◎とあるリサイクルショップへ行ったら、ジャンクカメラ棚の隅にボロボロサビサビなフジフィルム「フジカGP」が静かに佇んでいるのを発見。
そのかなり酷い状態に一時は躊躇して棚に戻したものの、価格が¥330だったのでダメもとで買ってきてみました。
でも気になる事があって、それはカメラを振ると中で沢山の部品が転がっている音がするんですよね…(汗)
フジフィルム フジカGシリーズ「FUJICA GP」 1972年発売 重量約390g
当時の価格は¥18.900 レンズはフジノン35mm/f2.8(3群4枚)
シャッター速度(晴天1/250、曇り1/30)優先EEカメラ
ガイドナンバーをセットすれば、撮影距離によって絞りが変わるフラッシュオートマチック機能、4点ゾーンフォーカス、フィルター径49mm
1971年9月発売の「フジカ35FS」の改良版で、巻き上げレバーを引くと「背面にあるフィルム送りの確認窓」でフィルム送りが確認できる他、シャッターチャージ完了(緑→赤)を知らせる「シャッターチャージシグナル」が上面に追加されています。
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①それでは分解・清掃していきます!
A:電池が液漏れしてボロボロになっていないか心配でしたが、中に入っていた東芝製のH-D(MR-9)型水銀電池は無事でした!
とりあえず接点を銅ブラシと金属磨きで綺麗にしておきます。
B:蓋は何もせずに開いてしまい、しかも何か部品が出てきました(汗)
どうやら売る前にフィルム室の開け方が分からなかったらしく、ドライバーで無理矢理こじ開けた形跡があったんです。
その時にロック爪が外れてしまったのだと思いました^^;
C:ロック爪の取り付け
ここはカシメで固定してあるので、何とかカシメ部分を通して金属用の接着剤で固定しておきました。
あとこじ開けたせいで蓋も変形していたので板金しました。
D:左右と手前(長い)の3個のネジを外し、「巻き戻しノブ」のフィルム室側を固定して「巻き戻しノブ」を反時計回りに回せば「巻き戻しノブ」が外れるので、上のカバーを取り外す事ができます。
そしてシャッターボタンは挿してあるだけなので外して保管します。
この時に1の部分の配線のハンダ付けを取り外しておくと作業が楽になります。
因みにケースの中に蜘蛛の巣があったのはここだけのお話です(笑)
②ファインダーを清掃します
A:汚れっぷりはご覧の通りであります(汗)
ぶっちゃけ、ファインダーを覗いても向こうが見えないくらいでした。
B:紙製の上面カバーを取り外し、それぞれのレンズやガラス(接着剤が劣化しているので簡単に取り外す事ができます)を取り外して、クリーニング液でファインダー内を清掃しました。
C:しかしここでファインダー内の情報表示が二重に見え、しかもとても表示が薄くなっている事に気付きました。
ネットでいろいろと情報を調べると、それは「ハーフミラーの反射コーティング膜が剥がれてしまった事による現象」だと分かりました。
(Bの斜めになっている左側のガラス)
どうやらコーティングがかなり劣化してたらしく、汚れと勘違いして拭き取ってしまったようです(汗)
ここにハーフミラー(マジックミラー)の代替品を付ければ機能を回復できます。
修理は部品調達の為に一番最後⑧に載せました。
③底蓋を開けると、パーツがコロコロ落ちてきました
A:買った時からカメラの中で賑やかな音がしていたんですよね(笑)
底蓋を開けたらこれだけのパーツが出てきました。
B:1のパーツはここに取り付けられていた様で、ホットシューカバーを取り外すとファインダー内にストロボマークを表示させる為のプリズムでした。
接着して取り付け直しておきます。
C:2のパーツは「フィルム送り確認用のドラムを押さえているパーツ」と分かりました。
これも劣化して割れていたので、接着して取り付けておきました。
3のパーツは巻き上げレバーのストッパーを固定していたプラ部分と判明。
表側のパーツは紛失しているので、代わりにこれを接着して取り付けておきました。
④外装のサビ取り
「銅ブラシ」と「100均のサビ取り」を使って表面のサビを全て取り除きました。
プラスチックや窓は傷が付くので注意します。
でもブログ友達の想桜さんに、サビ取りは「クリームクレンザー ジフ」、外装は「ウタマロ クリーナー 住宅用クリーナー」を使うと本体や印刷を痛めずに綺麗になると教えていただきました。
細かい場所は綿棒や爪楊枝を使っておられるそうです。
想桜さんありがとうございます♪
あとこの時に接着剤の劣化でファインダーの窓やフィルム送り確認用の窓がポロポロ取れました(汗)
改めてしっかり接着し直しておきました^^;
⑤ここまで綺麗になりました
パーツごとに綺麗にして、ここまでサビを落とす事ができました。
部品を固定している接着剤は確実に劣化していますので、接着剤を削って塗付し直しておいた方が後々安心だと思います。
あと各部品はパートごとに100均の小袋に入れておくと組み立ても楽になるのでおススメです^^
⑥レンズの分解・清掃
A:まずは銘板を固定しているリングナットを外します。
B:銘板を外します。(この時に窓を接着し直した方が良いです: 接着剤劣化の為)
C:露出ダイヤル部分をネジ3個を取り外して外しますが、CDSの配線があるので注意!!
自分は本体内からCDSの配線をピンセットで送り、Cと本体の隙間を広げてCDSを取り外しました。(⑦のA参照)
とにかく配線を切らない様に作業するのが大変でした。
D:ピントリングを取り外す時は銅製(⑦のC参照)のコロがありますので、仕組みと向き、位置を把握するか、写真を撮っておくと良いです。
E:レンズの位置をマーキングし、取り外して清掃します。
そして元通りに組み立てます。
⑦レンズ部分の注意点と後玉清掃
A:上記⑥のCを取り外す時にCDSの配線を切らない様に取り外す必要があります。
この時は本体側の余った配線をレンズ側に押し出すと作業が楽になります。
組む時は配線を本体内部から切らない様に注意しながら引っ張って戻しておきました。
B:後玉を清掃する時はシャッター機構に銅製のコロを噛ませてシャッターを開けっぱなしの状態にし、前とフィルム室から後玉レンズを清掃しました。
C:ここの仕組みを忘れないで下さい。
自分は不意に分解してしまい、しかも写真を撮るのを忘れた為にちょっと苦労しました。
間違っているかもしれないので、前もって良く確認しておいて下さい(汗)
D:ハーフミラー修理用に100均で買ってきた「ハーフミラー保護フィルム」
車のフィルムは蒸着が荒く、また糊が多量に塗ってあるために、カメラのファインダーに使うと像がボケるみたいですね^^;
その点これは日本製で蒸着も良く、また糊は極薄なので像に影響が出にくくなっています。
⑧ハーフミラーの修理
A:上の蓋を開ける時は巻き戻しノブのワッシャー紛失と、センター手前のネジは長いので注意する必要があります。
B:簡単に剥がれてしまったハーフミラーのコーティング。
本来は金色に輝くコーティングなので、代替品を付けるとファインダー内の表示は本来の黄色から白になってしまう欠点があります。
気になる場合はプラモデルのウインカーに使う「クリアイエロー」を第1ミラーか、表示用の採光ガラスに薄めて塗るのもアリかもしれません。
もしくは黄色のセロファンを入れるなど…etc
C:代替品のハーミラーをカットして貼ります。
気泡が残らない様に綿棒で気泡を押し逃がしておきます。
B:バッチリ直りました!
この「ハーフミラー液晶保護フィルム 日本製」はダイソーで売っているのでおススメです^^ 2020/03/23現在
⑨こんな感じで「フジカ GP」の分解・清掃は終了しました
ほぼ完成なんですが、フィルム蓋とかの仕上げはまた後日のんびりやろうと思っています。
これだけ酷かったのに、巻き上げ、シャッター、絞りは正常に動いています。
でも電気関係は狂っているかもしれません。
とりあえず今回は分解・清掃なので、電気系で何かあったら追記するかもしれません^^
⑩やはり電気系とシャッター&絞りが正常に動いてませんでした。
A:まず上下カバーを外し、レンズをむき出しの状態にします。
貼り革を剥がし、レンズボードを固定している4本のネジを外し、レンズボードを配線に気をつけながら外します。
B:ここの配線はこちらのハンダ付けを外します。
(電池ボックス側はプラスチックなので溶けてしまいますが、どうしても外したい場合はピンセットなどで熱を逃がしながら行って下さい)
ボディ側の配線は全て外しておきます。
C:本来、押すと戻ってくるはずの露出針が戻ってこない事が判明しました。
D:ここを回し、針が戻ってくるポイントに余裕をちょっとプラスして調整します。
これで露出メーターは動く様になりました。
露出計を使い、晴れ1/250でファインダーの絞りが合致していなかったら半固定抵抗で調整する必要があります。
⑪シャッター、絞りの清掃
A:レンズボードからレンズ&シャッターユニットを取り外します。
外す前に各リンクの繋がりをチェックしておきます。
B:このカメラはユニットごとに分割し易く設計されており、外した状態で組めば元に戻ります。
でも間違えるといけないので、外した状態のリンクの位置の写真は撮っておいてください。
C:今回は手抜きをしました^^;
レンズを外し、そのままベンヂンの中で丸ごと洗浄しましたが、とても動きが良くなりました。
(レンズの後玉はネジ止め剤が塗付してあり、固くて外れない時は諦めた方が無難です)
D:元通りに組み立てます。
光量によって絞りも変化しますし、シャッターの動きは嘘のように快調になりました^^
やはり古いカメラはあちこちガタがきていますね~~
⑫FUJINON 35mm/f3.5の作例(レンズ形状の問題で至近距離のみです)
レンズ設計外の至近距離なので、あまり参考にならないと思います^^;
◎カメラの分解・清掃はリスクが伴いますので、落ち着いて慎重に行って下さい。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、参考程度にして下さると嬉しいです。
あとカメラの分解・清掃は必ず自己責任でお願い致します(汗)
以上、【フジフィルム「FUJICA(フジカ) GP」分解・清掃・ハーフミラー修理】でした!
コメント
こんにちは。
自分も古いカメラの修理を楽しんでいるのですが、メッキの錆取りに難儀しています。
このように、真鍮ブラシ?と錆びたりクリーナーで磨くと、綺麗におちるのでしょうか?
金属のブラシで磨くとメッキ面が傷だらけになるのかと思っていました。
もし教えて頂けますと幸いです。
こんにちは^^
夏バテでお返事が遅れてしまって大変申し訳ありません
シャッターボタンなどのメッキ面は銅ブラシで擦っても大丈夫ですが、軍艦部などのカバーは銅ブラシで強く擦ると傷が付く事があります。
なのでカバーなどは「錆び取りクリーナー」とウエスなどで丁寧に磨きあげた方がいいです^^
使い方としてはクリーナーを塗って3分ほど待ってからウエスで仕上げるといいと思います。
あと頑固な錆びは銅ブラシで優しく撫でる感じでやっています。
お返事が遅れて申し訳ありませんでした