ミノルタ「MINOLTA AUTO ROKKOR-PF 55mm F2」分解・清掃・作例

ミノルタ

◎今回はカビジャンク、絞り羽根動かずのミノルタの「MINOLTA AUTO ROKKOR-PF 55mm F2」を分解・清掃して作例を載せた記事になっています。
年末で忙しく、別ブログで掲載予定だった記事をこちらで公開する事にしている為に、レンズ整備に関する一部の画像と行程を省いている事をご了承ください💦

「MINOLTA AUTO ROKKOR-PF 55mm F2」は1959年に「MINOLTA SR-1」との廉価版セット¥36.000として発売されたみたいです。
光学系は同時期の「AUTO ROKKOR-PF 55mm f1.8」とは前玉の大きさが違う事から、「Super-Takumar 55mm f2」みたいに「Super-Takumar 55mm f1.8」の光学系を流用していない感じです。(詳しい事は自信がありません)
注意点としてこの時代のミノルタレンズはレンズのコーティングがとても脆いAC(アクロマティックコーティング)が使われていますので、絶対にエタノールやクリーニングペーパーは使用せずに、中性洗剤とソフトクロスで優しく洗う事をお勧めします。
あとこのレンズは絞りの組み立て方を間違えると動きが悪くなります。

1959年7月に「MINOLTA SR-1」との廉価版セット¥36.000として発売
レンズ構成: 5群6枚  絞り羽根枚数: 8枚  最短撮影距離: 0.5m
フィルター径: 55mm  開放値: f2  最小絞り: f22

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①レンズのみの清掃編

A: まず銘板を反時計回りに回して外し、次に前群レンズユニットを反時計回りに回して外します。
B: フォーカスリングを無限遠にして、後群レンズユニットを反時計回りに回して外します。
C: とりあえずカビが内部に無いのならここで組み上げてしまうのも手です。
何故なら前述のとおり、このレンズにはとても脆いAC(アクロマティックコーティング)が使われているからです。

D: それでも内部にカビがある場合はレンズ表面に触れないように分解し、レンズをタッパーなどに入れて台所へ行きます。
そして手の脂をしっかり洗剤で落としたら、優しく中性洗剤と指でレンズ表面を洗い、仕上げはソフトクロスで拭き取ります。

AC(アクロマティックコーティング)はエタノールやクリーニングペーパーだとすぐに剥がれてしまいますが、中性洗剤と指ならよっぽど剥がれる事はありませんので、それほど恐れなくても大丈夫です。

②ヘリコイド部の分解

A: フィルター枠を反時計回りに回して外しますが、固い時はドライヤーで温めるかネジ溝にエタノールを染み込ませてちょっと待ってから回します。
B: 基本位置としてまずフォーカスリングを最短撮影距離にセットします。
次にフォーカスリングを外しますが、ここを省略して画像Dでセットで外しても良いです。

C: 保険として最短撮影距離位置での指標部とインナー鏡筒の高さを測っておきますが、これは個体差があるので参考程度にしておいて下さい。
何故ならこのレンズは無限遠調整が簡単にはできない造りになっているので、分解したらまた出荷時の状態に組み上げる必要があります。

D: 指標リングと回転部の位置関係をマーキングして指標リングを外します。

③ヘリコイド部の分解Ⅱ

A: まず最短撮影距離位置での絞りキーと直進キーの入っている位置と状態を確認しておきます。
左の絞りキー片側には絞りリング連動レバーが当たっていますので、絞りリングとマウント下部にある絞りピンを動かしてどんな動きをするのかも確認しておきます。
ここは画像Bの作業をするとカチャっと音がして外れますので、組む時は絞りリングをf22にセットしてマウント下部の絞りピンを回し、スペースを開けて組む必要があります。

B: まず回転部に指標基準位置(軸線位置)のマーキングをします。
そしてマウント側とインナー鏡筒を左手で固定し、インナー鏡筒を回転させないようにしながらヘリコイドをゆっくり慎重に回転してインナー鏡筒を軸線上に繰り出しますが、ここはインナー鏡筒が外れる瞬間の位置がとても重要になってきますので注意して下さい。
(このレンズの場合、インナー鏡筒は約0.8回転で外れました。)
そしてインナー鏡筒が外れる瞬間の軸線上位置をインナー鏡筒にマーキングします。
外したインナー鏡筒は古いヘリコイドグリスを清掃して新しいヘリコイドグリスを塗布しておきます。

組む時は絞りリングをf22にセット&インナー鏡筒をマーキング位置にセットし、回転部を逆回転させてインナー鏡筒を繰り入れます。
そして繰り入れながら直進キーと絞りキー(この時にマウントの絞りピンを動かして絞りリング連動レバーとの隙間を空けます)を溝に入れ、回転部をマーキング位置に戻してフォーカスリングを取り付けます。

C: 各キーの位置関係。
鏡筒内右上のキーには絞りリング連動レバーが当たっていて、組む時は絞りキーを入れる為にマウント下部の絞りピンを動かしてスペースを開けます。

回転部(サブヘリコイド)は軸線上から約11.5回転で外れますので、サブヘリコイドのヘリコイドグリスを交換する時もヘリコイドが外れる瞬間の位置はマーキングしておくと組み立てる時に楽です。 (サブヘリコイドは単なるネジになっていますので、入る位置は決まってます)

D: ここのロックリングを反時計回りに回して外し、絞り部とヘリコイド部を分離しますが、組む時の為に組み合わせ位置マーキングをしておくと楽です。

④絞りユニットの分解

A: ヘリコイド部と分離するとこんな感じになります。
このレンズの無限遠調整はおそらく左から2番目のスペーサーで行っている為に無限遠調整はかなり厳しいと言わざるを得ません💦

B: 絞りユニットの分解はまず上段に1個あるクリアランス調整リングのイモネジを緩めます。
C: 絞り羽根のクリアランス調整リングを外したら絞り羽根固定部の位置マーキングをしておきます。

D: 次に下段にあるイモネジ3個を緩めますが、下向きだと絞りがバラバラになりますので気をつけてください。

⑤絞り羽根の分解と清掃

A: この絞りは完全に油滲みで固着していたので丸ごと外れました。
B: 絞り羽根の固定部を外して羽根の組み合わさっている向きと表裏を確認します。

C: 絞り羽根と固定部、可動部の油をホワイトガソリンなどで奇麗に落とします。
D: 絞り羽根を組み立て、固定部と組み合わせます。

⑥絞りユニットの組み立て

A: まず固定部の位置マーキングに従って仮組みし、下段の一か所だけイモネジを仮固定しておきます。
B: クリアランス調整リングを一度締めこんだら1/8回転程戻します。
これをしないと絞り羽根のクリアランスが無くなって動きが非常に悪くなります。

C: 調整リングの固定イモネジ(上段)を締め付けます。
D: そして今度は画像Aで締め付けた下段イモネジを一度緩め、絞り連動レバー2か所を押さえながら今度は下段3個のイモネジ全てを締め付けて完成です。

絞りの動きをチェックしたら、後は逆の手順で組み立てれば完成です。

 

⑦「MINOLTA AUTO ROKKOR-PF 55mm F2」の作例

使用カメラは1インチミラーレス機のニコン1 V1になりますので、画角中央付近の評価になります。
絞り値などは忘れてしまいましたので、ご想像にお任せします💦

⑧踏切のセンサー

踏切で立往生した時に警報が列車に伝わるんでしょうね。

⑨東海道線

緑のロッコールらしい写りだと思いました。

⑩フィギュア屋外撮影

セガ Project DIVA Arcade プレミアムフィギュア “MEIKO”

⑪交差点にて

開放f2です。

⑫コスモス

⑬ビル上階

⑭トヨッキー

豊橋市のマスコット「トヨッキー」

⑮エイデン

安い家電はすっかり外国勢に圧倒されていますね。

⑯ハードオフ

ニコンのカビジャンクMFズーム35-135mmが¥330でした。
もちろん買いましたけど(苦笑)

⑰夕食

⑱ビンテージカセットデッキ

手間をかけて写真を撮るのも好きですが、手間をかけて音楽を聴くのも好きです(笑)
オートシャットオフが動かなくなったので修理しました。

開放から良く写り、緑のロッコールらしさを楽しめるレンズの一つだと思います^^

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【ミノルタ「MINOLTA AUTO ROKKOR-PF 55mm F2」分解・清掃・作例】でした!

 

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