◎今回はボロボロで誰にも見向きもされず、何か月もリサイクルショップのジャンクボックスの片隅に埋もれていたミノルタ「minolta-16PS(ミノルタ16PS)」を買ってきて分解・清掃し、外したレンズをミラーレスカメラに付けて撮影した時の記録になります。
この「minolta-16PS(ミノルタ16PS)」のルーツは大日本帝国陸軍のスパイカメラを設計していた「西村雅貫」氏のいる甲南カメラ研究所で作っていた「ミカオートマット」が起源らしいですね^^
そしてレンズに困っていた甲南カメラ研究所が千代田光学精工(ミノルタ)にレンズ製造を依頼して「コーナン16」が発売され、それが「ミノルタ16」になり、そのレンズは「ミノルタ16P」に受け継がれたみたいです。
初期の「ミノルタ16P」は1960年に発売され、製造は「CHIYODA KOGAKU」と書かれており、フロントパネルには「シンクロ用1/30秒のシャッタースピード切換スイッチ」はありません。
今回の「ミノルタ16PS」は製造が「MINOLTA CAMERA」と書かれていてフロントパネルには「シンクロ用1/30秒のシャッタースピード切換スイッチ」があります。
あとこのカメラは企業マーク(シチズンのCちゃん・エースコック)の入った物も僅かに出回っているらしいです。
P.S. 何とつい最近、「Citizen Cちゃん」のロゴ入り16Pをゲットしましたので、一番最後に画像を載せておきます。(2021/06/02更新)
1964年発売 当時の価格は¥3.900 フィルム: 16mmカートリッジ
外寸: 103x27x42mm 重さ: 120g シャッター速度: 1/30(ストロボ時)・1/100固定
焦点調節:固定焦点 フィルム巻き上げ: ノブ式 フィルムカウンタ: 逆算式枚数計
レンズ: 3群3枚 トリプレット構成 ROKKOR 25mm F3.5 最小絞り: F16
光学ファインダー:透視式 露出: お天気マークにセット方式
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①フロントパネルの取り外し~
A: まずサイドにあるシンクロ接点を反時計回りに回して外します。
B: フロントパネルの左側は爪で引っ掛けてありますので、ファインダー側から取り外します。
この時にファインダーのガラスが落ちますので注意して下さい。
C: 左側面にあるネジを外します。
D: 三脚用ねじ穴パーツを固定している3本のネジを外します。
②内部メカの取り外し
A: ファインダーは固定されていないので、シンクロの電極に注意しながらそのまま引き抜き、奥から三脚用ねじ穴パーツを取り外します。
B: ASAダイヤルを40くらいにセットし、シャッターボタンを押しながらファインダー側を押して内部メカを取り出します。
この時にASA調整ダイヤルが脱落するので注意して下さい。
C: ASA調整ダイヤルは置いてあるだけなので、外した他の部品と一緒に保管します。
D: 外したメカを弄る時は気づかないうちにバネや接点が外れたりするので、予め確認用の写真をあらゆる角度から撮っておくと安心です^^;
③内部メカの分解
A: アイレットを横にずらしてセットで外します。
B: フィルム室の蓋はピンが溝に入れてあるだけなので、リリースボタンを動かして外しておきます。
C: ASA調整ダイヤルと連動している部品は嵌めてあるだけなので、上に引き抜けば外れます。
D: 調整部を固定しているセンターの大きなネジを外し、お天気マークの付いたASA可動表示板を外します。
この時に小さなワッシャーが入ってますので慎重に外してください。
④内部メカの分離
A: 乗っているワッシャを外したら、絞り環プレートを上に引き抜いて外します。
この時に絞り羽根に入るピンの位置を良く観察しておくと良いです。
B: フィルムカウンターの円盤に掛かっているリターンスプリングの取り付け位置とテンションを確認をしっかり確認しながら円盤を外します。
(このカメラはカウンタのリターン機構が錆で崩壊しており、実際の仕組みが分からなかった為にリターン機構を自分で製作しました…💦)
そして作業の支障となるシャッターボタンも外しておきます。
C: 巻き上げダイヤルをフィルム室のネジを外して取り外し、部品の山が欠けていないか点検しておきます。
今回は錆びが回っていたので右上のシャッターリンクを外しましたが、錆びていない場合は外す必要はありません。
そして丸印のネジ4本を外します。
D: 赤矢印の接点に気をつけながら内部メカを分離します。
(接点は外しておいた方が良いですが…^^;)
⑤レンズの取り外しと清掃
A: まず絞り羽根2枚の配置と位置を確認して取り外します。
B: レンズは取付角度を必ずマーキングしてから取り外します。
(マーキングしないと絞り羽根が破損したり動かなくなる可能性があります)
C: 分解する時はレンズの向きをマーキングしてから清掃し、組み立てます。
D: このカメラは錆びが回っていたので可動部は全て分解し、錆取り給油を行いましたが、問題ない場合は給油のみでOKです。
(給油と言っても筆で油膜を張る程度です)
⑥錆取り~組み立て
A: 錆取りをした部品(問題無い時は必要ありません)
B: 一応ここも分解して錆取り&給油しておきました。(問題無い時は必要なしです)
C: 逆の手順で組み立てていきます。
この時に絞り羽根がレールに沿ってスムーズに動くか確認して下さい。
D: シャッターボタンはとりあえず仮止めします。
接点は入る位置をしっかり確認します。
⑦組み立て
A: シャッター羽根のスプリングやこの辺りのスプリングは作業中に外れている事が多いので再度確認しておきます。
B: このカメラはフロントパネルスイッチの軸部分のアルミが腐食してスイッチが固着していました…
スイッチはプラスチック製なので破壊しないように分解するのが大変でしたが、何とか腐食部分を削って動く様にしました^^;
C: ASA調整ダイヤルをケースに組み、組み合わさる位置を確認しておきます。
D: 内部メカに全ての部品を組んだら、シャッターボタンを押しつつアイレットをケースに差し込みます。
⑧組み立ての注意点など
A: ASA調整ダイヤルの溝にしっかり入れつつ、内部メカをアイレット側に押しながら内部メカをケースに入れます。
B: 内部メカを組んだらアイレットの爪部分をしっかり引っ張っておきます。
C: シャッターボタンの位置を上面パネルを見ながら調整してネジを締めます。
D: ファインダーを組み込みますが、電極は縞線の位置に来るようにします。
⑨組み立て完了
A: ファインダーと電極の位置関係です。
B: フロントパネルにファインダーの対物ガラスを入れ、爪はここに入ります。
C: ガラスを落とさない様に傾けながら左の爪を組み合わせ、右の接点側を組み合わせます。
D: フロントパネルを組んだら電極の穴がセンターに来るように調整し、シンクロ接点を取り付けて完成!
各動作チェックをし、問題が無ければOKです。
因みにこのカメラは外装がかなり汚かったので、頑張ってピカピカに磨き上げています^^;
⑩「ROKKOR 25mm F3.5」の作例
使用カメラは1インチセンサーのミラーレスカメラ「ニコン1 V1」で、センサーが16mmフィルムの感光面より大きい為に周辺の流れや周辺減光が大きく感じると思います。
作例は全て絞り開放で撮影しています。
⑪お店の宣伝旗
ちょっと露出を上げ過ぎました^^;
⑫曇った日の小さな公園
⑬ハルジオン
⑭川沿いの道
⑮ちょっとぐるぐるボケ
⑯ブツ撮り(ディフォルメフィギュア)
⑰ブツ撮り(フィギュアバストアップ)
⑱ビッグホイールカー
開放から中央はシャープに写り、周辺減光や周囲の流れはトリプレットらしいと思いました。
以前撮影した同じ構成のヤシカ16の方も似たような傾向でしたが、ヤシカ16の方が写りが僅かにシャープな感じがしました。
でも周辺の流れやぐるぐるボケはヤシカ16の方が多かった気がします。
☆追加画像「Citizen Cちゃんのロゴ入り16P」
何と最近まさかの「Citizen Cちゃんのロゴ入り16P」をゲットしました^^
調べてみたらシチズンから1960年12月に発売された「Citizen Homer」の発売を記念した製品らしく、ベースのミノルタ16Pが発売された3ケ月後に登場しています。
驚いた事に印刷ではなく、アルミの外板に彫ってグレーの塗料で墨入れされるという手の凝りようでした。
「Citizen Homer」は2000年にシチズン70周年を記念して限定で再生産されましたが、それにも「Citizen Cちゃん」のカラーロゴが文字盤に印刷されています。
初期の「Citizen Homer」は今は亡き祖父が使っていたので懐かしいですね^^
◎カメラの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、カメラの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしカメラを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【ミノルタ「minolta-16PS(ミノルタ16PS)」の分解・清掃・ミラーレスカメラでの作例】でした!
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