トキナー「AT-X PRO 80-200mm F2.8 AF (828AF PRO)」ちょっと分解清掃・作例

トキナー・コシナ

◎今回はちょっと多忙な為に鏡筒を分解しない範囲で「Tokina AT-X PRO 80-200mm F2.8 (AT-X 828AF PRO)」(EFマウント)の分解清掃と作例になります💦
トキナーと言うと残念ながらバルサム切れが多発している個体が多く、このレンズもカビと曇りかと思ったら、2枚バルサム切れでした💦

1981年にトキナー初のAT-Xレンズとして「Tokina AT-X 80-200mm F2.8 (AT-X 828)」が¥111,000で発売され、1991年にAF化された「Tokina AT-X 80-200mm F2.8 AF (AT-X 828AF)」となり、1995年にフルカバー&チリメン塗装となったこの「Tokina AT-X PRO 80-200mm F2.8 AF(AT-X 828AF PRO)」となりました。
そして2003年に「New AT-X 828 AF PRO」となり、フードが花型になるも販売が振るわずに2005年に生産終了となりました。
因みに光学系は初期から最後まで11群17枚だったので、大きな改良は無かったみたいです。

1995年発売 当時の価格は¥138,000(EFは¥148,000) 色は黒のみ
開放値: F2.8  最小絞り: F32    最短撮影距離: 1.8m  最大撮影倍率: 1:7.5
AF/MFクラッチ切換機構  フィルター径: 77mm  マルチコーティング
レンズ構成: 11群17枚  絞り羽根枚数: 9枚  外寸: 84x184mm   重さ: 1350g

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

 

①1群レンズの取り外し

A: フィルター枠周辺にあるイモネジ3個を緩めます。
B: フィルター枠を引き抜いて取り外しますが、この時に金色の飾りリングも外れるので注意して下さい。

C: 1群レンズユニットの外周にある溝にカニ目ツールを入れて反時計回りに回します。
D: 外れたレンズを清掃しますが、もし中にカビがある場合は更に分解してカビを清掃して下さい。

②2群、3群レンズユニットの取り外し

A: 2群レンズユニットにある穴にカニ目ツールを入れ、反時計回りに回して外します。
B: 外したレンズを清掃しますが、もし中に異常がある場合はバルサム切れですので、レンズを分割して貼り直す必要があります💦

C: 3群レンズユニットの溝にカニ目ツールを入れ、反時計回りに回して外します。
D: こんな感じで外れますが、ロットによってはスペーサーが入っている時がありますので注意して下さい。
外したレンズを清掃しますが、残念ながらこのレンズは中にカビと曇りがあったので分解しました。

③3群レンズユニットの分解

A: 今回は鏡筒を分解しませんので、ここで中のレンズを清掃しておきます。
B: 3群レンズユニットの組み立てはネジ止め剤が使ってあるようでしたので、アセトンを注して柔らかくしてから分解します。

C: ロックリングを外してもおそらくバルサムでレンズがくっついて出てこないと思いますので、その時はドライヤーで暖めると良いです。
分解する時はレンズの順番&向きとスペーサーに注意して下さい。
D: ロックリング下のレンズは合わせが下側で表面がフラットになっています。
(レンズの向きが分からなくなったら、アイキャッチ画像のレンズ構成を参照して下さい)

④バルサム切れの症状

A: 上の続きで、スペーサーを挟んで2枚目は表面が凹で合わせ面は下になります。
B: この2個の貼り合わせレンズの周囲はバルサムでベトベトなので、エタノールで綺麗にします。
トキナーって、バルサムではなくエポキシみたいな樹脂を使っていますね💦

C: 2枚目のこれはてっきりカビだと思っていたのですが、これもバルサム切れの症状で、こんなの初めて見ました💦
D: 1枚目はバルサムが完全に白濁していて、写真ではピントを外して分かりにくく申し訳ございません💦


⑤貼り合わせレンズの分離と貼り合わせ

A: 1枚目は何と、横に力を加えただけでレンズが分離しました💦
B: 流石に2枚目は無理でしたので、バルサム剥がし器を使いました。
古いバルサムはエタノールで綺麗にします。

C: 2枚目はコーティングがやられていたので、仕方なく酸化セリウムで曇りが目立たない程度まで研磨しました。
D: 僅かにザラザラ感が残る程度にしておきました。
後はバルサムで貼り合わせます。

⑥5群レンズユニットの取り外し

A: 貼り合わせたら3群レンズ本来の透明度を取り戻しました。
B: 電子接点のあるレンズはいきなりマウントから外すとフレキ配線を千切りますので、まず遮光パーツのネジを外します。

C: 電子接点を固定しているネジ2個を外します。
D: 遮光パーツを外し、電子接点の配線の取り回しを確認します。

⑦マウントの取り外し

A: ここでようやくマウントを固定しているネジ3個を外します。
B: 電子接点を慎重に外しながら、マウントを外します。

C: マウントにはスペーサーが入っていますので、取り付け状態を確認します。
D: 5群レンズユニットはフレキシブル基盤すれすれに入っていますので、基盤を傷めない様に気を付けて外します。

⑧5群レンズ清掃

A: 基盤を傷付けない様に慎重に外します。
B: 外した5群レンズを清掃しますが、もし内部にカビがある場合はレンズとスペーサーの向きに気を付けて分解清掃して下さい。

C: 今回は鏡筒を分解しない範囲での清掃になりますので、ここから見えるレンズを清掃します。
ひょっとしたらここのレンズはレンズ吸盤で外せれるかもしれませんが、もしそうでしたら全清掃が可能となります。(今回は綺麗だったのでやりませんでした)

D: こんな感じで奥のレンズを清掃しました。

後は逆の手順で組み立てれば完成です。

 

⑨「Tokina AT-X PRO 80-200mm F2.8 AF(AT-X 828AF PRO)」の作例

使用カメラはAPS-Cのデジタル一眼レフ「Canon EOS KISSx3」を使っています。(このレンズはフルサイズ用ですが)

⑩柵

80mm  F2.8開放

⑪信号待ち

145mm  F2.8開放

⑫とあるミーティング

120mm  F13
手前の車の運転席にピンが来ていました💦

⑬サイドビュー

120mm  F13
それぞれに個性があっていいですね~♪

⑭勢揃い

200mm  F8.0

⑮浜名湖の景色

80mm  F13

⑯船

200mm  F2.8開放

⑰旅籠屋

90mm  F2.8開放

⑱望遠の圧縮効果

200mm  F16
橋から山までのおおよそ12㎞を圧縮してみました。

⑲撮り鉄

80mm  F13

⑳飛んでるウミウ

200mm  F2.8開放
絞るのを忘れて撮りましたが、この「EOS KISSx3」でホバリングしているカワセミにピントが合った時は正直驚きました。

㉑風に揺れるススキ

120mm  F5.6

㉒一日お疲れ様でした

88mm  F4
今でも十分シャープで楽しめる明るい望遠ズームレンズだと思いました。
ただAFはちょっと遅かったり外したりしますけど💦、市場価格も安くて写りも良く、明るい望遠ズームレンズの入門には最適だと思います。

 

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為に間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【トキナー「AT-X PRO 80-200mm F2.8 AF (828AF PRO)」ちょっと分解清掃・作例】でした!

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