◎とあるハードオフのジャンクボックスにミノルタ「MINOLTA MD TELE ROKKOR 200mm F4」(おそらく製造番号が1004〇×△なので前期型)のカビジャンクが¥330で転がっていました。
どのリサイクルショップでもそうなんですが、たまにコレクターが手放したと思われる大量のカメラ&レンズが入荷している事があります。
今回もそうでしたが、とりあえずこれは安かったので…(汗)
次に行ったらもう大半が売れていました^^;
内容はいつもの通り、レンズを分解清掃して作例を載せています。
スペック: 単焦点望遠レンズ レンズ構成: 5群5枚 最小絞り: f32
最短撮影距離: 2.5m 最大撮影倍率: 0.10 フィルター径: 55mm
フード: 内蔵式 外寸: 64×116.5mm 重さ: 410g 絞り羽根枚数: 6枚
1977年発売 当時の価格は¥38.000(ケース¥2.000)
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①前群レンズを取り外します
A: フードを伸ばし、ちょっとフォーカスリングを回すとイモネジが現れますので緩めます。
B: 鏡筒をひねって分割します。
C: フードを外しますが、これを組み立てる時にこのフリクションリングがなかなか入らないので、フードを押しながら少しずつリングを押し込んで組み立てる必要がありました。
D: 前群レンズを分解清掃して組み立てますが、ここで一つだけ注意点があります。
前群2枚目のレンズ裏のコーティングはまさかのアクロマチックコーティングらしく、自分はちょっと傷つけてしまいました…
MDレンズの初期はMCレンズを引き継いでいる物があり、これは大失態でした^^;
ここを清掃する時は良く洗った手でレンズ表面を優しく中性洗剤を使いながら洗うのをお勧めします。
②マウントの取り外し
A: 前群レンズの3枚目は鏡筒に嵌め殺しなので、そのまま清掃します。
ミノルタはMDレンズからレンズの嵌め殺しとプラスチックを多用するようになり、かなり整備性が悪くなっています。
B: マウントを固定している4個のネジを外します。
矢印の遮光パーツは白化している事があり、これは外して再塗装する必要がありました。
C: マウントを外す時は絞り連動レバーの入っている位置を確認しながら外します。
D: 後群レンズを固定している3個のネジを外します。
ネジとレンズ本体に挟まっているCリングの開口部は絞りレバー側になるので、組む時に気を付けて下さい。
③後群レンズはプラスチック枠の嵌め殺しでした…
B: ここのレンズ固定はプラスチック枠を溶かした嵌め殺しでした💦
C: 溶かして固定している部分は割と薄いので、とりあえず半分削り…
D: 後ろから布を巻いた割りばしで突いてみます。
固かったらもう少し枠を削ってみます。
レンズとスペーサーが出たら必ず向きをマーキングしておきます。
(分からなくなったらアイキャッチのレンズ構成図を参考にして下さい)
④後群レンズ清掃とヘリコイドグリス交換
A: 外したレンズを清掃し、組み立てます。
レンズの固定はホットボンドや接着剤をなるべく細く塗付して固定しますが、枠が多めに残っている時は半田ごてで溶かして固定しても良いと思います。
レンズの清掃のみでしたら後は組み立てて完成となります。
B: ここからはヘリコイドグリス交換と絞り羽根清掃の作業になります。
まず絞りリングを外しますが、小さなクリックボールが飛び出しますので、袋の中で作業します。
バネも紛失防止の為に回収しておきます。
C: フォーカスリングを無限遠にセットして無限遠位置でのヘリコイド位置を念の為に測定しておきます。
D: この前期型レンズは6.95mmでした。
⑤ヘリコイドの取り外し
B: そしてフォーカスリングを最短撮影距離より多めに回し、直進キーが外れる瞬間の位置で止め、その時のフォーカスリングの最短撮影距離からの回転角をメモし、位置もマーキングしておきます。
組む時の為に直進キーが入る溝との合いマークもマーキングしておくと良いです。
C: そのままメインヘリコイドを慎重にゆっくり回し、外れる瞬間の位置をマーキングしておきます。
D: 参考としてサブヘリコイドを止まるまで回すと指標線からすぐこの位置で止まりますので、サブヘリコイドは気にせずそのまま外せばOKです。
サブヘリコイドはメインヘリコイドと違ってただのネジ溝になっていますので、外れる瞬間の位置は気にしなくていいです。
⑥ヘリコイドグリス交換
A: フォーカスリングゴムを外し、矢印のテープを半分剥がしてフォーカスリングと指標の分割面の位置関係をマーキングしたらテープを全て剥がします。
そのままフォーカスリングを回してサブヘリコイドも外します。
B: ここで一旦、無限遠についてです。
ここは無限遠調整になっていますので、レンズを完成させたら指標部を無限遠にセットし、レンズをカメラに取り付けて遠景を見ながらフォーカスリング前部を回し、無限遠に合ったらテープで固定すればOKです。
(組み立てて無限遠が合わなかった場合など)
C: 外したサブヘリコイドのネジ溝を灯油やライターオイルなどで洗浄し、新しいグリスを固めの筆で薄く塗ります。
D: メインヘリコイドも同様に洗浄して新しいグリスを塗ります。
⑦絞り羽根の清掃
A: 遮光の丸いプラシートを外しますが、これが変形させずに外すのが難しいです。
自分は指2本で内側を押さえながら引っ張って外したら上手く取れました。
取り付ける時は無理に変形させない様に回す感じで取り付けました。
B: 絞り羽根固定部の位置マーキングをしたら、固定ネジ3本を外してゆっくり慎重に分解します。
可動部は裏側の長いピンにバネがありますので、変形させない様に気を付けて下さい。
C: 外したパーツの油分をエタノールなどで洗浄します。
D: 絞り羽根を組んだら可動部とサンドイッチにして鏡筒に組み込みます。
後は逆の手順で組み立てれば完成です。
⑧組み立ての追記
A: 自分は絞りを組み立てる時にリターンバネが樹脂を溶かして固定してある部分から外れちゃいました^^;
ここは絞りを組む事を優先しがちなので注意して下さい。
B: マウントを組む時はまず絞りリングをf32にセットし、絞り連動レバーをピンに入れてそのまま入れればOKです。
⑨「MINOLTA MD TELE ROKKOR 200mm F4」の作例
使用カメラは1インチセンサーのミラーレスカメラ「ニコン1 V1」になりますので、レンズ中央付近のみの評価になります。
景色以外はほとんどの画像を絞り開放で撮影しています。
⑩白い木?
白い木って珍しいと思って撮影しましたが、右上にカワウが居るのを見て何が起こっているのかすぐに分かりました…
⑪ススキ
⑫ブツ撮り(プライズミニフィギュア)
⑬柵
⑭ベンチ
⑮枯れたススキ
⑯水面の反射と竹
⑰電柱
その昔、子供の頃に電柱に登ったら怒られた思い出があります。
今考えると当たり前なんですけどね💦
⑱カモメさん
⑲線路
⑳パンジー
㉑うなぎ屋さん
ウナギも高くなりましたが、今はさんまがすっかり獲れなくなって価格が上がってますよね。
温暖化の影響でしょうか…
200mmクラスはどのメーカーも割と良く写る印象がありますが、これも例外なく開放から良く写ると思いました。
しかも「MINOLTA MD TELE ROKKOR 200mm F4」は小型なので、気軽に楽しめる望遠レンズだと思います^^
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【ミノルタ「MINOLTA MD TELE ROKKOR 200mm F4」分解・清掃・作例】でした!
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