時はスペーサーの位置と向きをマーキングしておくと、組む時に楽です^^;

C:ズームリング後ろ半分を外しますが、これはレンズが多少外し易くなるだけなので、無理して外す必要はないと思います。
リングは貼ってあるテープを剥がすだけでリング後ろ半分が外れます
電子接点を引っ掛けて曲げるのが怖いので、必ず位置マーキングしてから電子接点も外すようにしています。

D:前群中玉ユニットと後群ユニットを外し、レンズを清掃します。
レンズとスペーサーには必ず向きがあるので注意してください。
前群中玉ユニットのレンズは簡単に分解・清掃できますが、後群ユニットもネジロックが派手に塗付してあり、おそらく緩みませんので画像(②のC)に説明しています^^;

 

②各レンズの清掃

レンズ清掃A:後群中玉ユニットを外しましたが…
実はコレ、悲しい事にハメ殺しなんですよね…(汗)
しかもバルサム切れしていますし(泣)

B:後群中玉ユニットのハメ殺し部分はかなり浅いらしく、プラ板でカシメてある薄い部分を削り、ドライヤーでしっかり温め、後ろから押したらレンズが全部抜けました。
何とバルサム切れはレンズを横に押しただけで分離してしまいました(汗)
レンズ面を綺麗にしたら、バルサムを塗って貼り合わせます
実は前群中玉ユニットも合わせレンズの横を押したらヌルッとずれてバルサム劣化してたんですよね(汗)
でも綺麗だから今回はスルーしました(苦笑)

C:それでは絶対に緩まない前群ユニットと後群ユニットをバラしていきます。
まず容器にレンズユニットを入れ、「無水エタノール」を「ネジロックが塗付
してあるネジ山」が浸るくらいに入れます。

実はこの方法は確実なんですが、次のリスクがあります。
「バルサムが溶ける可能性がある」「ユニット内に液体が浸透するので全バラしないといけない」「古いレンズだとコーティングが溶ける」(特に古いミノルタ、ヤシカ、タムロン後群など)
特にシンナーなどはニコンでもコーティングがやられました^^;
時間がある人ならスポイトで点滴みたいに注しながら様子をみると言うやり方もなくはないですが…
でもこのレンズに関してはコーティングに全く影響はありませんでした。

そして半日ほど浸したら緩むかチャレンジします。
緩まなかったらまた半日浸します… の繰り返しで外す事ができると思います。今までおおよそ半日~1日で緩める事ができました^^

D:前群ユニット、緩みました!
エタノールがユニット内に染み込んでいるので全バラ清掃してから組み立てます。

 

 

③レンズ清掃、マウントステー修理

レンズ清掃マウントステー修理A:後群ユニットもエタノール漬けで緩みました!
でもメッチャ固かったです…
各レンズを清掃して組みますが、レンズとスペーサーの向きは厳守してください。

B:これだけでは終わらなかったの巻(汗)
何とこのレンズ、物理的衝撃を受けている事が判明!!
ズームユニットを支えているこのステーが曲がっていました…
正直、もう捨てようかと思いましたが、ズームユニットには問題が無かったので修理を続ける事を決意。
このレンズって重いので、この貧弱なステーだと衝撃に耐えられないだと思いました。
レンズ外観には全く傷が無かっただけに衝撃的でした^^;

C:こちらも曲がっていて、電子接点も変な場所をスライドしてる…
全バラして修正する事にしました^^;
因みにここの変形では構造上光学系のズレはほとんど生じませんが、ズームリングが重かったり、AFが途中で止まったり、無限遠が狂ってしまいます。

D:ズームユニットを外すにはここのプレート、AF駆動ギヤ、電子接点のステーを外し、後は基盤を痛めない様に知恵の輪で引き抜くだけです。
ネジを緩める前に必ずズーム位置、ピント位置をマーキングするか写真を撮っておきます。

 

④ズーム部の分離・組み立て

ズーム部の分離組み立てA:全バラ、苦労の図(苦笑)
今回、曲がった部分は何とか修復する事ができましたが、次にまた衝撃を与えたらアルミなので割れて「THE・END」です^^;

B:あちこちにネジロックが塗ってあるので…
もう固くて…
ネジが一本、頭からネジ切れてしまいました(泣)
幸い自分のスペアパーツボックスに同じ物があって助かりました^^;
後はホルダーの板金、組む時の板金調整も大変でした。
(無限遠は調整できるので、センサー面との平行を重視しました)

C:電子接点の組付け・調整
ピント・ズーム共に回しながら接点とフレキシブル基板の当たりを調整します。
基本的に擦れた痕に合わせればOK!
ずれているとAFが途中で止まったりしますので^^;

どのメーカーでもそうですが、AF故障の大半はこのフレキシブルケーブル断線が
原因です。

D:マウントを組む時の注意点
このAF駆動ギヤに付いているCリングは絞リングを組んでから行い、マウントを組む時にマウントとAF駆動ギヤがツライチになっている事を確認します。
そしてフレアカッターを取り付けてから、接点を取り付けます。
(組む時に伸ばすフレキシブルケーブルの断線に注意!!)
後は組み立てて完成です^^

無限遠の調整はレンズのフォーカスリングゴムを外し、フォーカスリングをMF側に切り替えて∞にセットすると穴にイモネジが見えますので緩めます。
フォーカスリングを∞にしたままレンズをカメラに取り付け、ファインダーを覗きながら前玉を回し、遠景にピンが合ったらイモネジを締め付けて完了です。
(好みでオーバーインフにするのもいいです)

 

 

⑤「Tokina AT-X PRO AF 28-70mm/F2.8」の作例

AT-X270AF PRO作例使用カメラは「ニコンD700」です。
28mm  f2.8  1/5000  ISO400

 

⑥70mm  f2.8  1/5000  ISO400

70mm f2.8

割とピンが浅く、最短撮影距離も0.7mと寄れません^^;

⑦70mm f2.8  1/4000  ISO400

ヒルザキツキミソウ

ちょっとグルグルボケかもしれません。

⑧28mm  f11.0  1/500  ISO400

トキナ景色

フルサイズ機をあまり使わないので、たまに使うと画角が広くて戸惑います(汗)

⑨34mm  f2.8  1/8000  ISO320

バイク像

バイクに乗る人の像。

⑩34mm  f2.8  1/3200  ISO400

エキゾースト

 

⑪46mm  f5.6  1/2000 ISO400

森から覗く青空

 

⑫70mm  f7.1  1/500  ISO400

フィギュア屋外撮影

被写体はバンプレスト アイドルマスターシンデレラガールズ EXQフィギュア「高森藍子」。

広角端は開放から割と良く写る印象ですが、近距離のテレ端の開放はやや甘いので、ちょっと絞るといいかもしれません。
あとこのレンズは重く、レンズ内部ステーの強度はちょっと心配なので、ぶつけないなどの慎重な取り扱いが必要だと感じました。

 

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、落ち着いて慎重に行って下さい。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、参考程度にして下さると嬉しいです。
あとレンズの分解・清掃は必ず自己責任でお願い致します(汗)

以上、【トキナ「Tokina AT-X PRO AF 28-70mm/F2.8」分解・清掃】でした!

 

コメント

  1. 中園典男 より:

    興味深く読ませて頂きました。
    ところで、教えて頂きたいのですが、tokina AT-X pro SD 12-28F4(IF)DX (定価9万円をヤフオクで9千円で購入)のズームがオートもマニュアルも効きません。ズームリングは回ります。マニュアルで焦点が合い、ズームは固着していますので、単焦点マニュアルレンズとしてなら使用できますが、出来るなら修理したいです。

    ズームリングを外して内部を覗きましたが、焦点用及びズーム用の小さなギア群を見て、恐ろしくなって分解を断念し、もとに戻しました。

     貴方ではいくらで修理して頂けますか? 千葉県佐倉市

    • ayumu3 より:

      はじめして! ご訪問&ご質問ありがとうございます。

      ご質問の件ですが、おそらくズームが伸びた状態で強い衝撃を受けた可能性があると思うのです^^;
      そうした場合はプラスチック製の部品が割れているケースが多く、一般人では修理不可能の確率がとても高くなるんです。

      まだ新しくとても良いレンズですので、メーカーに修理依頼をして頂くか、株式会社フクイカメラサービスさんなら落下品や衝撃品でも受け付けていますのでそちらをおススメします。
      https://www.camera-repair.jp/Repair/CameraLens.php

      こんなお返事しかできなくて大変申し訳ありません

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