◎ちょっと前に買ったドイツ製アグファ社の110カートリッジフィルム使用のレンズシャッターカメラ「AGFAMATIC 4000 pocket sensor」なんですが、空シャッターを切って遊んでいたら、いきなりスライド部分からプラスチックギヤの破片が落ちてきて動かなくなりました(汗)
粉々になったギヤの破片を見て、「これで直す事は事実上不可能になったなぁ~」と思い、分解してレンズを使ってみる事にしました。
なので今回は直す事ではなく、レンズの取り出しとレンズ構成確認の分解がメインになっています^^;
(一応作例の撮影後に組み立て直しはしました)
オリンパスによる代理店販売で1974年発売 当時の価格は¥29.500
使用フィルム: 110カートリッジフィルム (ISO(ASA)100~400)
フラッシュ: 外付けマジキューブ 露出方式: cdsによる自動露出(AE)機構内蔵
レンズ: COLOR APOTAR 27mm/F6.3(35mm換算で52mm相当)トレプレット構成、3群3枚 実際はレンズ前にフラッシュ用の絞りが付いているのでF8くらいになっている感じでした。
シャッター: 30秒~1/250秒まで制御するCDS測光による無段階電子シャッター
焦点調整: 目測式3点ゾーンフォーカス 使用電池: MR-9×2
ファインダー:アルバダ式ブライトフレーム(露出不足警告・使用済みストロボ警告・パララックス補正マーク)
フィルム巻き上げ: ボディスライド式手動 (二重露光・巻上防止装置)
外寸(収縮時): 27×112×53mm
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①それでは分解していきます
A: スライドロックをした状態でスライド部分のネジ2個を取り外します。
(分解した後にスライドロックを解除するとバネが飛び出すので注意して下さい。)
B: スライダーを開き、スライダーピンのロック板を穴の部分を下に押さえながら外します。
C: 青丸部分からスライダーピンを突いて黄色丸の様にピンを出します。
D: スライダ部分を「pocket」の刻印側から外しますが、ここで決してスライドギヤと駆動ギヤをずらさない(ダメなら写真を撮るか位置関係マーキングします)ようにして外します。
②ギヤマーキングとカバー類取り外し
A: スライダーピンのロック板はここが爪になっていて引っ掛かってます。
B: ここのギヤーの組み合わさる位置とスライドギヤーが引っ掛けるピン部分を撮影&マーキングしておくと良いです。
C: 固定ネジを外し、アンダーカバーを取り外します。
そして隠しネジを外して青矢印の化粧カバーもスライドして外しておきます。
D: フィルム室の蓋を外し、奥に見えるアッパーカバーを固定している部分を折り曲げ直して外れるようにします。
③外周パーツの取り外し
A: アッパーカバーを取り外します。
B: ①ファインダーを覆っているアウターカバーを取り外します。
②ゾーンフォーカスを人物にセットしてゾーンフォーカスレバーを取り外します。
この時にレンズ固定位置をマーキングしておきます。
③スライドギヤを取り外し、フロントパネルを取り外します。
cds前のプラ板フィルターも外しておきます。
この時にしつこいぐらいに各リンクの接続と駆動パーツの位置関係を撮影しておいて下さい。 これらは組み立て時に大切になります。
C: 赤丸のバネ(向きがあります)を取り外します。
そして固定ネジ2本とフラッシュ回転軸のネジ1本を取り外します。
D: 各リンクの位置関係を観察&撮影しながら巻き上げメカを取り外します。
④基盤とレンズり取り外し
A: 砕けたプラギヤはここの部分でした…
巻き上げ時の負荷を作る「ガンギ車」なので特に問題は無いのですが、ちょっと残念な感じです^^;
B: シャッター制御基板を3個のネジを外し、各接続リンクを確認&撮影しながら「知恵の輪」みたいに外します^^;
C: レンズ前のフラッシュ用絞りを外しますが、この時も各リンクの接続状態を撮影しておきます。
D: レンズを外す時はフォーカスゾーン(人物)のマーキングから外れる回転数と外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。
⑤整理整頓とレンズの分解
A: 外した部品やネジは必ず100均の小袋でパートごとに保存します。
これをやればまずネジやパーツが余る事はありません^^;
B: 外したレンズ(被写体側)
C: 外したレンズ(フィルム室側)
このレンズってフィルム室側の方が大きいのが特徴で、どんな仕組みか気になりますよね^^
D: 「COLOR APOTAR 27mmF6.3」を分解してみました。
プラスチックレンズでしたが、トリプレット構成の3群3枚で決定です。
押さえリング、各レンズは組付け位置が決まっているので注意が必要です。
⑥レンズ構成図とミラーレスカメラへの取り付け
A: レンズ前には絞りプレートみたいな物が取り付けられていました。
B: プラレンズの為、ドライクリーンは傷を付ける可能性があるのでクリーニング液を付けながら清掃しました。
C: 「COLOR APOTAR 27mmF6.3」のレンズ構成図を描いてみました。(適当です)
トリプレットの弱点を克服する為なんでしょうか…
光量を稼ぐ為なのか、画角を稼ぐ為なのか分かりませんが変わった設計です。
D: それでは早速このレンズをニコンのミラーレスカメラに取り付けて使ってみようと思います。
引き伸ばしレンズのヘリコイドとレンズツールの「吸盤オープナー」を使ったお手軽マウントなので、レンズが傾いて周辺が流れている画像がある事をご了承ください^^;
⑦「AGFAMATIC 4000 pocket sensor」の「COLOR APOTAR 27mmF6.3」の作例
使用カメラは前述の通り、110フィルムのフォーマットに近い「ニコン1 V1」を使っています。
絞りは全て「開放F6.3」で撮影してみました。
⑧田んぼ
逆光にはプラレンズのせいか、ちょっと弱く感じました。
⑨道路に落ちてる栗
⑩ヒメジオン
⑪アパガンサス
発色は割と澄んだ感じで良好です^^
⑫道路標識
⑬滑り台
⑭虫に食われた木の葉
⑮森の道
⑯ハグロトンボ
分かりにくいですが、探してみて下さい^^;
⑰屋外ブツ撮り(プライズフィギュア)
⑱屋外ブツ撮り(プライズフィギュアと花)
逆光こそ弱いものの、割とシャープで発色もいいのには驚きました。
ドイツのクラフトマンシップを感じます^^
でも繊細な作りがカメラの故障に繋がっているのは第二次世界大戦のドイツ戦車から変わってない気もしました^^;
◎カメラの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、カメラの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしカメラを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
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以上、【アグファ「AGFAMATIC 4000 pocket sensor」の分解とレンズの作例】でした!
一応、組み立て直した後の写真ギャラリーになります^^;
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