◎「SIGMA MICROMACRO YS 100mm f2.8」を分解・清掃し、作例を載せてみました。
このレンズの大きな特徴として「SYSTEM FOCUSING」があり、フォーカスリングとは別に撮影倍率調節リングがある珍しいマクロレンズになっています。
マウントは1960年代に使われた交換マウントシステム(シグマの山木社長の頭文字を使ったヤマキ・システム)である「YSマウント」が使われています。
あとこの時代のシグマレンズは絞り開放から「ソフトフォーカス」が出来るレンズが多数あり、このレンズもそれに該当しますが、それが誤解や誤評価に繋がっていたりするのが残念だったりします(汗)
なので海外の評価をグーグル翻訳したものを載せておきます。
☆ペンタックスフォーラムより
「この100mmマクロは、シグマのYSレンズの非常に独特なファミリーに属しています。彼らの空想性は、例えば、システムフォーカシングの多様性をより興味深くするので、それらを鋭さなどで判断すると、彼らに正義はありません。実際、2つの焦点調節システムがあります。1つは大きな焦点調節リングです。0.85mからinfまで焦点を合わせることができる典型的な焦点調節です。 2つ目は、レンズの前面から見られる「システムフォーカシング」です。 1:1の再現までのマクロ撮影用です。シグマが伝えていないのは、使用すると画像にソフトな輝きを加えるため、ソフトフォーカスにも使用できることです。回すほど、柔らかさが増します。絞りとこれら2つの焦点調節システムを使用することで、写真をシャープから非常に柔らかくすることができ、巨大な輝きとクリーミーな背景が得られます。並外れたレンズが好きなら、私はこれ(および他のシグマYSレンズ)を暖かくお勧めします。」
…とこんな感じです^^
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①それではレンズを分解・清掃していきます
前のフードになっている部分を反時計方向に回して外します。
ここはレンズフィルターを取り付ける場所になっていて、フィルター径は40.5mm。
②前群レンズユニットと中玉ユニットを外します
ここで注意しないといけないのは「前群ユニット」は位置が調整されており、必ずマーキングするか写真を撮り、更に何回転で外れたかをメモしておきます。
そして中玉ユニットも一応位置マーキングをして外します。
でもこのレンズって無限遠側で「撮影倍率調節リング」を反等倍方向に回すと「前群ユニット」と「中玉ユニット」のレンズが当たるんですよね…
仕様だと思うのですが、強く回すとレンズがキズ付くので注意が必要です。
(これは海外のコメントでも書いてありました)
③「前群ユニット」を分解し、それぞれのレンズを清掃します
レンズとスペーサーは外した時に必ず向きをマーキングしておきます。
向きが無いように見えても実はあったりしますから(汗)
中玉は状態が良かったので、枠に嵌たまま軽く清掃しました。
④YSマウントを外し、遮光カバーを外します
ネジ3本を外し、遮光カバーを外しますが、この時に絞りピンがポロッと脱落しますので紛失しないように注意します。
⑤絞りリングを外します
絞りリングを外す前に本体にあるレバーとの噛み合い具合をチェックしておきます。
そして外す時は本体側にクリックボールがありますので、慎重に上にずらす感じで外します。
⑥これが絞りリングのクリックボール
絞りリングを外したら、クリックボールとスプリングを磁石やピンセットなどで外して保管しておきます。
組む時はグリスを塗り、、「ボールを脱落しにくく」しておくと良いです。
⑦後群のレンズを外します
この場所のレンズはレンズを押さえている筒を外せば外す事ができます。
でも自分のレンズは固着していて抜けず…
仕方なく写真⑧の様に全バラして取り外しました(汗)
外したレンズとスペーサーには向きのマーキングを忘れずにしておきます。
⑧全バラの図
全バラして思ったのですが、後群部分をドライヤーで温めた後、前からレンズクリーニングペーパーを付けた棒などで突けば外れたと思いました^^;
(もしくはレンズサッカーなどで外す)
時に「回り道」をする事もありますね…
仕組みもちょっと分かったので勉強代です(汗)
そして後はレンズを清掃し、マーキングを確認しながら組み立てて完了です。
⑨「SYSTEM FOCUSING」(撮影倍率調節リング)作動の様子
フォーカスリングが無限遠の状態では「SYSTEM FOCUSING」(撮影倍率調節リング)は隠れています。
当然この状態では「撮影倍率調節リング」を回す事はできません。
⑩フォーカスリングを近距離側に回していくと…
フォーカスリングを回す度にニョキニョキっと撮影倍率調整リングが出てきます。
そしてフォーカスリングが最短撮影距離になると撮影倍率調節リングが全域回るようになっています。
⑪撮影倍率調節リングを等倍まで回した状態
マクロ域ではここを回して倍率&ソフトフォーカス具合を調整します。
倍率1.0になるとかなりソフトフォーカスがかかってボケボケトロトロになる為、ボケ具合は絞りで調整する事になります。
⑫YSマウント部
下から:YSマウントアダプター(ペンタックス用)、絞りリング、マニュアル/オート切り替え、
フォーカスリングです。
⑬「SIGMA MICROMACRO YS 100mm f2.8 SYSTEM FOCUSING」の作例
風景撮影
確かあまり絞ってなく、f8.0くらいだったと思います(汗)
撮影に使ったカメラは「CANON EOS KISSx3」でAPS-Cでの評価となります。
⑭車のテールランプ
⑮花とバッタ
マクロ領域ではなく、撮影倍率調節リングを使わない状態だと普通の100mmレンズです。
⑯マクロ領域+撮影倍率調節リング1/2
絞り開放付近で撮影倍率調節リング1/2だと、ソフトフォーカス具合はこんな感じです。
手持ち撮影&草が揺れていたので上手く撮れませんでした(汗)
⑰マクロ領域+撮影倍率調節リング1/1
絞り開放で撮影倍率調節リング1/1だともうボケボケトロトロになります。
昔はレンズ単独でソフトフォーカスできる事が受け入れられた時代でした。
50年前ですから、尚更ですよね^^
⑱ブツ撮り(プライズフィギュア)
⑲最短撮影距離&撮影倍率調節リング1/1で絞りf8、f5.6、f4、開放f2.8
こんな感じでソフトフォーカス具合が変化します。
今となってはノスタルジックな機能ですが、当時は画像をデジタル加工できなかったので便利な機能だったんでしょうね^^
しかしながらマクロ撮影で開放から被写体をクッキリ写したり、ボケを活かした撮影はできないので用途は絞られると思います。
とにかく個性的なマクロレンズだと思いました♪
☆レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、落ち着いて慎重に行って下さい。
あと自己責任でお願い致します(汗)
以上、【「SIGMA MICROMACRO YS 100mm f2.8」分解・清掃・作例】でした!
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