◎今回はニコンDXフォーマットの標準ズームレンズとして2004年に発売された「AF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm f/3.5-4.5G IF-ED」を分解・清掃し、ニコンD90による作例も載せてみました。
当時としては豪華なリング型(標準レンズは遅いマイクロ型が多いです)の超音波モーター(SWM駆動方式)による高速で静粛なAF、3枚のEDレンズ&1枚の非球面レンズを使った凝った光学系になっています。
もちろんここで取り上げるのは激安カビジャンクですが、このレンズの中群(前)以外はレンズがプラスチック枠を溶かして固定している「ハメゴロシ」なので、もし前群や中群(後ろ)、後群の中にカビがある場合は諦めた方が無難です。
(でもこのレンズは固定枠が弱めなので、圧縮空気でレンズを外す事ができるかもしれませんが…)
2004年6月25日発売 当時の価格は\60,480(税抜 \56,000)
レンズ構成: 13群15枚(EDレンズ3枚、非球面レンズ1枚使用) 重さ: 約390g
フィルター径:67mm 焦点距離: 18-70mm (35mm換算 :約27-105mm相当)
最小絞り: f/22-29 最短撮影距離: 0.38m(ズーム全域) フィルター径: 67mm
絞り羽根枚数: 7枚(円形絞り) 外寸: 約73mm×75.5mm
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①外装部品&マウントの取り外し
A: 化粧シートを取り外しますが、ここはエタノールなどで糊をしっかり柔らかくしてからドライヤーなどで温めながらゆっくり慎重に剥がしていきます。
ぐにゃぐにゃになった時はアイロンをかけて戻すか、似たシートを「円切りカッター」で切って自作するのが良いと思います。
(レンズ前群裏と中玉前を掃除するのみならここで前群を反時計回りに回して取り外す事が可能です)
B: ズームリングゴムをドライヤーなどで温めて外しておきます。
C: フレアカッターを黄色丸のネジ3個を外して外し、電子接点も赤丸のネジ2個を外してフリーにしておきます。
電子接点を外さないと、マウントを外す時にフレキシブルケーブルを断線する可能性がありますので、必ず電子接点はフリーにしておいて下さい。
D: マウントを固定しているネジ4本を外し、入っているスペーサーとレンズ側に入っている絞りピンの位置を確認しながらマウントを外します。
②マウント側の分解
A: フォーカス切換スイッチを上にずらしてフリーにしておきます。
B: このハンダ付けしてある配線の根元は切れやすいので、あまり負荷が掛からないようにして下さい。
C: マウント部のアウターカバーを、フォーカス切換スイッチを傾けて通しながら外します。
D: フォーカスリングを嵌め合わせてある凹凸部分を確認しながら外します。
③電子基板の取り外し
A: 電子接点以外のフレキシブルケーブル4本を取り外します。
カプラーには2種類あり、この様にロック爪のあるタイプ3個と無いタイプ1個が混在しています。
ロックタイプは①のロック爪を手前に引けばロックフリーとなり、②のフレキシブルケーブルを取り外す事ができます。
フレキシブルケーブルは傷付けたり裂けるだけでAFが動かなくなるので、慎重に取り扱う必要があります。
B: こちらは1個だけあるロック無しのカプラーで、ケーブルがただ差し込んであるだけなので引き抜くだけでOKです。
因みにどのフレキシブルケーブルもしっかり奥に差し込んでないと動作不良の原因になるので注意してください。
C: 電子基板を固定しているネジとワッシャー各1個を取り外し、電子基板を取り外します。
そして3個のネジを外してアルミ製のマウントのマウンターも外しておきます。
D: 超音波モーターを固定しているネジを外さずに緩めておきます。
④ズームユニットの取り出し
A: ズームリングの駆動ネジも外さずに緩めておきます。
B: モーターの取付位置をマーキングしたら固定ネジを外し、超音波モーターとインナーズームの組み合わさるリンクを確認しながら超音波モーターを取り外します。
この時にズームリングの伸縮部分は崩れないようにして下さい!
(写真では崩れていますが💦)
C: ズームリングの伸縮部分を慎重に外れる方向に動かし、外れる瞬間の位置をそれぞれ4カ所マーキングしておきます。
これは組み立て時の参考にする為です。
D: ズームユニットを分割する為に位置マーキングをしてから矢印のネジ3個を外します。
⑤前群、中群(前)のレンズ清掃
A: フォーカス駆動パーツを固定ネジ2本を外して取り外します。
B: ここで右のメインズームユニットを動かしながらインナーフォーカス部を取り外すのですが、ここでも抜ける瞬間の位置をマーキングしておきます。
C: 実はこのレンズ、前群ユニットが固くて緩まなかったのでこの段階で取り外す事にしました^^;
スペーサーが入っているので忘れないようにします。
残念ながらこのユニットはレンズがハメゴロシなので分解できません…
幸いこのレンズは中がカビてなかったので裏側の清掃で済みました。
(厳密に言うと中にポチっと1点だけカビらしきものはありましたが💦)
勇気がある方ならハメゴロシ部分を削るか、サイドに小さな穴を開けて圧縮空気を送ってレンズを取り出す事ができるとは思います^^;
D: インナーフォーカス部のレンズユニットのみレンズを分解・清掃する事が可能ですが、レンズの向きとスペーサーが入っているので気をつけてください。
⑥レンズ後群の清掃A
A: まずレンズの取付位置をマーキングしておきます。
そしてレンズ後群を取り外す為に3個のネジを緩めますが、このネジにはワッシャーが入っているので気をつけてください!
B: 外したレンズ後群(後ろ)を清掃しますが、ここもレンズがハメゴロシになっていますので、基本的にレンズを外して清掃するのは無理です。
C: レンズ後群(後ろ)の固定ネジにはワッシャーが入っていますが、このレンズは分解痕があるので定かではありません^^;
D: レンズ後群(前)の取付位置をマーキングしておきます。
レンズ後群(前)を取り外しますが、ここもレンズユニットとズームユニットの間にワッシャーが入っているので気をつけてください!
⑦レンズ後群の清掃B
A: 外したレンズ後群(前)と入っているワッシャー。
ここもレンズがハメゴロシになっている為に、基本的にレンズ内部は清掃できません。
B: 絞り羽根はAFレンズの為に油が浸透している事はまず無いと思いますので、今回はスルーしました^^;
絞りを開いて中玉を清掃しておきます。
(このレンズは後ろから回して外す事ができるかもしれません)
後は逆の手順で組み立てれば完成です。
C: レンズ後群(前)を組む前にワッシャーを溝に入れておきます。
D: 超音波モーターを組む時は必ずインナーフォーカス部の爪と組み合わせて下さい。
お疲れ様でした^^
⑧「AF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm f/3.5-4.5G IF-ED」の作例
カメラはこの時代に合わせて「ニコンD90」を使ってみました。
18mm F8.0
⑨松ぼっくり
⑩大型タペストリー
⑪鹿島橋
⑫天竜二俣駅
18mm F8.0
⑬天竜二俣駅の転車台方面
⑭天竜二俣駅舎
⑮各務原なでしこ
⑯旧式信号機の蜘蛛の巣
⑰キハ20443
25mm F10
⑱C58389
⑲プライズフィギュア撮影(物撮り)
標準レンズとしては今でも通用する写りだと思います^^
でもこのレンズを「ニコンD90」の倍の画素数である「ニコンD7100」でも使ってみましたが、広角端は良くてもテレ端ではやや甘さを感じる事もありました。
もちろん手振れ補正が付いていないのもあるかもしれません。
あくまで高画素に対応した「AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR II」との比較です^^;
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
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以上、【ニコン「AF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm f/3.5-4.5G IF-ED」分解・清掃・作例】でした!
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