◎ペンタックスの大衆機で発生する「撮影した画像が真っ暗になる黒死病」はK-30、K-50、K-70、K-S1、K-S2に多く発生しているみたいで、一桁機のK-3やK-5は大丈夫みたいです。
(2023/6/28更新 記事を大幅に修正し、内容をソレノイド交換に変更しました)
(2024/03/04更新 Aさんのコメントより、ソレノイド交換をしなくても、ソレノイドの馬蹄型部品だけを日本製に交換するだけでいいそうです! Aさん情報ありがとうございました😄)
P.S. この対策では暫くは安定して動きますが、時間が経つとやはりダメになる事が多いみたいです💦
暫定的に調子良く動かすには効果的ですが、やはりユニットごとの交換が理想かもしれません。(2024/09/30追記)
でもそれを知ったのはつい最近で、K-30やK-50以外なら大丈夫だと思ってK-S1を買ったのが運の尽きでした💦
AFレンズを付けると撮影した画像が真っ暗…
マニュアルフォーカスのレンズや電磁絞りのレンズなら大丈夫なんですが、初期のAFレンズばかり所有している自分は困ってしまいました。
半年放置した後、意を決して黒死病を治療してみる事にしました。
①ペンタックス K-S1の黒死病
撮影モードや絞り値を変えて撮影しても画像がこんな感じに写る時は黒死病と判断できます💦
もちろんISO感度や露出を上げれば多少は明るくなるものの、とても使い物になりません。
修理せずに使うならマニュアルフォーカスレンズか電磁絞り(KAF4マウントレンズ)のレンズを使うのが良いですが、一般的ではなくなってしまいます。
ローパスフィルターレス、ISO51200、視野率約100%のファインダー、ボディイルミネーションなど多機能でコストパフォーマンスの高いカメラだけに、ちょっと残念ですよね💦
◎ペンタックス K-S1 2014年9月発売
2042万画素 ISO51200 連写速度5.4コマ/秒 ファインダー視野率100
モニター白画素入り92.1万ドット ローパスフィルターレス
シャッタースピード1/6000 手ブレ補正SR3.5段 11点(クロス9点)AFシステム
②それでは分解していきます
A: グリップゴムを剥がしたら見える3本のネジを外します。
外した部品は100均の小袋に入れ、各取り付け場所を書いて保存しておくと良いです。
B: グリップ部のネジ配置はこんな感じで、一番下がタッピングの長い物になっています。
C: バッテリーの蓋を開けて見える2本のネジを外しますが、右の方はサイドパネルを押さえるパーツも一緒に外れます。
D: バッテリーボックスの奥に見えるネジ1本も外します。
②サイドパネルの取り外し
A: バッテリーボックスのネジはこんな構成になっています。
B: 端子カバーを開け、貼ってあるシールの下部を剥がしたら、見えるネジ1本を外します。
C: サイドパネルは真横に引き抜く感じで外します。
D: ストラップの吊り金具部にある2本のネジを外します。
③フラッシュ部のネジ外し
A: アイピースを外し、見えたネジ2本を外します。
B: フラッシュをポップアップさせたら見えたネジ3本を外しますが、左上のネジは長い物が使われています。
C: 端子側にあるフロントパネルを固定しているネジ2本を外します。
D: フロントパネル固定の外したネジはこんな感じです。
④フロントパネルの取り外し
A: カメラ底部にある3本のネジを外しますが、三脚ねじ穴用のネジだけ短い物になっています。
B: AF切り替えスイッチ側のネジ3本を外しますが、ここも上部だけ長いネジが使われています。
C: そしてゆっくり慎重にフロントパネルを前方に引き抜きますが、必ずフラッシュの固定部が引っ掛かりますので、次のD画像を参照して下さい。
D: フラッシュ部をかなり持ち上げないとフロントパネルは外れませんので、フラッシュの配線に気を付けながら持ち上げてフロントパネルを外します。
⑤ソレノイドプランジャーの取り外し
A: フロントパネルが外れた状態で、フラッシュ付近には高電圧が流れていますので注意して下さい。
B: ソレノイドを固定しているネジ1本を外し、ソレノイドを浮かせて中のプランジャー(鉄心)をピンセットなどで取り外します。
C: このプランジャーには向きマークが刻印されていますので、取り付け時は必ず刻印を外側にして取り付けて下さい。
☆2023/06/28更新
プランジャーのハンダ盛りよりソレノイド交換の方が確実と判明しました💦
ハンダ盛りなどで直しても長時間放置すると再発する可能性が高いです。
下記にMZシリーズとのソレノイド交換を追加しましたのでご覧ください。
申し訳ありません。。
ここからが問題で、このプランジャーの凸部を加工するか、凹部を加工するかでネット上の対策は分かれています💦
個人的な見解では、このプランジャーが帯磁してソレノイドのコイルの磁力では制御できなくなって黒死病になると思いました。
10回ほど分解修理&試写した結論として、プランジャーがソレノイドにちょっと磁力でくっつくぐらいにすると黒死病は直る感じです。
くっつく力が強すぎると黒死病に、弱すぎると白死病やシャッター機構が変な動きをします。
最初は凹部にハンダを盛って組んでみたのですが、ソレノイドのプラスチック部に当たって不安定になる気がしましたし、何よりソレノイドのコイルが痛みそうなので自分はやめました。
もちろんこれは個人の判断に任せます💦
と言う事で、今回は凸部にハンダを盛ってみる事にしました。
D: ハンダ盛りを行う場合、消磁はしない方がいいです。
自分はこれをやった為に500ショットほどで帯磁が始まり、上手くいったハンダ盛りの結果がダメになってしまいました💦
⑥凸部にハンダ盛り
A: 半田ごて、フラックス、ハンダと固定用のクリップを用意します。
B: ハンダを盛る面をちょっとヤスリがけしてフラックスを塗布したら、ハンダを盛ります。
C: ここからは本当に試行錯誤でした。
削ってはカメラに取り付けて試写を繰り返した結果…
プランジャーを消磁した時は盛り付け全長7.15mmで良くなったのですが、500ショットほどで帯磁したのか黒死病が最初のショットだけ発生するように。
一応、プランジャーに盛ったハンダが叩かれて全長が短くなったかと思ってチェックしましたが、測定の結果7.15mmを維持していました。
D: また分解して7.19mmにし、取り付け直後は白死病が数ショット出ましたが、今はとても安定しています。
とりあえず現在は快調なので、また問題が起きたらこの記事を訂正していこうと思います。
このまま快調に動き続けてくれたら嬉しいのですが💦
果たして…
⑦組み立ての注意点
A: フロントパネルを組む時は必ず電源スイッチを動画にしておきます。
B: 理由は電子接点の破損を防ぐ為です。
C: フロントパネルを組む時はAF切り替えスイッチを必ずMFにし、カメラ側の切り替え部も上にセットしてフロントパネルを組みます。
フロントパネルを組んだらスイッチを動かし、マウントにあるAF駆動ピンが出入りするかチェックして下さい。
D: 外した部品は100均のチャック付き小袋へパートごとに名前を書いて整理しました。
組み立ては逆の手順で行って下さい。
この記事には続きがあります💦
☆2023/05/31更新
Maksimさんよりコメントを頂き、ソレノイドを交換する方法を教えて頂きました。
「K30、K50、K-C1 カメラではこの問題を解決する実証済みの方法があります。
これを行うには、ソレノイドを MZ-30 などのペンタックス MZ シリーズ カメラの高品質ソレノイドと交換するだけです。
それらは白色で、中国の緑色のソレノイドの代わりに完全に適合します。
ただし、ペンタックス MZ5 および MZ10 には異なるタイプのソレノイドが搭載されているため、ドナーとして受け取らない方がよいでしょう。」
もし現在の状態でまた黒死病が発生した時はこの方法を試してみたいと思います^^
この度は素晴らしいアドバイスありがとうございました!!
◎やっぱり長時間放置すると不安定になるので、ソレノイド交換を実施致しました。
A.ドナーであるMZ-50を分解します
A: ドナーに関しては上記のMaksimさんのコメントを参照して下さい。
B: 底蓋を外します。
C: こんな感じで底蓋が外れます。
D: 右のグリップ部を外します。
B. どんどん分解します
A: マウント周りのカバーを外します。
B: 左のグリップを外します。
C: 外れるとこんな感じですが、フラッシュのコンデンサーの電極には絶対に触れないで下さい。
D: これが今回摘出するMZ-50の白色ソレノイドになります。
C: ソレノイドの交換
A: ソレノイドに付いているフレキシブルケーブルを半田ごてで外し、ソレノイドとプランジャーを慎重に取り外します。
B: これがMZ-50に付いている白色ソレノイドになります。
C: ソレノイドの比較
おそらくK-S1のは帯磁し易い材質を使っているのかもしれません。
D: ソレノイドをK-S1に移植します。
D.完成! 結果は一発で安定して動き始めました…
この修理方法を知ってはいたのですが、ハンダ盛りで直ると信じ込んでいた自分の失敗です。
ハンダ盛りで直している方達には大変ご迷惑をおかけしました💦
2023/10/03: カメラは絶好調で、今のところ黒死病は全く発生していません。
⑧黒死病を克服したペンタックス K-S1の作例
使用レンズは「smc PENTAX-DA 18-55mmF3.5-5.6AL」になります。
⑨公園
⑩ハルジオン
⑪伸びる道路
⑫ドフ
⑬空
⑭夜のドフ
とても良いカメラですね😄
黒死病が無ければ、これほどスペック的にコストパフォーマンスの良いカメラはありません。
最近はモノクロ専用のカメラも出したので、これからもペンタックスに頑張って欲しいです。
◎カメラの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、カメラの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしカメラを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【ペンタックス K-S1 撮影画像が真っ暗になる黒死病の修理】でした!
コメント
こんにちは。 K30、K50、K-C1 カメラではこの問題を解決する実証済みの方法があります。 これを行うには、ソレノイドを MZ-30 などのペンタックス MZ シリーズ カメラの高品質ソレノイドと交換するだけです。 それらは白色で、中国の緑色のソレノイドの代わりに完全に適合します。 ただし、ペンタックス MZ5 および MZ10 には異なるタイプのソレノイドが搭載されているため、ドナーとして受け取らない方がよいでしょう。
Maksimさんこんにちは!
素晴らしい情報ありがとうございます♪
実はその方法を自分もネットで調べて知ってまして、MZシリーズをリサイクルショップで探してみたのですが、見つかりませんでした^^;
でも今の処置でまた症状が出るようでしたら、今度はオークションなどで探して交換してみようと思っています。
その時はMaksimさんのご紹介で記事を更新して載せようと思います。
この度はご訪問&アドバイスありがとうございました^^
ハンダづけでソレノイドごと交換しなくても、緑色の中国製ソレノイドの馬蹄型部品を外して、日本製の白いソレノイドから外した馬蹄型部品と交換すれば良好に動作します。
初めまして
そうなんですか!
言われてみれば、確かに悪いのはソレノイドの馬蹄型部品だけですからね
情報ありがとうございます!
記事にも修正をかけておきます♪
それ僕も試しましたが、半年で黒死病になり、ユニットごと交換しました。今は絶好調に作動しています。
よっちゃんさんコメントありがとうございます!!
やはりユニットごとの交換が理想っぽいですよね
自分のも動きが怪しくなってきたので、貴重なご意見ありがとうございました^^;
馬蹄形部品の交換で使用をあきらめていたK-S1が復活しました。分解、組み立てにはこの記事とAさんのコメントが大変役に立ちました。とてもわかりやすかったです。どうもありがとうございました。
お返事が遅れて申し訳ありません
KさんのK-S1が無事に復活されて自分も嬉しいです♪
またこれでK-S1を楽しめますね^^
自分のK-S1は未だに快調を維持しています。
こちらこそご訪問&コメントまでありがとうございます!