◎今回はキャノンが1979年6月に発売した「Canon New FD 28mm/f2.8」を分解・清掃してみました。
因みに今回はちょっと暇が無くて、絞り羽根の清掃やヘリコイドのグリスアップまではできませんでした^^;
(絞り羽根やヘリコイドに問題はありませんが、ネタ的にやりたかったです)
補足として純正フード「BW-52B」のストッパーがスカスカになっていて固定できない対策修理も行ってみました。
1979年6月発売 発売当時の価格は¥35.000 レンズ構成: 7群7枚
絞り羽根枚数: 5枚 最小絞り: f22 最短撮影距離: 0.3m 最大撮影倍率: 0.13
フィルター径: 52mm 外寸: 63x40mm 質量:170g 多層コーティング
☆当時のカタログの謳い文句
手頃な明るさが人気の、もっともポピュラーな広角レンズ。
従来から小型軽量が自慢のこのレンズをさらにコンパクトにしてしまった。
全長わずか4㎝、重量210g。 ←?(間違ってるような…)
小型化が進んでも高解像力、高コントラストの性能は変わらない。
(一部省略)
広角レンズで問題のフレアは絞りの前後に正レンズを1枚ずつ配置することで前群で発生するフレアを後群の正レンズ1枚で補正するというアイデアで解決。
絞り開放から全画面にわたりシャープでクリアな画像を約束してくれる…
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①それではNFD28mmを分解・清掃していきます
A: まずは嵌め込み式になっている銘板を外していきます。
レンズ枠と銘板に傷を付けないようにレンズ枠には厚めの紙などを挟み、細いマイナスドライバーなどで少しずつ持ち上げていきます。
B: ドライバーを入れる場所は爪の無いこの場所が理想です。
(各爪の位置は画像Cを参照して下さい)
C: 銘板が外れたらまずフィルター枠を固定しているネジ3本を外し、フィルター枠を取り外します。
D: 前群ユニットを固定しているネジ3本を外して前群ユニットを外し、鏡筒の間に入っているスペーサーの位置と枚数をチェックして外します。
前群ユニット&スペーサーは取付位置が決まっていて、画像を見て頂けると分かると思いますが、円周右上部分のネジ穴2つの間隔が広くなっています。
(画像参照)
そして前群ユニットのレンズを清掃します。
②組むのが難しいFDマウントの分解
①画像右下: まずマウント周囲のネジ3本を外し、マウントのバヨネットリングを外しますが、組み立てる時はここの2つの溝をロック解除ボタンの場所に入れます。
②メイン画像: これはバヨネットリングを外した直後の写真で、組む時にこの状態になっていない時はどこかに問題があります。
絞りがちょっと開いた状態で各レバーの位置、赤印とピン位置の合致、マウント可動部分に傾きなどが無ければOKです。
③New FDマウントの組み立て方
①黄色丸印: 左上のレンズ側の四角いピンはこの位置にし、マウント側のちょっと大きめの四角いピンはこの辺り(赤丸周辺)に入れればOKです。
ロック爪は立っているとマウントが組めないので倒れているのを確認して下さい。
②四角印: ここのマウント側のピンは必ずレンズ側のピン上部(赤丸部分)に配置します。
ここでこのレンズ側のピンが駆動する絞りのカム(左側)がカム山を越えていたり、カムが180度ずれていると絞りが正常に動きません。(これが他のFDだと良くあるんです💦)
③三角印: ここはマウント側の凹に必ずレンズ側の凸を入れるようにします。
④青丸印: マウントを組む時は必ずここのボタンを押しながら組み立てます。
⑤マウントを押さえながら回転させて動作確認&ロック確認をします。
⑥そして画像②の状態にして、各ピンの位置、絞りがちょっと開いているか確認します。
⑦バヨネットリングを付けて完成です。
④マウント組み立て後のマウントアダプターによるチェック方法
A:画像左下: 指標の基準線のリングが割れていると「絞りを動かした時にずれてしまう」ので、接着剤で接着しておくといいです。
綺麗に接着するなら分解して取り外すのがおススメです。
メイン画像: まずマウントアダプターのロックリングをロックして、絞りリングを回し、正常に絞りが動くかレンズを覗きながら確認します。
次に絞りリングをf22にし、マウントアダプターのロック⇔オープンを動かして、絞りが動くか確認して完了です。
⑤後群レンズの取り外しと清掃
後玉の付いたカバーを反時計回りに回して外します。
そしてレンズサッカーなどで1枚ずつレンズを取り出しますが、レンズとスペーサーには必ず向きのマーキングをしてください。
スペーサーは長い年月で変形していますので、組まれていた向きを守らないと光軸がズレる可能性があります。
最後の凹レンズは向きが分かりにくいので、叩いて落とす場合は事前に何か印を付けておくと安心です。
外したレンズを清掃します。
⑥中玉の清掃
今回は時間が無かったので手抜きしました。
分解せずに前側はそのまま絞りを開いて清掃、後ろも清掃します。
この方法は埃が残り易いから嫌なんですけどね…^^;
ついでにエタノールで絞り羽根を軽く拭いておきます。
もちろん絞りの動きが悪かったり、ヘリコイドがスカスカの時は分解整備する必要があります(汗)
そして逆の手順でレンズを組み立てて完成となります^^
⑦キャノン純正フード「Canon BW-52B」のストッパー修理
A: ストッパーゴムの経年劣化でフードのストッパーが機能しなくなったBW-52B。
細いマイナスドライバーなどで劣化したゴムを全て取り除きます。
B: 今回、劣化したストッパーゴムとして代用したのが配線コードの被膜。
オーディオ用の配線の中身を抜いたものになります。
これをプライヤーで潰して溝に入れました。
C: 0.5~0.7mmほど溝から頭が出るくらいにカットするといいロック感になります。
接着剤は純正ゴムも付いてなかったので、自分も付けるのはやめました。
D: バッチリ固定できました。
純正はやっぱりしっくりきますね~
ゴムみたいにすぐ劣化しない安心感もあるので良いと思います。
⑧「Canon New FD 28mm/f2.8」の作例
雨ばかりでろくな作例がないのはご了承ください^^;
使用カメラはアイキャッチ画像と同じ「ニコン1V1」を使っています。
このカメラは手振れ補正も無く、時刻も夕方だったので、景色は全て絞り開放f2.8で撮影しています。
⑨雨降る夕刻の交差点にて
絞り開放f2.8
⑩渋滞する街中
絞り開放f2.8
⑪物撮り(キャノネット)絞り開放f2.8
絞り開放f2.8
「New FD28mm F2」には近距離補正機能が付いていて接写はとても綺麗なんですが、この「Canon New FD 28mm/f2.8」には付いていないので、ちょっと諸収差が出ます。
⑫物撮り(キャノネット)f5.6
⑬物撮り(スケールフィギュア)
⑭物撮り(スケールフィギュア)
今回は1インチセンサーでの撮影となり、周辺の解像度や周辺減光は分かりませんでしたが、景色なら開放からシャープに写り、物撮りでも割と寄れるので便利だと思います。
何より小型軽量なのでミラーレスには良くマッチすると思いました。
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【キャノン「Canon New FD 28mm/f2.8」分解・清掃】でした!
コメント