◎今回はとあるリサイクルショップのジャンクボックスに転がっていたミノルタの「MINOLTA AUTO TELE ROKKOR-QF 200mm F3.5」を分解・清掃してみました。
このレンズは1958年にミノルタ初の一眼レフカメラ「SR-2」と共に発売された物で、このレンズ構成のまま1977年まで外観を変えながら生産されたみたいです。
この時代のミノルタレンズは例外なくレンズ内のネジが緩んでいる事が多いので、分解したら全てのネジを増し締めする事をお勧めします^^;
リサイクルショップヘ行くと、この時代のミノルタレンズがガタガタになっている物をたまに見かけますが、このレンズも3箇所ほどネジが緩んでいました…
1958年発売 レンズ構成:4群6枚 絞り羽根枚数:8枚 最小絞り:F22
フィルター径:67mm 最短撮影距離:2.5m 外寸:78x148mm 重さ:770g
マウント: SRマウント
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①前群レンズの清掃とマウント外し
A: 前群のレンズユニットは「吸盤オープナー」などを使って反時計回りに回せば外す事ができます。
「吸盤オープナー」などが無い場合は、青丸のネジを緩めてカバーを取る事で、手で回して前群ユニットを外す事ができます。
B: 前群ユニットを分解して各レンズを清掃しますが、物によってはすぐに剥げてしまう「緑のアクロマチックコーティング」が前玉後ろか、後玉の内側に施されている事がありますので、まずは隅から拭いて様子を確かめて下さい。
このレンズはアクロマチックコーティングはされていませんでした。
(確証はありません💦)
C: まず絞りピンを動かして、絞りピンと絞りの動き(最大~最小の連動幅)を写真を撮るかメモしておきます。(これはギヤの位置が狂う事があるので大事です)
そしてフォーカスリングを無限遠の位置にセットして5個のネジを外し、マウントを取り外します。
マウントを外したら、フォーカスリングとシルバーの回るベース部分にそれぞれ位置と幅(シルバーのベースのみ)のマーキングをしておきます。
D: マウントを組む時はこのギヤを「時計回りに止まるまで回し」ながら組む必要がありますが、割と手こずるのでギヤを痛めないようにしてください。
そして絞りピンを動かして、Cで記録した幅で絞りが動いているか確認します。
②レンズ後群の清掃とヘリコイド外し
A: レンズ後群は長い「カニ目ツール」があれば取り外して清掃可で、レンズ清掃のみでしたら今後の作業は必要ありません^^;
もし安全に取り外したい場合は一気に「画像③のB」へ飛び、ヘリコイド鏡筒内にある4本のネジを外せば鏡筒を分割して簡単にレンズ後群にアクセスする事ができます。
B: 今後の作業はヘリコイドグリス交換、絞り機構の点検・清掃の為になります。
フォーカスリングを外しますが、外れる瞬間の位置がとても大事になりますので、慎重にゆっくり回し、外れた瞬間の位置をマーキングしておきます。
C: 中間のカバーをイモネジ3個を緩めて取り外します。
イモネジは浅いので、緩め過ぎると脱落して紛失しますので注意してください。
D: 中間カバーを組む時はイモネジの打痕に合わせますが、ここのバックラッシュ調整固定用リングは緩んでいる事があり、その時はまず固定リングを締め、飛び出ている絞り確認レバーの動く範囲が中間カバーの切欠きに合う様に調整します。
③ヘリコイド部の注意点とレンズ後群の清掃
A: ここはマウントの絞り駆動ギヤのバックラッシュ(隙間調整)になっていますので、
触らないで下さい^^;
弄るならマーキングをしてから回してください。
B: ヘリコイド鏡筒内にある4本のネジを外し、鏡筒を分割します。
C: するとレンズにアクセスし易くなりますので、レンズ後群を「カニ目ツール」などを使って外します。
D: レンズはレンズホルダーのまま掃除しても良いのですが、どうしても隅まで綺麗にするのは不可能なので、分解して清掃するのがおススメです。
ここのレンズは向きが分かりにくいので、必ず取り出す際に向きをマーキングしておいて下さい。
レンズの向きが無い様に見えても、間違えて組んで撮影するとピントが全く合わなくなったり、周辺が流れまくったりします^^;
④絞りユニットの分解
A: ヘリコイド鏡筒部を組む時は予めネジを入れておくと楽です。
絞り連動レバーは画像Bの赤丸部分に入ります。
B: この状態で絞りの点検をし、油が滲んでいたら分解清掃します。
因みに黄丸部分のスプリング(上)は簡単に外れやすく、作業中に外れる事が多々ありるので注意してください。
もし絞りが戻りにくい場合は外して伸ばしてから組むと絞りが戻り易くなります。
下のスプリングは絞りリングのリターン用、上が絞りピンとレバーの動作用になります。
C: 前玉側に付いている円筒カバーを固定ネジ3本を外し、取り外します。
D: 内部に付いているフレアカッター2個をそれぞれイモネジを緩めて取り外しますが、イモネジは取り外して保管しておいた方が紛失防止になります^^;
⑤絞り羽根の清掃
A: 中の絞り羽根押さえリングを固定&調整しているイモネジ3個を、押さえリングに位置マーキングしてから外します。
B: 絞り羽根押さえリングを外しますが、ピンが入る位置を確認しておきます。
この時になるべく中の部品が動かない様に外します。
(固くて外れない時は鏡筒をドライヤーで温めて下さい)
C: 絞り羽根を外したら、更に各部品の位置関係をマーキングしておきます。
D: 絞り羽根と絞り羽根が接触する部品をエタノールなどで脱脂します。
絞り羽根を拭く時は一方通行で拭かないと羽根を変形させてしまうので注意してください^^; 往復拭きは危険です。
⑥組み立てなど
A: 絞り羽根を組み立てたら、リングなどをマーキングの位置に従って組み立てます。
黒い押さえリングが固くて入らない場合は鏡筒をドライヤーで温めてみてください。
後は逆の手順でどんどん組み立てていきます。
B: マウントを組む時は後ろのフレアカッターを外し、この部分を押さえながらマウントを入れると良いです。
マウントを付けたら絞りリングをF22にしてピンとの連動を確認します。
⑦「MINOLTA AUTO TELE ROKKOR-QF 200mm F3.5」の作例
使用カメラは1インチセンサーでミラーレスの「ニコン1 V1」なので、レンズ画角の中央付近を使う事になります。
7000万画素のフルサイズセンサーの1/7を使っている感じになりますので、かなりレンズ性能の優劣が出易くなります^^;
夕刻だった為に一部の画像を除いて全て絞り開放で撮影しています。
⑧夕日が当たる木
⑨木漏れ日(逆光テスト)
幻想的にならないかと何枚も撮りましたが、良かったのはこの一枚だけでした^^;
⑩雑草
⑪工事現場
⑫高速道路工事中
⑬隠れてるアオサギの若
頭隠して尻隠さず…(笑)
⑭カワセミ
スズメくらいの大きさしかないので、本当は400mmは欲しいところです。
かなり暗かったのでブレブレ写真を量産しました^^;
⑮近くに来てくれたカワセミ
やっぱりカワセミは綺麗ですね~
⑯物撮り(ディフォルメミニフィギュア)
中央のキャラクターの「目」にピントを合わせていますが、最短撮影距離が2.5mもあるので撮影が大変でした^^;
⑰物撮り F5.6
⑱物撮り F8.0
望遠鏡みたいなレンズ構成なので良く写りますね^^
でも欠点は大きくて重い事ですが…
条件によっては被写体の前後が若干白っぽくなるのと、フォーカスリングの回転数が多いのが気になる事はありました。
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【ミノルタ「MINOLTA AUTO TELE ROKKOR-QF 200mm F3.5」分解・清掃】でした!
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