東京光学「TOKYO KOGAKU UV TOPCOR 53mm f2」分解清掃・作例

ペトリ・その他メーカー

◎絞りが崩壊し、分解痕のある東京光学「TOKYO KOGAKU UV TOPCOR 53mm f2」を分解清掃し、作例を載せた内容になっています。
2024/01/27更新: 作例を追加しました。

「TOKYO KOGAKU UV TOPCOR 53mm f2」は東京光学(トプコン)が1964年にレンズシャッターのレンズ交換式TTL-AE一眼レフカメラ「トプコンユニ(TOPCON UNI)」を発売した時の標準レンズになります。

「UV TOPCOR」と言う名前はレンズ(おそらく2枚目)を貼り合わせているバルサムに紫外線を除去するUVフィルターと同じ効果を持たせた事から名付けられたみたいです。
マウントはエキザクタではなく、「UV TOPCOR」独自のUVマウントになっている為、デジタルカメラで使うにはあまり出回っていないマウントアダプターを手に入れるか自作する必要があります💦

1964年?発売  レンズ構成: 4群6枚(ダブルガウス)  画角: 44.4°
焦点距離: 53mm  開放値: f2.0  絞り羽根枚数: 5枚  重さ: 160g
マニュアルフォーカス  最短撮影距離: 0.7m  フィルター径: 49mm

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①レンズの清掃

A: まず後群レンズユニットを反時計回りに回して外します。
B: ユニットを分解して各レンズの向きをマーキングしながら取り出しますが、できればスペーサーも向きは守った方がいいです。
そして取り出した各レンズを清掃して組み立てます。

C: 銘板を反時計回りに回して外します。
D: 前群レンズユニットを反時計回りに回して外します。

②レンズ清掃と鏡筒分解

A: 取り外した銘板と前群レンズユニット。
B: 前群レンズユニットを分解して各レンズを清掃したら組み立てます。
レンズの清掃のみでしたらここで作業は終了になります。

C: ここからはヘリコイドグリス交換と絞り羽根の整備になります。
まずフォーカスリングを無限遠にセットして、ヘリコイドを外すまでは動かさないようにして下さい。(画像は最短撮影距離になってますが💦)
そして指標板を固定している小さなネジ2個を外し、巻いてある指標板を取り外します。 (取り付ける時は無限遠を基準にするといいです)
D: フォーカスリングを固定している3個のイモネジを緩めます。

③鏡筒分解

A: フォーカスリングをちょっとずらしたら組み立ての為の合いマーキングをし、フォーカスリングを外します。
B: 内部鏡筒を固定している3個のネジを外しますが、赤丸のネジはフィルター枠を固定しているネジなので外す必要はありません。

C: 内部鏡筒を外しながら絞り連動ピンの入っている場所を確認しておきます。
D: 無限遠の状態で基部をベースにサブヘリコイドとメインヘリコイドの位置をマーキングし、マウント底辺からサブヘリコイドとメインヘリコイドの幅も計測しておきます。
(参考にこのレンズの幅の数値を書こうと思いましたが、分解痕があるのでやめる事にしましたのでご了承ください💦)

④ヘリコイドグリス交換

A: サブヘリコイドをゆっくり慎重に反時計回りに回し、メインヘリコイドが直進キーから離れる瞬間の位置で止め、位置マーキング(離れる:Hなど)をしておきます。
B: 今度はメインヘリコイドをゆっくり慎重に回し、サブヘリコイドから外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。

C: そしてサブヘリコイドを締め付ける方向に回転数を数えながら回し、止まる位置をマーキングしておきます。(このレンズはおおよそ1.5回転でした)
サブヘリコイドを外します。
D: ブラシと灯油などを使って古いグリスを落としたら、固めの筆で新しいヘリコイドグリスを塗布します。

組み立てはまずサブヘリコイドを止まる位置まで入れ、回して止まった位置(C)を確認したら、Cで数えた回転数戻してAの位置マーキングで止めます。
次にメインヘリコイドを外れた瞬間の位置マーキングから入れて直進キーが当たって入る位置で止めます。
そしてメインヘリコイドを固定しながらサブヘリコイドを回して直進キーを入れ、画像③のDのマーキング位置で止めたら完成です。

⑤絞りの分解

A: マウント部にある絞り連動部の動きをチェックして、動きが悪かったら注油して余計な油は拭きとっておきます。
それでも動きが改善されない場合は分解する必要があります💦

B: 絞りを固定しているCリングを外します。
(因みに買った時はこのCリングが外れて絞り羽根も外れていました💦)
C: スミマセン、ここは位置マーキングと言うより表裏が分かるマーキングをして下さい💦 (位置は凸があるので分かります)
そして絞り固定部を外します。

D: 絞り羽根が付いている状態と、開放位置での絞り駆動ピンの位置もマーキングしておくと良いです。

 

⑥絞りの清掃

A: 絞り可動側と一緒に羽根を取り外します。
B: 絞り羽根や擦れる部分は全てエタノールで奇麗にして、元通りに組み立てます。

C: 組み立てたら作動テストをします。

後は逆の手順で組み立てれば完成です^^

 

☆「UV TOPCOR」のマウントアダプターはこんな感じになっています
たまたまUV TOPCORのレンズに付いてきたもので詳細は分かりませんが、トプコンユニのマウントをそのままM42マウントアダプターに取り付けた感じになっています。

 

⑦「TOKYO KOGAKU UV TOPCOR 53mm f2」の作例

使用カメラはフルサイズミラーレスのソニーα7で、絞り値はご想像にお任せします。

 

⑧バッテリー工場

電気自動車はバッテリーの性能、リサイクル、原材料の問題を克服しないと厳しそうですね💦

 

⑨看板だけ残った

全店舗が10年以上前に閉店となってからも看板だけ残ってます。

 

⑩作例追加画像(晴天)

2024/01/27に追加した作例画像になります。
カメラの設定を「風景」にしていたので、色が濃い目になってしまいましたが、これはUV TOPCORの「UVフィルター効果」もあると思いました💦

 

⑪天浜線

スローライフトレインです。

 

⑫冬の稲

開放f2.0

 

⑬天竜浜名湖鉄道を検測している車両

キヤ95系「ドクター東海」の検測。

 

⑭エノコログサ

開放f2.0

 

⑮開放のフレア・ゴースト

派手ではないものの、それなりに出ます。

 

⑯口径食

レンズシャッターの為に後玉が小さいせいか、口径食もそれなりに出る感じでした。

 

⑰浜松の景色

f11.0

 

⑱日が暮れました

60年前のレンズですから、UV効果を持たせているバルサムが劣化している可能性はありますね💦
でもUV TOPCOR独自のこの写りは結構好きです。😊

 

 

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【東京光学「TOKYO KOGAKU UV TOPCOR 53mm f2」分解清掃・作例】でした!

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