コニカ「KONICA Zoom-HEXANON AR 35-70mm F3.5」分解清掃・作例

ペトリ・その他メーカー

◎とあるリサイクルショップのジャンクコーナーに中からコトコト音がしてズーミングできないコニカの「KONICA Zoom-HEXANON AR 35-70mm F3.5」が捨て値で置いてありました。
こうした場合は落下や衝撃で中のズーム機構のコロが折れている可能性が高いのですが、ダメもとで買ってきて分解清掃&修理し、作例を撮ってみました。

同時期に「Konica Zoom-Hexanon AR 35-70mm F3.5-4.5」もありますが、こちらは大きさが2/3程度でレンズ構成も8群8枚となっています。
巷では「KONICA Zoom-HEXANON AR 35-70mm F3.5」の写りはとても評価が良いみたいですね。

1978年発売 当時の価格は¥47.500 レンズ構成: 9群9枚 重さ: 470g
絞り羽根枚数: 8枚 最短撮影距離: 0.35m(全域)  直進ズーム式
画角: 63.4°35mm – 34.3°70mm 外寸: ⌀67×96.5mm
フィルター径: 内側55mm、フード側62mm  マルチコーティング

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

①ズーム&フォーカスリングの取り外し

A: グリップゴムを外します。
B: 2分割になっているズーム&フォーカスリングを固定しているネジ6個を外します。
C: 長い方を外したら、短い方の取付位置(∞など)をマーキングしながら外します。
D: マウントを固定しているネジ4個を外します。

② マウント部の分解

A: マウントを外しますが、その時に絞りリングも一緒に外れてしまう時もありますので、その時は絞りリングに入っているクリックボールを紛失しない様にして下さい。
B: 絞りリングを慎重に外し、板バネの所に入っているクリックボールも回収します。

C: 指標部のネジを外し、指標部を前方に移動しながら回転方向の位置マーキングもしておきます。
D: ネジの固定位置3か所の前後方向とマウントベース取付位置をマーキングしたら、ネジを外します。

③後群レンズユニットの取り出し

A: マウントベースとスペーサーを取り外します。
B: 指標部を外します。

C: コロ&ネジを外す前に一番手前の黒い部分、カムのある部分、コロの付いている部分に合い位置マーキングをしておきます。
マーキングしたらコロ&ネジ3組を外します。

D: 後群レンズユニットをかなりゆっくり慎重に引き抜き、飛び出すフリクションパーツが見える位置で止めます。
ここからは袋を用意し、3組のフリクションパーツ&バネを回収します。

④ズーム機構の分解(ここはグリスアップが必要な時だけ作業します)

A: フリクションパーツとバネはこんなセットになっていますので、組み立て時は無くさない様に組み立てて下さい。
B: ズーム機構の分解は動きが悪い時以外は必要ありませんのでスルーして下さい。(故障品なので分解点検・グリスアップしました)
組合せの位置マーキングをしたら、固定しているネジ3個を外します。

C: ズーム機構を回転させるとコロがありますので回収します。
注意点として、コロは厚いのが2個、薄いのが1個の合計3個入っています。
組み立てる時もここからコロを入れるとやり易かったと思います。

D: 厚いコロは上下に動くスライダ部分にあるので、組み立てる時は注意してください。

⑤ズーム機構メンテの続きと後群ユニットの分解

A: 厚いコロにはスライダ用の溝があり、薄いコロにはありません。
B: 外したズーム機構を点検し、グリスアップしておきます。

C: ここから後群ユニットの分解清掃になりますので、組み合わせている3個のネジを外します。
D: 付いている絞りリターンスプリングを外し、ユニットを分割します。

⑥後群レンズの清掃

A: 内側のレンズユニットを反時計回りに回して外します。
緩まない時はアセトンをネジ溝に塗布して下さい。
B: こんな感じで外れます。

C: ユニットを分解し、各レンズと各スペーサーの向きをマーキングしながら取り出して清掃し、組み立てます。
D: マウント側のレンズユニットにはネジ止め剤が塗布されていますので、アセトンをネジ溝に塗布し、数分待ってから緩めます。

⑦レンズ清掃の続きと絞り分解

A: 各レンズとスペーサーの向きをマーキングしながら取り出して清掃し、組み立てます。
B: 絞りユニットの取付位置をマーキングし、取り外します。

C: スミマセン💦
まず左の画像Dの様に絞り開放位置での連動レバーのある位置を固定側にマーキングして下さい。
そして絞り可動側を固定しているCリングを外します。

⑧絞り羽根の分解清掃と前群レンズユニットの取り外し

A: 可動側を外したら、絞り羽根の表裏と向きを確認し、分解して擦れる部分を全てエタノールで綺麗にします。
B: 絞り羽根を固定側に組み込み、可動側をマーキングの位置で組み、Cリングを取り付けます。

C: 前群レンズユニットを取り外す前にまず、35mmでの無限遠と最短撮影距離位置のコロの位置マーキングをしておきます。
D: コロ&ネジを外し、前群レンズユニットをかなりゆっくり慎重に反時計回りに回し、外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。

⑨前群レンズの清掃

A: 前群を分解し、各レンズと各スペーサーの向きをマーキングしながら取り出して清掃し、組み立てます。

B: ついでにこの状態でヘリコイドグリス交換もしておきます。
ヘリコイドを外してやってもいいのですが、ここは調整されているので(画像B/Cの黄色枠にあるネジを外せば可能です)、外す場合は位置マーキングと測定をしておく必要があります。

⑩このレンズの故障原因

どうやらこのレンズは強い衝撃を加えると後群ユニットのコロを固定している特殊ネジが折れてしまう様です。
とにかく折れたネジ部を取り出すのが大変でした💦

この特殊ネジは流石に持っていなかったものですから、コロは回らなくなりますが、普通のネジで固定し、グリスをしっかり塗っておきました。
他のズームレンズでは固定式のコロが多いのでそれほど問題はないと思っています^^;

 

⑪「KONICA Zoom-HEXANON AR 35-70mm F3.5」の作例

使用カメラはフルサイズミラーレスのα7になります。
焦点距離と絞り値はすっかり忘れてしまったので、ご想像にお任せします💦

⑫桜の木

今年の3月に撮ったものです。

⑬桜の蕾

このところの異常気象で来年は早めに咲きそうですね…
望遠端の最短撮影距離です。

⑭田舎道

道は続くよどこまでも。

⑮シロタエギク?

開放です。

⑯中古車屋

車って本当に高くなりましたよね。
安全装備や快適装備が付き過ぎな感があります。

⑰交差点

あのリサイクルショップってたまにいいレンズがあったり。

⑱宣伝旗

ポイ活、いつの間にか結構溜まっているのでビックリです。

⑲都会は信号待ちが多い

今の車ってスーパーUVカットガラスが使われているので、フロントガラス越しに撮ると色が寒色に傾く事があります。

⑳バイク

昔、友人から借りて乗った事があるバイク。

㉑リサイクルショップ

こんな時間に来てもいい物は狩られてありません(笑)

㉒玉ボケ

開放なんですが、ちゃんと絞りリングを回しきれてなかったみたいです💦

やはり巷の評判通りコントラストや発色、シャープネスが良くて、収差も少なく、とてもいいレンズだと思いました。
ただ、花などを撮るとボケが五月蠅く感じた事があります。

フィルターが55mm(前玉)と62mm(フード取付枠)どちらも付けられますが、多分、62mmだと広角端でケラれるかもしれません^^;
あと望遠端ではフード取付枠がフード代わりになるのも良いですね。

 

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為に間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【コニカ「KONICA Zoom-HEXANON AR 35-70mm F3.5」分解清掃・作例】でした!

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